25日
2005年冬以来の北京空港は見違えるようにきれいになっていた。香港みたいだ。上海便が満席で北京経由になってしまった。
久々に上海虹橋空港へ。長蛇の列に並び、タクシーで華亭賓館(上海体育館そば)に8時すぎにチェックイン。地下鉄2号線が虹橋空港まで開通していることを忘れていた。
窓の外では爆竹が炸裂。タイ北部で見た熱気球(諸葛亮の発明)も上がりはじめた。50mくらいで揚力を失って降下する物もあり、火事が心配。
26日
朝、華師大へ出勤。博士生のL嬢(西安人)は学内の逸夫楼に泊まってもらった。昼前に束炯教授が戻ってきて、作戦会議開始。午後、金沙江地区の住宅団地を下見。日本と違い、団地はセキュリティゲートを通過しないと入れない。束先生が上海語で管理人と観測許可の交渉。小生も現在3割ほど理解できる。
27日
朝から現地で観測開始。1時間に一度、住宅の表面温度の熱画像を撮影。学生たちが交替で実施できる内容だ。安徽料理を見つけ、本貫が安徽省の束先生に連れられて昼飯。
28日
昨日までの無理がたたり、腰痛がひどい。香港のスターもよく泊まる高級ホテル故、ベッドが柔らかすぎて横になるのがつらい。昼前にようやく外出。
4時に束先生のお宅で元宵を祝う予定。時間があるので、なじみの老板のお店を回り、買い物がてら過年の問好。上海駅近くの薬屋の杜おばさんは病気でふせっているらしい。
上海駅をのぞいてみる。新幹線(動車組)の切符は完全に自動販売となっていて、窓口にならんでおばさんから買う必要はない。知らぬ間にずいぶん遠くまで新幹線のネットワークが広がったものだ。武漢にも5時間で行ける。今回新幹線にすればよかったか。次回からはそうしよう。
大学の近くで何枚か新版DVDを入荷。「周力波」:中国ナンバーワンのピン芸人。上海語のみならず、普通話のもあり。字幕で見ると、日本人でもしっかり笑える。
3月1日
午前、束先生の研究室で7月の野外観測予定を話し合う。3年前にこちらから持ち込んだものと同じ700万円の機器(ドイツ製)を購入済みなので、結構すごいデータがとれそうだ。
午後、束先生と共同研究の申請を相談した後、近くの新疆風味で夕食。
2日
午前11時に、学内に泊まっていたL嬢と中山公園駅で待ち合わせ、浦東空港へ向かう。
武漢は上海よりさらに寒い。冷雨の中、華中科技大学へ向かう。ここから先は教育的配慮で、小生は口を出さず彼女の主体性に任せている。いろいろ後手後手になっている点もあったが、いい勉強になるだろう。彼女の博士論文なのだから。
3日
午前中、中信集団の武漢市建築設計院を訪問し、武漢での観測現場提供について相談。午後、2ヶ所の候補地を見学。
4日
L嬢は、赤壁出身のX嬢(修士生)と百歩龍庭という住宅団地で早朝より観測。小生は、陳教授の研究室で留学希望の学生相談。午後漢口地区に移動し、百歩龍庭の観測に合流。不動産価格はつくば以上東京以下の水準である。
Thermal image of a residential building in a winter night. Blue color shows low surface temperature appeared in an outdoor units of air conditioner heating indoor spaces. In Lei, Ichinose, Imura (2011)
冬の真夜中に撮影しています。住民に盗撮と間違えられそうでした。暖房を使わずに我慢している世帯が多いようです。
雷蕾・一ノ瀬俊明・井村秀文(2011):近接住棟および樹木による日影が住宅のエネルギー消費に与える影響.土木学会論文集G(環境), 67(5),I_131-I_138
5日
今日は融科龍庭という住宅団地で観測。小生は午前中、武漢市建築設計院で150人を前に2時間の講演。話慣れている内容とはいえ、原稿がないので相変わらず子供みたいな喋り方である。一度原稿を用意すべきかも。建築設計院はアフリカをはじめ世界中の物件デザインを手がけている。
午後は融科で調査。事務所には毎日住民がなんらかのトラブルで怒鳴りこんできている。「天天発怒」というイメージだ。
人口800万人の武漢にあるタクシーはわずか1万台。季節や時間帯によってはまったくつかまらない。公交(バス)に座り続けること1時間、武漢大学の対面である華中師範大学に到着。巷で評判の「美女だらけ」というのはうそだった。帰りのバスは最初の1時間寿司詰め状態で立ちっぱなし。武昌と漢口の交通はめちゃくちゃ細い。長江を挟んでわずか3キロの距離なのに。これでは建築部門でいくら努力しても、交通対策をしなければ永遠に低炭城市は実現しない。
前日から泊まっている観測現場近くのホテル(L嬢が探してきた)は、元国営の古めかしい三星級。夜12時ころ、となりの部屋から薄い壁を通して、「色情片」中の女性のような声が聞こえてくる。壁に耳をつけてみるとよりはっきり聞こえてきた。そういうビデオでも見ているのかと思ったら、まさに「ライブ」の音声であった。廊下に出てみるとさらに大きな声がはっきり聞こえてくる。廊下にまで漏れている。ご丁寧に、“Do not disturb”の赤いランプを付けている。声が聞こえなくなって十分後くらいに扉があく音が。そっとこちらの扉を開けてみると、背の高い女性がエレベーターのほうへ戻っていくところであった。
翌日、2階のスポーツジムに行った折、対面のサウナの前で、老板娘に「お誘い」をかけられた。警戒心もなさそうで、かなり無節操に経営しているようだ。おそらくホテルのオーナーは警察か軍の偉い人なのであろう。目から鱗。