二日目の続き・・・、
高千穂峡での素敵な散策の後は宿泊地である天の岩戸まで車で15分ほど、天岩戸神社は翌日朝一番で参拝しようと計画していたのだが調べると社務所にお願いすれば宮司さんが御神体である天の岩戸を案内してくれるというではありませんか、これは経験しておかねばということでなんとか社務所の締まる5時前までに到着できればラッキーと後半は時間を調整してみたのだ。
前述したように道の整備でだいぶ時間稼ぎができたおかげで余裕を持って天岩戸神社へ向かうことができた・・・、これはその向かう途中の素晴らしい棚田の眺めです。
順光なので立体感はあまり感じられないが実際は背景の山々との色のコントラストがはっきり出た素晴らしい景色だった。
こちらはその意味では半逆光気味の写真で棚田の立体感がつかめると思います、ほんとに素晴らしかったですね、道路脇に車を止めてもらった娘達には『またお父さんの癖が出たよ』的な扱いでした(笑)。
この斜面を利用した農作業、こうして見る分には美しいと言ってられますがその作業時はとても大変なものだろうと容易に想像ができますね、とてつもなく広いんですこれが…。
天岩戸神社が目の前という時、すごい景色!
高い山にまるでかき氷か綿アメのように覆いかぶさる真っ白な雲、とんでもないスケールで度肝を抜かれましたねえ。
天岩戸神社に到着です、といっても天岩戸神社は2箇所の神社の総称です。こちらはポピュラーなというか天岩戸神社といえばこちらの「西本宮」を指すそうです。かなり日が傾いてきました。
社務所に尋ねてみればお目当ての「天岩戸御案内」は本日最後のご案内と危なくセーフだった。
後から二グループ程の申し込みがあり揃うのを待って「御案内」が始まりました、生声でも十分聞こえると思いますが肩から小さな拡声器を下げてご丁寧に説明してくださる宮司さんです、感謝 m(_ _)m。
しっかり参拝を済ませてからの案内ということを告げられ、慌てて手水舎から西本宮拝殿に行き手を合わせる私達お騒がせ家族でした(笑)。
ご神木の招霊(おがたま)の木を見たあとこの木になる実が神楽を舞う時に手に持つ「神楽鈴」の起源だと教わりました、ホント形がそっくりです。
その後この拝殿横の扉の前で全員お祓いをしていただき中へと入っていきます、ワクワクですね。
残念ながらこれから先遥拝殿は聖域につき写真撮影は禁止。
裏にまわり夕日の影になった薄暗いエリアに立ち、頭の上の社殿に対し不思議に斜めに設えられた屋根の梁の伸びる方向を宮司さんが指し示す。そこには高千穂神話のまさに中心地「天照大神」がお籠りになった天岩戸の洞窟らしき窪みがはっきりと見えるのでした。
まさにパワースポットのど真ん中に立った心境ですね、とても神秘的でした。時間も良かったのかな、この暮れなずむタイミングというのが・・・。
遥拝殿の端まで進むとこの天の岩戸の洞窟が鳥肌とともに立体感を伴い目に飛び込んで来る様はなんとも言葉に表せない感動でしたね。
この後お籠りになった天照大御神を洞窟から出てもらうために天安河原で八百万の神々が相談をし天鈿女命が舞を踊り、何を浮かれているのか気になった天照が扉を少し開けた瞬間を待ち受けて天手力男命がその扉(岩)を放り投げ、この世に再び明るい陽が戻ってきたという神話を楽しく拝聴した。
また天手力男命が投げた扉がほぼ日本のど真ん中まで届き、まさにその場所が長野県「戸隠」だというのは神話の整合性として聞いてもとても興味深かった。
とても充実した約20分間を過ごさせていただいて、まさにこの日のうちに立ち寄った甲斐があったというものだ。せっかくなのでその後西本宮を宿のチェックイン予定の時間までゆっくり散策させていただいた。
こちらは遥拝殿を出てすぐの神楽殿、これがまた薄暗い時間帯に見るとすこぶる神秘的!
これですよ、まさにパワーを頂いている心境になります。この日お世話になった民宿の主人の言葉では「パワースポット」とかいう言葉は使って欲しくないそうです、地元の方々のこちらの神社を大切にし生活に根付いた信仰の厚さはとても強いものなんだなあと感じました。
感動的な西本宮参拝を終え、ようやく本日の宿「民宿天和」へ向かいます(^^)。
(写真は民宿天和のホームページより)
こちらは4室ほどの宿ですが私達はとても広い14帖(8帖+6帖)の和室をお借りしました。とてもきれいにされ床の間まで付いた広々した落ち着いた空間でリラックスできました。
一通り書類記入などのチェックインを済ませ荷物を置いたら夕食と風呂です。
こちらの夕食はチキン南蛮なんです、私は大歓迎なのですが妻と三女は鶏が若干苦手なので朝食付きで申し込みました、また風呂はこちらの宿には家庭用の風呂しかないので近くの「天岩戸温泉」を使えるようになっているのです、広いお風呂で私としてはこれまた大歓迎なんですよね(笑)。
さっそく夕食へ向かいます、宿を出るとなんとも神秘的な夕日がたくさんの雲の向こうに見えてきました。こちら高千穂では見るものの多くが神秘的になるのかな・・・^^。
向かったのは「レストハウス雲海橋」、その名の通り高千穂峡到着直前の雲海橋のたもとにあります。メニューが豊富で宮崎で絶対また食べたかった「チキン南蛮」の評判がすこぶる良いお店なのです。
店内はドライブインと言ってしまえばそれまでなのですが、明るく木材を多用した雰囲気が良くとてもリラックスできるレストランです。
ちょうど高千穂牛の焼き肉フェアが始まっており、長女と私以外は高千穂牛焼肉定食にしてました、私はもちろん「チキン南蛮定食」に決まり(笑)。
これは次女が頼んだ「鶏炭火焼き」、これも名物ですね。歯応えが良く美味しかったそうです。
こちらが妻たちの「高千穂牛焼肉定食」、出来たてのジュウジュウという音がとても食欲をそそります。柔らかくとても美味しいよと皆満足そうでしたねえ。
そして最後に出てきたのがお待ちかね私と長女の頼んだ「チキン南蛮定食」です。
胸肉ともも肉が選べるのですがもちろん食感最高のもも肉を頼みました、これがほんと歯応えがありながらもとても柔らかく食感最高!そして美味しいのです。前回サンメッセ日南の隠れ名店「レストランnoanoa」で食べたチキン南蛮を超えてました。タルタルソースの酸味と卵の甘みのバランスが絶妙でこれだけたっぷりかかっていても全然しつこくなくペロッと食べられましたねえ。
また特筆はみんなの定食に付いてくるご飯です、とうもろこしが入ったとうきびご飯です。こちらではポピュラーなのか分かりませんが、まあご飯そのものも美味しいのでしょうが風味といい食感といいとても美味しくいただけました。お店の入り口に混ぜるためのとうきびが大きな袋で売っていましたが、どこでも買えるのかと思ったらおみやげ屋では殆ど見かけず長女などは悔しがっていましたね(笑)。
さてここ高千穂でも美味しいものをいただいた後は宿でもらった入浴券を使って「天岩戸温泉」へ浸かりに行きます。
(写真は民宿天和のホームページから)
すでに時間は夜7時過ぎでほぼ真っ暗。ところがどっこいこの温泉の前には車がびっしり!驚くばかり。
地元の方が夕食後に入りに来るみたいです、浴室も湯上がりどころもとても広いのでゆっくり入れますが驚いたのは地元の方々のおしゃべり。これがほとんど理解不能!!
前に妻と結婚30年記念で出掛けた秋田・角館のまちなかの銭湯でも同じだったが、この宮崎高千穂の言葉もまず単語からして聞き取れないほどだ(笑)。
身体を洗いながら隣のおじさんたちの会話に耳をダンボにして聞き入っていたのだが長い会話でも「天気の話かな?」くらいしか理解できなかった。
恐るべし、南北の方言!でもとても楽しかったです、どなたも気さくに挨拶を交わしてくれますしね^^。
宿へ戻り部屋に入ろうとするとご主人が話しかけてきた・・・、明日の朝食の時間と予定を聞かれた。私は日の出の時間に合わせて天安河原へ行きたいと伝えると面白い話を聞かせてもらった。
天岩戸神社でも天安河原でも日の出=陽が差すとはならないそうだ。まあ考えて見ればわかるのだが・・・、天安河原などへ陽が差す時間をこちらでは「夜明け」というそうだ。一瞬「えッ?」と思うが、聞けば納得だ。
周りを山に囲まれているので日の出の時間でも山が遮り陽が差さない、山から顔を出してもただでさえ谷のようになっている天安河原にはまだまだ光は届かないというのだ、なるほどである・・・それで天安河原に陽が差す時間を「夜明け」と呼んでいるというのである。この神聖な地に陽が差さないと夜明けと言わないとは高千穂らしいですね。
ありがたい話を伺って予定を変更し若干遅く日の出の時間に合わせ翌朝6時前に起床した。どうでしょう、日の出の時刻では外はまさにご主人のお話通り!〈日の出は高千穂で5:54〉
太陽が昇ってきているのはわかるが(この時すでに6:30)、まだまだ山の陰。ようやく空が明るくなって山の輪郭が分かる程度だ、高千穂の夜明けは遠い(笑)。
準備をして6:30くらいに宿を出発、といっても車で5分とかからない。参拝の順序も宿のご主人が教えてくれた、まずは天照大神を御祭神とする東本宮へ参拝してから天安河原に向かい、そして改めて西本宮へ参拝するのが正しい天岩戸神社の参拝順序だそうだ。
まだ少し暗い東本宮。参道の石段途中だけ木漏れ日があたり少し明るいのがとても印象的なシーンだった。
と石段を登りだすといきなり神楽の音楽とともにこの天鈿女命の像が回りだし、一同びっくり仰天(笑)。なんと近代的な、人が通ると動くようにセンサーが仕込まれているようだ(^^;。
年輪を重ねた大木が多いので尚更のことこの参道は暗い、御灯明の明るさが一際目立つ。
若干空が開ける本堂の前は朝らしい柔らかな光が社を照らすが、まだまだ陽は差してこない・・・
手水舎にてお清めの後拝殿からまさに神秘的な本殿を拝見しながら本日最初の参拝だ。
こちらが拝殿奥の本殿、周りの木々の間からはすでに昇り始めた太陽が照らす明るい空が見え始める。
この少し冷たい凛とした空気になんとも身が締まる思いです。
たくさんの古木がそびえ立つ境内、この太い幹の木はてっぺんが見えなかった・・・
境内奥まで歩きご神水を通り過ぎると、その奥に短い遊歩道がありその最奥部に見られるのが崖ギリギリに立つ「七本杉」だ。この七本杉は七本根が繋がっているという不思議な杉の木だ…。
まだ暗い東本宮への参拝を済ませ次の場所へ移動する、昨日参拝した西本宮の参道を通ります。この時ようやく一部だが朝の光が拝殿入り口の屋根を照らし始めていた。
西本宮を抜け100mほどで今回一番の目的地天安河原入り口についた、左側の道路(街中)はすでに朝日が燦々と輝く状況だが、右へと下る聖域はまだまだ陽は差してこない・・・これがまさに「夜明け前」!?
入り口から300~400mほどですがこうした岩戸川沿いをまさに究極のマイナスイオンを感じながら歩きます。日の出から1時間半ほど経っているのが嘘のように薄暗い所も多く、こうして空の開けた明るい渓流を見るとホッとします(笑)。
岩戸川の流れは浅瀬が多いせいかけっこう激しい、
赤い太鼓橋を渡ってどれほど歩いたでしょうか・・・岩戸川がほぼ直角にその流れを変える広い河原の一角に大きく口を開けた洞窟が見えてきます、間口40m・奥行き30mのおびただしい数の石積みとともに神秘的というよりこの時間見ると恐怖心のほうが若干だが上回りそうな感覚です。
先頭を歩いていた次女と三女が直前で私に道を譲りました「お父さん、先に行ってくれる」と言って。この天安河原にまだ日の差さないこの瞬間、洞窟前に立つとその気持なんとなく分かりますねえ。
八百万の神々が相談のために集ったこの天安河原、そしてこの洞窟・仰慕窟(ぎょうぼがいわや)を目の当たりにするに最高のシチュエーションではないでしょうか・・・、「夜明け前」。
神々の集った場所ということで全国から願い事の叶うと信仰がある聖地なのでなんとか怖さを抑えることができるのだろう・・・しかし実際この仰慕窟へ足を踏み入れると不思議に気持ちが凛とした空気に同化してくるようだった。
時折頭や肩に天井から水滴が落ちてくるなか、厳粛な気持ちで手を合わせる・・・振り向いて洞窟の外を見るとまるで別世界が待っている。
沢山の人々の願いの篭った積石と鳥居の先に開ける景色はまさに山頂でご来光を迎えるかのイメージである。洞窟入り口に佇み今にも朝日が差し込むかという方角を仰ぐ妻と次女の姿はとても柔らかく暖かい光に包まれているようだった…。
間近で見るこの仰慕窟は不思議にも人工的に図って掘削されたかのような展開具合である、下の写真を見るとそんな気になりませんか?これも神々に選ばれた場所が故でしょうか・・・、とても不思議でした。
時刻もちょうど「夜明け」を迎える時がきたようです。天安河原からも雲の間から陽の光が時折覗けるようになってきました。岩戸川の上流すぐそこまで光が差しています…。写真奥の空気感は実際目にしてゾクッとするほど神秘的でしたねえ。
上の写真でも見えている天安河原の突端にあった不思議な岩のくぼみ、真円に近い丸です。まるで何かを移す鏡がごとくその姿を現していました。
川の流れは先程からかわらぬ勢いを保ちながら・・・
そして天安河原を後にしようかとした瞬間、まさに一筋の光が私達の足元を照らしてくれました。
これが私達の天安河原の夜明けまでのひとときでした・・・、この夜明けを迎えるまで天安河原に立っていたのは私達6人だけでした。
この場所では6人みな言葉少なく、まさにこの霊験あらたかな雰囲気を全身で受け止めているようでした。とても良い経験でしたね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本日の天安河原〈夜明け時刻〉 午前 7:38
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さてようやく何処にいても陽が差してくる時間となり、宿のご主人から教えていただいたように明るくなってから最後に天岩戸神社・西本宮をお参りすることにしました。
8時前くらいにようやく人もパラパラと見かけるようになってきます。車の行き来も増えまさにようやく日常に戻ったような感覚です、不思議ですね。
拝殿にてこの奥にある天の岩戸をイメージしながらしっかりと願いを唱えてまいりました。
早朝からの天岩戸神社を後にして宿に向かったのが午前8時ころ、宿で朝食時間を調整していただいていたご主人にお礼を述べてしっかり朝ごはんをいただいた・・・。
こちらのご主人はほんとにお話が上手というか好きで、夜神楽やボートなどの季節ピーク時の楽しみ方や最近の異常な待ち時間など面白い話を美味しい珈琲をいただきながらたくさん聞かせていただきました。
特に今高千穂で何を一番に行ったり見たりすべきかなどおすすめを丁寧に教えていただけるのはありがたく、Webなどでは得られない現地ならではの情報で助かりますね、ほんとにお世話になりました。
気がつけば出発予定時間まであと少し、まあほぼ昨晩のうちに準備しているので予定通り9時過ぎにはチェックアウトして出発できました。
今日も朝から良い天気です。
やはり午前中は空の青さも山の緑も全然違いますね、この3日目の予定は「阿蘇」を楽しむですが、ホントはこのまま325号線を阿蘇外輪山までひた走り「ラピュタの道」まで直行したい気持ちでいっぱいなのですが・・・、
家族6人お昼もあるし見たいところもあちこちあるしということで予定通り車は進みます(笑)、楽しい体験をさせてもらった高千穂ともお別れです。
さてさてこれから訪れる阿蘇はどんな素敵なシーンを見せてくれるやら・・・、ワクワクする気持ちとともに熊本は阿蘇・高森方面を目指します。
阿蘇編に続く・・・
続きを楽しみにしておりましたよ。
緑の山と棚田が美しい~目の保養ですね♪
天鈿女命の像は動く仕掛けなのですか、このゆら~っとした立ち姿といい、
明るいときでないと怖いかも^^;自分はこの像に出会ったらきっと一生忘れないでしょう(笑)
天安河原の写真はご自身で撮られたのしょうか、プロ写真のようですね!
天安河原の神聖な空気感が伝わってきそうです。
ありがたいコメント恐縮してしまいます^^。
棚田を含め高千穂の景色、それは素晴らしかったです、
まさに見たこともないような景色もあり感激でした。
そして天岩戸神社はやはり只者じゃありません、
うす暗い中「天鈿女命」にも驚かされましたが(笑)
天岩戸・天安河原に仰慕窟ともうある意味鳥肌モノの衝撃です。
この(光と)空気感を取り込めたらなあと愛器と悪戦苦闘でした、
お言葉のように少しでも感じていただけたら私としては「本望」です(^^)v。
ホントはこの天岩戸エリアにはいい写真の源である「感動」が沢山ありました、
自分としてはまさにその感動に撮らされていたという感じです。
高千穂・・・ほんとに素晴らしいところでした。