270/300。これは今から40年以上前の慶応大学入試におけるボーダーラインである。国数英なのか、英数理なのか。いずれにせよ、決して超絶難しいわけではない試験問題において、いかにミスなく切り抜けるか、というタイプの試験であり、県立高校入試でも最難関のボーダーが450/500くらいと考えれば、王様や将軍が出陣する地ならし的な戦闘に近いのやもしれぬ。国家公務員試験の総合職(I種、上級とかつては呼ばれた)も、教養択一4割、専門択一3割、専門記述2割、、、みたいな配点なので、見直し時間が与えられないほど分量は多いのだが、簡単なところでいかにミスなく切り抜けられるか、という性格の試験に近いかもしれない。
一方、東大入試はというと真逆だ。共通テストボーダーで85~90%が必要とされているが、80%を若干下回った程度では足切りされないし、配点比率を考えれば、90%取れている相手よりも、大問一つの半分程度上回っていれば計算上は追いつくことになる。直前で日和って理IIに変更した意味はほぼなかった(気休めか)。共通一次の時代ではあるか、駒場で知り合った「左」界隈の女性(非代々木系)で、78%程度から合格していた人もいた。難問のオンパレードに対して、できれば6割を確保する戦い。これはまさに「肉を切らせて骨を断つ」戦いに等しい。東大生に対する世間一般の認識に「ガラスのエース」みたいなものがあるが、それは見当違い。(小生を含めて)彼らはみなこんな乱戦(アニメのキングダムのレベル)を生き残った連中なのだ。そして社会人になってからの戦いは、こんな乱戦ばっかりが延々つづくことになるわけだ。ミスなく9割、みたいな試験対策ばっかりだった連中にこそ、「ガラスのエース」と呼ばれるにふさわしいやつは少なくないはずだ。
研究の世界では、査読の段階でぼろぼろにやられてメンタル折れまくることもある。そんな論文が学会賞とったり、世界中で数百回引用されたりすることもある。「肉を切らせて骨を断つ」戦いができる人にしか到達できない次元と言えるだろう。
そんな人材になりたければ、せめて中学までは「ガラスのエース」以上のコンプリート力は必須であるけど。
中国高考93%の人にも無理じゃね。李信将軍みたいに戦えないのであれば。