頼子百万里走単騎 "Riding Alone for Millions of Miles"

環境学者・地理学者 Jimmy Laai Jeun Ming(本名:一ノ瀬俊明)のエッセイ

2010年2月上海&武漢(冬季観測)

2019-05-03 18:41:59 | 旅行

25日
 2005年冬以来の北京空港は見違えるようにきれいになっていた。香港みたいだ。上海便が満席で北京経由になってしまった。
 久々に上海虹橋空港へ。長蛇の列に並び、タクシーで華亭賓館(上海体育館そば)に8時すぎにチェックイン。地下鉄2号線が虹橋空港まで開通していることを忘れていた。
 窓の外では爆竹が炸裂。タイ北部で見た熱気球(諸葛亮の発明)も上がりはじめた。50mくらいで揚力を失って降下する物もあり、火事が心配。

26日
 朝、華師大へ出勤。博士生のL嬢(西安人)は学内の逸夫楼に泊まってもらった。昼前に束炯教授が戻ってきて、作戦会議開始。午後、金沙江地区の住宅団地を下見。日本と違い、団地はセキュリティゲートを通過しないと入れない。束先生が上海語で管理人と観測許可の交渉。小生も現在3割ほど理解できる。

27日
 朝から現地で観測開始。1時間に一度、住宅の表面温度の熱画像を撮影。学生たちが交替で実施できる内容だ。安徽料理を見つけ、本貫が安徽省の束先生に連れられて昼飯。

28日
 昨日までの無理がたたり、腰痛がひどい。香港のスターもよく泊まる高級ホテル故、ベッドが柔らかすぎて横になるのがつらい。昼前にようやく外出。
 4時に束先生のお宅で元宵を祝う予定。時間があるので、なじみの老板のお店を回り、買い物がてら過年の問好。上海駅近くの薬屋の杜おばさんは病気でふせっているらしい。
 上海駅をのぞいてみる。新幹線(動車組)の切符は完全に自動販売となっていて、窓口にならんでおばさんから買う必要はない。知らぬ間にずいぶん遠くまで新幹線のネットワークが広がったものだ。武漢にも5時間で行ける。今回新幹線にすればよかったか。次回からはそうしよう。
 大学の近くで何枚か新版DVDを入荷。「周力波」:中国ナンバーワンのピン芸人。上海語のみならず、普通話のもあり。字幕で見ると、日本人でもしっかり笑える。

3月1日
 午前、束先生の研究室で7月の野外観測予定を話し合う。3年前にこちらから持ち込んだものと同じ700万円の機器(ドイツ製)を購入済みなので、結構すごいデータがとれそうだ。
 午後、束先生と共同研究の申請を相談した後、近くの新疆風味で夕食。

2日
 午前11時に、学内に泊まっていたL嬢と中山公園駅で待ち合わせ、浦東空港へ向かう。
 武漢は上海よりさらに寒い。冷雨の中、華中科技大学へ向かう。ここから先は教育的配慮で、小生は口を出さず彼女の主体性に任せている。いろいろ後手後手になっている点もあったが、いい勉強になるだろう。彼女の博士論文なのだから。

3日
 午前中、中信集団の武漢市建築設計院を訪問し、武漢での観測現場提供について相談。午後、2ヶ所の候補地を見学。

4日
 L嬢は、赤壁出身のX嬢(修士生)と百歩龍庭という住宅団地で早朝より観測。小生は、陳教授の研究室で留学希望の学生相談。午後漢口地区に移動し、百歩龍庭の観測に合流。不動産価格はつくば以上東京以下の水準である。

Thermal image of a residential building in a winter night. Blue color shows low surface temperature appeared in an outdoor units of air conditioner heating indoor spaces. In Lei, Ichinose, Imura (2011)

冬の真夜中に撮影しています。住民に盗撮と間違えられそうでした。暖房を使わずに我慢している世帯が多いようです。

雷蕾・一ノ瀬俊明・井村秀文(2011):近接住棟および樹木による日影が住宅のエネルギー消費に与える影響.土木学会論文集G(環境), 67(5),I_131-I_138

5日
 今日は融科龍庭という住宅団地で観測。小生は午前中、武漢市建築設計院で150人を前に2時間の講演。話慣れている内容とはいえ、原稿がないので相変わらず子供みたいな喋り方である。一度原稿を用意すべきかも。建築設計院はアフリカをはじめ世界中の物件デザインを手がけている。
 午後は融科で調査。事務所には毎日住民がなんらかのトラブルで怒鳴りこんできている。「天天発怒」というイメージだ。
 人口800万人の武漢にあるタクシーはわずか1万台。季節や時間帯によってはまったくつかまらない。公交(バス)に座り続けること1時間、武漢大学の対面である華中師範大学に到着。巷で評判の「美女だらけ」というのはうそだった。帰りのバスは最初の1時間寿司詰め状態で立ちっぱなし。武昌と漢口の交通はめちゃくちゃ細い。長江を挟んでわずか3キロの距離なのに。これでは建築部門でいくら努力しても、交通対策をしなければ永遠に低炭城市は実現しない。
 前日から泊まっている観測現場近くのホテル(L嬢が探してきた)は、元国営の古めかしい三星級。夜12時ころ、となりの部屋から薄い壁を通して、「色情片」中の女性のような声が聞こえてくる。壁に耳をつけてみるとよりはっきり聞こえてきた。そういうビデオでも見ているのかと思ったら、まさに「ライブ」の音声であった。廊下に出てみるとさらに大きな声がはっきり聞こえてくる。廊下にまで漏れている。ご丁寧に、“Do not disturb”の赤いランプを付けている。声が聞こえなくなって十分後くらいに扉があく音が。そっとこちらの扉を開けてみると、背の高い女性がエレベーターのほうへ戻っていくところであった。
 翌日、2階のスポーツジムに行った折、対面のサウナの前で、老板娘に「お誘い」をかけられた。警戒心もなさそうで、かなり無節操に経営しているようだ。おそらくホテルのオーナーは警察か軍の偉い人なのであろう。目から鱗。

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2014年9月22日(鈴木秀夫先生)

2019-05-03 18:38:32 | 日記

小生の学部時代の恩師が1960年代にアジスアベバに留学し、皇帝に謁見を許され、帰国后に日本語アムハラ語辞典を出されたと伺っています。小生の言語マニアの源流は、この恩師にあるのです、おそらく。

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2014年9月24日(九段線を削除)

2019-05-03 18:36:40 | 日記

こんなことで純真な若手研究者をいじめるのはかわいそうですが、何もコメントせずにスルーするのも後世に禍根を残してしまうので、今回はきちんと指摘しました。学会のレベルではなく、サイエンスアカデミー(日本なら学術会議)のレベルで対応を決めたほうがよいと思います。

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A territory enclosed with "Nine-dotted line" on Figure 1 has been removed.

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2014年9月25日(富山)

2019-05-03 18:32:49 | 旅行

Drei Humanische Geographischer Merkmalen von Toyama

Lebende historischer Infrastruktur

映画「劔岳 点の記」における富山驛

Klimaabhängiges Design

卓越強風を考慮した散村農家における植樹

Dialekt

独自の方言

Ochinchin kaku (in the Toyama dialect)

授業中ノートにエロい落書きをして怒られ、、、

という話ではありません。

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2014年9月26日(名族の子孫)

2019-05-03 11:30:10 | 日記

子供の頃、日本の中学校とかで次のように教えられました。これは正しいですか?

国共内戦から文革期までに、すべての地主や土豪、経営者の一族(つまり貧しい小作農や労働者以外すべて)は解放軍や紅衛兵に殺されてしまったので、古代から民国期までの名族の子孫というのは中国には生き残っていない。これが本当であれば、それだけで中国を野蛮と蔑む日本人が出てきてしまうのではないか。

<反論>
今の給料は安くても、家には財産がたくさんある中国人を大勢知っています。民国期までは裕福だった家の人々なのでしょう。
もし本当なら、曹操や諸葛亮の子孫は、みんな偽物になっちゃいます。
ドラマや映画で、文革後に工場や土地が戻ってくる人のストーリーもたくさん出てきます。

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南宋の終わりは中国の終わり。明の終わりは華夏の終わり。

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2014年9月26日(有害作品)

2019-05-03 11:28:53 | 日記

安易に頼まれ原稿を引き受けると、自分で十分な現地調査もできないから、文献レビューで書くことになる。過去には、締切に追われ適当にネット検索して書いてしまった「有害作品」も。今書いている内容と近い過去の作品を読みかえしてみると、あちらの文献をちゃんと読みこなしてはいるが、プロパガンダに乗せられている感がなくもない。緑化速度について、ちょっと信じがたい数値が書かれている。

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一ノ瀬俊明:(2007)中国の都市における環境問題に対するみどりの取り組み,都市緑化技術,63,38-40

景元書・一ノ瀬俊明:(2008)北京の大気汚染~さまざまな非効率の元凶~,地理,53-6,36-39

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2014年9月26日(脳みそが筋肉で)

2019-05-03 11:27:17 | 日記

この一件に関してフォロワーのみなさまからたくさんのご意見をいただきました。一番笑えたのはこれ。日本にも「脳みそが筋肉で、、、」というジョークがあった。スポーツにおける戦術や用具が高度化した今日、体力や根性だけで頑張る人が成功しないのは自明。
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中国运动员文化水平低,素质差,以前流传一句话“男学理,女学医,花花公子搞文艺,头大没脑四肢发达玩体育”,不过这一举动,孙杨的脑残抗日粉丝会涨不少。

「男は理工系に、女は医学系に、イケメンなら文系芸術系に進学するのがよい。勉強ができないけど体格がいいやつはスポーツへ。」

いまだにこんな認識か。頭が悪ければ、プロの選手にはなれないし、オリンピックなど世界の大会にも進めないのが日本。
10年ほど前に中国で、日本の若者には今、王子とニートしかいない、と言われました。つまり、できる人(おそらく持ち前の能力と最低限の家庭経済的な裏付けがある)は文武色三道、できない人はどの一つもない、という流れを感じ取っていたのかもしれません。

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2014年9月27日(お客様は神様?)

2019-05-03 11:26:16 | 日記

世界標準では、お客様は神様ではありません。払った対価へのサービスを受けるだけの存在です。キリスト教的倫理観で労働する欧州では当たり前です。

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2014年9月27日(孔子学院の研究)

2019-05-03 11:21:51 | 日記

気になったので日本国内の事例を調べてみた。馬場先生のご講演を伺った時にはここまでの深刻さは感じられなかったのだが、在校生の感想を聞いてみたい。

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米シカゴ大学は、学内の中国語教育機関「孔子学院」との契約更改交渉を打ち切った。中国政府の方針に基づく運営が「学問や言論の自由を脅かす」として、多数の教授が連帯し、学院の閉鎖を求める運動が起きていた。(産経新聞)

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馬場毅(2010):中国の対外教育―孔子学院を中心に,ICCS Journal of Modern Chinese Studies Vol.2 (1)

http://iccs.aichi-u.ac.jp/archives/report/036/5091fc32b415a.pdf

この馬場先生の論文と同じ号に小生の論文も掲載されているが、PDFへのアクセスが切られてしまっている。最近、東アジアの環境問題に関する書籍原稿(2007年に第一次入稿のまま放置され(怒))を書き直していて、中国からの排出量を1桁多く書いてしまっていることに気が付いた。おそらく、中国側からクレームが来たのかもしれない。締め切りに追われて書いていた時期なので、転記ミスとか起きそうだし、一回やってしまうと、それが独り歩きする可能性もあってたちが悪い。
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一之瀬俊明(2010)中国環境問題的国際化与日本的学術貢献,ICCS Journal of Modern Chinese Studies,2(1),240-247(中国語)

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2014年9月29日(御岳噴火)

2019-05-03 11:19:15 | 日記

子供の頃に理解できていたステロタイプな火山災害といえば、アニメにも出てきそうなストロンボリ型の爆発性噴火と流出する溶岩によるものだけであった。80年代前半に地質学教室の講義で、火砕流や割れ目噴火など、多種多様な噴火の様式を習ってはいたが、実感のわきにくい内容であった。90年代初頭の雲仙普賢岳大規模火砕流で、知人のアメリカ人地質学者が亡くなった。流れ来る溶岩から逃げるのは難しくないだろうが、ジェット機並みの速度で迫りくる高温の気体からは逃げようがない。

Volcanic ash is now falling in my hometown at the 40 km leeward of Mt. Ontake. Families of my sister are feeling worse on their throats.
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A volcanic eruption of Mount Ontake took place on September 27, 2014, killing 57 people. It was the first fatal volcanic eruption in Japan since the 1991 collapse of a lava dome at Mount Unzen. <Wiki>

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