goo blog サービス終了のお知らせ 

付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「スカイシティの秘密」 ジェイ・モリー

2008-12-21 | 破滅SF・侵略・新世界
 読了は『エンジン・サマー』の後だったけれど、読み始めれば系統が違うんで十分に楽しめました。まずは第一声。

「あなたにはわからないのです。命令される側より、する側のほうがよほどつらいというのに」
 空中都市国家シルバーサンクタムの指導者、セリーナ・アーンフィエルズドーターの言葉。オリビエ・ポプラン(Olivier Poplin)あたりなら、「いかにも安全なところで威張っている奴のいいそうなことだ」と返しそうですが。

 地上が汚染され、人々が空中都市に移住した遙かな未来。空中都市の人々は空に適応して翼を持ち、空中を自在に飛び回れるようになっていた。
 だが、ある時から地上の自動プラントからの資源輸送が滞るようになっていた。太陽の光も水も十分だが、鉱物資源などはリサイクルだけではまかなえず、地上の施設に依存していたのだ。
 地上の施設に何が起こったのか。それを調べるために選び出されたのは、生まれつき翼を持たない少年アズだった。

「いい人にみられたいとは思わない。人に好かれることに人生の価値を見いだしたこともない。だが、正しいことと間違っていることの区別はつくつもりだ。そして、つねに正しい道を選べというのが、わたしにとっては絶対なのだ」
 ミスター・モードダサンの言葉。

 陳腐な言い方だけれど、宮崎駿がアニメにしてもおかしくない話ですね。
 美しい空中都市から一転して、雲に覆われた地上のプラント群。蒸気が噴き出し、溶鉱炉が灼熱の炎を上げ、キャタピラで動く巨大な車が湿地帯を驀進し、野心家は革命を煽り、ヒロインはどこまでも逞しい……。
 そんな話です。

【スカイシティの秘密】【翼のない少年アズの冒険】【ジェイ・モリー】【ボーイ・ミーツ・ガール】【天と地】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする