(※2017/12/27 作例が増えてきたので加筆修正しました)
以前ブログに書いたように品薄状態からようやく2017/11月に入手可能になったフォクトレンダーのアダプター専用のレンズである。
HELIAR 40mm F2.8 Aspheical for VM-E Close Focus Adaptor
(※余談だがこの撮影時のレンズがAi AF Micro-Nikkor 60mm F2.8Dである、さすがの質感描写!)
とてもコンパクトで本体が132gとても軽いのだがこれは先にも書いたようにVM-E Close Focus Adaptorの使用を前提に作られているのでアダプターが125g、したがってレンズ重量は257gといったところ。ほかのフォクトレンダーのレンジファインダー用のレンズよりは随分と軽いのである。
| こちらが『Close Focus Adaptor』である。 上のレンズとほぼ同じ重量があるのでそれなりに重いかな。 さすがにフォクトレンダー:Made in japanでヘリコイドのシルキーな操作感は最高でとても精度が高そうな作りである。 |
このレンズも最初は中古を狙っていたのですが...ないですねえ中古は。あっても新品が品薄状態なので新品より高額な値段がついていたりと足元を見たかのような状況で、長いこと新品が市場に出てくるのを待ってゲットしました(その経過は前のブログ参照してください...面白いです)。
どうでしょうかとてもしっくりとα7IIに収まっていてシルバーがとてもいいアクセントになっています。Sonyのレンズでもコンパクトな「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」でもこれより少し太いのでこうはいかないですね。ただし重さ120gですからその点では負けてます(笑)。
さて写りの方ですが開封して一発目のこの画で期待が膨らみました...
とてもシャープです、随分と前に使っていたNikonのAi AF Nikkor 50mm F1.4Dのような感じでした。というのはこの3日ほど何度か試し撮りしてRAW現像しているとけっこうコントラストが高くあまりあれこれいじる必要がない印象を受けたんです。50mm F1.4Dも元画像を触れば触るほど汚くなるような感じがありとても似た傾向のレンズかなと思いました。
これもほとんど手を入れてません、このレンズ本当に色乗りも良くてコントラストが高い印象です。
入手当初はCobbyとの散歩が陽が落ちる前後に始まることが多くてISO感度を上げての撮影が多くなるんですが、α7IIに付けてるNikkorと『青』が少し傾向が違いますね。
街灯が眩しくなりだす時間でも渋い画を出してくれます(ISO1600:f/8.0にて撮影)。
街灯の色だけでなくちゃんと紅葉した木々の葉の色違いも出してくれます、光条が10本です...総絞り羽根の枚数が10枚なんですね。奇数枚のレンズほど光条の本数が多くないですがこれだけあればなんとか雰囲気はあります。この写真では基本のWBの調整後多少コントラストを上げるくらいしか触ってないのですがそのおかげで葉の立体感が増しました...見事な描写だと思います。
同じシチュエーションで街灯に照らされた木の質感と暮れなずむ空の中で浮き上がってくる様子...
f/5.6なので街灯の光条は弱まりましたがその分素敵な木の描写になっていますよね、PCの前でさすがに唸りました(笑)。暗くなってからも実力発揮できるレンズかなと・・・。
D700だとISO1600ではちょっとした暗部でノイズが乗りまくりになりそうなシチュエーションですがさすがにα7IIはこのくらいではしっかりと画にしてくれますね。
こちらは天気がいまひとつでしたが昼間の公園を撮ったものです...
ISO400:f/8.0ですが雰囲気のある画を描いてくれます、暗部もつぶれず屋根の支柱の造作もしっかり出てます。ピシッと言う感じではないですがなんとなくいろんな作例を見てきてこういうのがレンジファインダー的な雰囲気というのか今までにない「あれ、こんなもん?...ん~でも良いなあ」的な不思議な感じです(笑)。
レンジファインダー・レンズと言えばこのレンズの形状もLeicaのエルマーM50mmによく似ており同じ沈胴式である。ライカのオールドレンズの愉しみの一つにゴースト・フレアも美しいという点があるようですが、このレンズもまさに驚くような美しい虹が出たんです。
この時はf/5.6での一枚で西陽に照らされた荻(おぎ:ススキに似た穂の膨らむもの)がきれいだったのでカメラを構えたのですが、α7IIのEVFの中にきれいな虹が出てきたので思わずそのままシャッターを切ったものです。あまりの美しさに現像時もLightroomにてレンズプロフィールを当てただけでほぼ撮って出しです。手を加える気になりませんよね、こんなきれいな虹が出ては(笑)。ほんと楽しいレンズです...。
そしてCobbyを撮ってみると(早朝曇り空の下です)こんな感じです...
(ISO400:f/2.8)開放ですからその割にシャープにCobbyの顔から胸あたりを写し出しています。若干の周辺光量の落ち方もいい感じですしボケ方が二線ボケなど出たりしますが柔らかくて嫌いじゃないですね。
前述しているとおり暗くなっても良い描写をすることから狙い撃ちでこんなカットを試してみました...
とにかくステキな「青」です・・・というか私好みです^^。空の青さだけでなく水門のバルブに近づけないように置かれたバリケード(ハリネズミのような螺旋状の鉄)の青いペイントも美しいくらい。そして下に続く土手の描写がまた良いですね。これも暮れなずむ時間帯なんです、この時間はこのレンズにとってまさにゴールデンタイムですね。マジックアワーに使うレンズの第一候補と言って良いのではないでしょうか。
これなんかも日没前の一枚ですが、雲がトレーシングペーパーのように働き光を柔らかくしている感じがよくでていると思います。空のほんわかとした柔らかい空気のなか、目を自然と街路樹のシルエットへと向かわせてくれます。ほんとこれは空の微妙な雰囲気をきれいな青とともに上手く表現してくれる好レンズだと思いますね、夕方以降空を撮るのがとても楽しくなります。
この一枚はすでに日が暮れ夜の帳も降りた頃なんです。Cobbyの散歩が長引き真っ暗のなか撮ったもので、ISO1600でシャッタースピードがなんと「0.6秒」です。もう手ブレ覚悟で望んだものなんですが、見事に止まってます。α7IIの5軸手ブレ補正機能恐るべし(笑)。f/8~11くらいだった思うんですが、-1EVくらいの露出補正で暗い画になってましたが現像時に土手など暗部を持ち上げたりとここまでの画作りができます・・・気持ち良いですねえ。
このレンズの絞り輪はクリック感がありません。予め決めた絞り値でピントを合わせていく中でピントリング(アダプターのヘリコイド)と同じように、ピントの中心をここだと決めてから無段階で変化する絞り輪を回し被写界深度を設定することがEVF(ファインダー)を見ながらスムーズに決められるのが良いですね。絞り優先で撮ってますから最終的にISO感度を必要なシャッタースピードを稼げる値に決めれば良い。
これが慣れると一枚一枚じっくりとカメラ・レンズを弄くりながら「写真を撮る」という楽しさが味わえます。
そして上のピンとピークはポストです(f/5.6)・・・一見この「ヨコ500pxの写真」で見るともっさりとした感じを受けますが、よく見ると細かい所の描写もしっかりとしているし木の立体感など驚くほど。こうした感触は今までNikonでは見られない描写ですね。なんといえば良いのか、見飽きないというか...緻密な画作りも可能な力も持ち合わせているレンズなんでしょうかね。
これはf/2.8開放での一枚、早朝花開くのを待つサザンカ一輪です。インフォーカスからアウトフォーカスにかけての明るい葉のボケの減衰加減もこの場のコントラストの強さを表し、日陰の路面の柔らかな表情も主役を邪魔しない美しい描写で状況説明もとても上手いレンズのような気もします。
しばらくはこのレンズ付けっぱなしにして美味しいところをものにしてみたいと思ってます、ただし気になる点も...沈胴式のレンズは強度的にどうなのか少し心配になってきます。撮影時引き出してから回してロックするんですが、キャップを取るために引っ張っただけで鏡筒が出てきてしまい少し斜めっていたりするとドキッとします。
取説にも「鏡筒を傾けて押し込まないで・・・」とありましたが、こういうことなんですね。センサーなどカメラ部分を傷つけたくはないですから要注意ですね。
まあでもトータルで楽しいレンズであることに違いはありませんねえ。
※ カメラ:α7II + VM-E Close Focus Adaptor