恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

12/19(土)黒門亭2部(主任:三遊亭金馬)

2020年12月19日 | 噺とか
午前中の仕事を終えて黒門亭の2部へ向かいます。
電話予約制になって久しい黒門亭ですが、今日の2部は10人満席でした。
もともと40人入る落語協会の2階は10人だとかなりゆとりがありますね。
この日は今年5代目を襲名した金馬師匠で、「文七元結」のネタ出しです。

「転失気」   さく平
「兵庫舟」   一猿
「二番煎じ」  馬治
 -仲入り-
「古手買い」  志ん丸
「文七元結」  金馬

前座のさく平さんはたい平師匠の長男だそうで。
いわれてみるとなんとなく声質が似ているような気もします。
正蔵一門もそうですが、こちらも血縁でつながってきますねぇ。
おならをペットボトルに入れて「ヘットボトル」というくすぐりは誰のネタだろう。

一猿さんは二つ目になってから2回目ぐらいでしょうか。
「鮫講釈」としても知られる「兵庫舟」は厳密には違う噺のようですが、
あんまり区別はしていないのかな?
途中の言い立てのあたりが聴きどころだと思うのですが、
この辺も言いよどみなく聞いていて楽しい一席でした。

馬治師匠は久しぶり。冬のお話で「二番煎じ」でした。
トリにかかるようなイメージのこの噺ですが、
黒門亭の持ち時間だと仲入りでもしっかりとできるのですね。
いい大人たちがそろって楽しそうに番小屋の中でふざけあうのが楽しいですね。

志ん丸師匠はかなり久しぶりでしょうか。
「古手買い」は初めて聞いた話でした。
前半部分は「壺算」と同じような展開で、
買い物下手な男が買い物上手のアニイに買い物を頼むところから。
古着屋の番頭とのやりとりは啖呵が聞いていて楽しい「大工調べ」のような。
もっと寄席でもかかってよさそうな噺なのですが、あんまり聞かないですね。
この日の収穫の一つでありました。

トリに金馬師匠。
今でも「金馬」の名前になかなかなじめないという。
マクラもそこそこに本題へと入っていきます。
先日、池袋で花緑師匠の「文七元結」を聞いたばかりではあるのですが、
細かい設定なんかも結構違うので驚きました。
左官の長兵衛の娘・お久は、登場する母親と血がつながっていない設定なんですね。
他にも細かいところで、そういう背景があるんだなぁなどと知ることもいくつか。
池袋昼席のトリだと時間の制約がありますが、
黒門亭2部のトリならちょっと余裕がありますからね。
実際に45分程度だったと思います。
長兵衛が佐野槌に呼び出されるシーンで、乞食に間違えられたり、
おかみさんからあれこれと小言を言われるシーンなど、
文七に金を貸すあたりの心情描写など、けっこう丁寧に描かれており、
聞きごたえたっぷりの1席でした。

「文七元結」は最近聞いたばかりだからいいかなーなどと思ってもいたのですが、
思い切ってこの日の黒門亭の予約を取ってよかったと思える、そんな一日でした。
なかなか10人限定、しかも要予約というのはハードルが高いのですが、
それでも1月以降も足を運べたらな、と思うのでありました。

恐懼謹言。

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