沖縄・台湾友の会

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「韜光養晦」路線から野心ぎらぎら満艦飾の「戦狼路線」へ    ど派手の武威、領海領空侵犯の裏に何かが隠されているのではないか

2024-06-27 07:08:36 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月24日(月曜日)弐
        通巻第8303号   
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「韜光養晦」路線から野心ぎらぎら満艦飾の「戦狼路線」へ
   ど派手の武威、領海領空侵犯の裏に何かが隠されているのではないか
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韜光養晦とは1990年代に「最高実力者』(肩書きがないのにトップだった)、トウ小平が強調したスローガンで、「才能を隠して、内に力を蓄える」という中国の外交・安保政策の基本方針だった。出典は三国志、劉備玄徳の言葉で、この四字熟語にこめられていた意思は臥薪嘗胆、立志報復だった。

中国は89年の天安門事件で国際的に孤立し、西側から厳格に経済制裁を突きつけられて、経済が頓挫したため、爪を隠して国際社会における存在空間を広げながら、基本的には、経済力もつける必要があった。他方で西側の中国制裁を「われわれの政権転覆を狙う『和平演変』だ」と言っていた。
日本が真っ先に西側の掟を破り中国に助け船をだした。

北京五輪を契機に、中国はすっかり自信をつけたばかり、2010年頃にGDPで日本を超えて世界第二位となると、米国以外の指導者すら見下ろすような態度を取り始め、胡錦濤政権後期に「韜光養晦」路線をすてた。日本に対しては傲岸不遜、上から目線で「教えてやろうか」という態度に変わった。やっぱり、臥薪嘗胆、立志報復のしっかりとして意思を含んでいたのだった。

習近平となるとトウ小平路線などきれいさっぱりと忘れ去り、というより習はトウ小平やエリツィン、ゴルバチョフを嫌っており、改革など眼中にはない。尊敬するのは毛沢東だから始末がわるい。

韜光養晦は中国共産党指導部の記憶細胞から消えた。 
南シナ海に人工島を造成し、ベトナム、マレーシア、フィリピン、ブルネイ、インドネシアと領海をめぐる諍いがエスカレートした。

台湾海峡には連日、脅迫の武威、戦闘機から空母、巡洋艦に潜水艦、台湾侵攻は尖閣諸島占拠がセットになるから尖閣海域への海警艦船は武装して領海侵犯をくり返し、恫喝を継続させている。6月22日から23日の48時間で台湾上空に出現した中国の戦闘機は未曾有の77機に達した。

米国の有力シンクタンクCSISは「軍事力の衝突によらずとも海警の陣容を見れば、海上封鎖で台湾を日干しにする能力がある」と報告書を出している。
フィリピン沖合の珊瑚礁をうめたて、「ここは中国領だ、文句あるか」と白昼堂々の侵略行為を見せつけた。

さらに過去数年来、南太平洋の島嶼国家群への大規模に進出し、これら一連の中国の軍事的膨張にアメリカはすっかりつむじを曲げた。しかしそのアメリカとて、もはや単独での防衛は難しくなり日本のほかにインド、豪州とのシェアを重視している。


▼それでも中国を擁護しつづけたキッシンジャーはいなくなった

 中国の軍事的威嚇、恫喝の武威デモンストレーションは、米国、印度、日本、台湾、豪州を十分すぎるほどに刺激した。痴呆老人さえ習近平を独裁者と言い出した。強力なチャイナ・ロビィ、中国の代理人だったヘンリー・キッシンジャー元国務長官は視界から消えた。

 日本をも刺激した。なにしろ平和憲法、非武装中立の虚言を吐き続けてきた日本がGDP1%の防衛費枠を突破しても国民の反対はごく少数だった。バイデン政権は台湾にかれこれ十五回にわたって高性能武器を供与し、米海兵隊は台湾兵の訓練にあたっている。

さらにはアメリカでスパイ気球、スパイクレーンに技術スパイ、スパイ根城の孔子学院と、あらかたの最新技術を盗み出し、ハッカーを大々的に仕掛け、TIKTOKなどを使ってフェイク情報をおくり続けた。これほど無神経な行為はないだろう。アメリカを怒らせるにフルセットだった。

 ちょっと考えて見ても、中国の立ち居振る舞いは愚かではないか。
自らの野心を相手に邪推させることは戦略的思考から言えば愚昧きわまりなく、孫子が生きていたら「おまえ、何をやっているんだ」と怒り出すだろう。
しかし、もう一度よく考えて見ると、中国伝来の方式とは、外に向かって何かを喧伝しているとき、内部での矛盾を隠蔽している可能性が高い。
おそらく共産党高層部と軍のなかで、熾烈な権力闘争が起きているに違いなく、そうした脆弱性を糊塗するためにも、外部に向かって威張りちらす、居丈高に横暴に振る舞って国内矛盾をすり替えているように思えてならない。


ジョージア(旧グルジア)に中国が新港を建設   戦争中で支障ある北部回廊と紅海ルートの次の選択肢として

2024-06-27 07:06:52 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月24日(月曜日)
        通巻第8302号   <前日発行>
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ジョージア(旧グルジア)に中国が新港を建設
  戦争中で支障ある北部回廊と紅海ルートの次の選択肢として
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2024年5月29日、ジョージア(旧ソ連時代のグルジア)は、中国とシンガポールの企業連合が、ジョージア西部の黒海に深海港アナクリアを新たに建設すると発表した。
アナクリア港は黒海沿岸で戦略的に重要な位置にあり、ジョージアの既存の4つの港(ポティ、バトゥミ、クレヴィ、スプサ)に追加される。

2018年、ジョージア当局は中国鉄道国際グループ(CRECGI)と交渉を開始してきた。さきに名乗りを上げていた米国企業が撤退したばかりだった。関連の中国企業CCCCは南シナ海の無人島を埋め立て、人工島を造成して軍事基地の工事をおこない、米国産業安全保障局のエンティティリスト(ブラックリスト)に掲載されている。

すでに2015年から、ジョージアは実現可能性調査(フィージビリティ・スタディ)のあと、二国間の自由貿易協定を締結しはじめた。それまで貿易相手国上位だったトルコ、アゼルバイジャン、ロシアの寡占状況から交易相手の多角化を企図した。

2023年にはガリバシビリ首相が習近平主席と会談し、「戦略的パートナーシップ」を調印した。まったく新しい関係が中国とジョージアの間に成立した。手始めに両国はビザ免除協定に署名した。ジョージア国民は中国にビザ不要となった。

中国の狙いは「中部回廊」 (トランスカスピアン国際輸送ルート)にある。この現代版シルクロードはカザフスタン、カスピ海、アゼルバイジャン、ジョージア、そして黒海、またはトルコを経由して中国とヨーロッパを結ぶ。
トランスカスピアン輸送ルートは、ロシアとベラルーシを通過する「北部回廊」と、マラッカ海峡と紅海を結ぶ『海のシルクロード』に追加される選択肢となる。

というのも、北部回廊はロシアのウクライナ侵攻によって減速している。紅海ルートは海賊ならびにイランに支援された武装ゲリラ「フーシ」の軍事的脅威のため、新しいルートの増強が急がれていたのだ。
すでに中国企業は世界92の港湾プロジェクトに投資している。黒海沿岸のオデッサ、エーゲ海までつながるトルコのクムポート港など、主要な海上チョークポイントや海上交通路(SLOC)で戦略的拠点を確保しようする中国の戦略に基づいている。

しかし、中国が管理するギリシャのピレウス港、スリランカのハンバントタ港、カンボジアのシアヌークビルに近いレアル基地などで中国が担保権行使という悪例があり、いずれジョージアの新港も、中部回廊の重要拠点となって中国主導となることは目に見えている。 
世界の92の港湾プロジェクトのうち、中国が過半数の株式を所有しているのは13件(米外交問題評議会、2023年11月6日)。

 ▼昔の名前はグルジアでした。薔薇革命からジョージアと英語名にしたが。。。

 旧グルジアはソ連解体後、独立した。初代大統領は民族主義的で詩人のガムサフルーディアだったが暗殺され、ソ連外相だったシュワルナゼが二代目。アメリカが背後にあるとされた「薔薇革命」でアメリカ帰りのサアカシビルが三代目大統領となって、「ロシア何するものゾ」とアブハジア、南オセチア独立運動封殺の戦争を開始した。
ロシアの介入で軍事作戦は失敗し、プーチンの傀儡と言われる「アブハジア大統領」と『南オセチア大統領』がいてジョージア政府の統治が及ばない。

 日本外務省のジョージア分析によれば、「ロシアとは、アブハジア及び南オセチア問題、ジョージアのNATO加盟に向けた動き等を背景に緊張関係が続く中、2008年8月、ジョージア軍と南オセチア軍の軍事衝突にロシアが介入したことで、緊張は武力紛争に発展。EU等の仲介により停戦したものの、ロシアが南オセチア及びアブハジアの独立を一方的に承認するとジョージアはロシアとの外交関係を断絶した」

 ジョージアはEU加盟を申請し、また基本的に親西路線でNATO加盟も希求しているが、ウクライナ戦争を前に交渉は挫折している。
 そうこうしているうちに2024年4月頃からジョージアでは「外国の代理人」騒動が持ち上がり、各地でデモ隊と警官隊が衝突した。ジョージア議会は5月14日に、最終的に可決した「外国の代理人」とは外国から資金提供を受ける団体を規制するもので、政権の意向に沿わないNGOなどの活動を制限するもの。
あきらかにアメリカの影響力排除を狙うものだが、抗議運動の背後にちらつくのが、獄中にあるサアカシビル元大統領の影だ。

ガリバシビリ首相は「われわれはウクライナの二の舞を演じない」と言明し、外国の代理人法を正当化した。民衆は「ロシア法」などと呼んで批判、首都トビリシの議会周辺では連日、抗議デモが行われたが尻すぼみとなった。

「資金の20%以上を外国から得ている団体」と「外国勢力の代理人」として登録を義務付けるのはどの国でも同じだろうが、ロシア大統領府が反対派や市民社会の弾圧強化に利用してきた法律に酷似しているため批判が強かった。しかしジョージア政府の狙いは薔薇革命のようなアメリカが背後にいる運動を排除し、2014年にウクライナのマイダン革命がそうだったように再びアメリカが設計するような政治とは距離を置くという声明なのである。 

モデルとなる法律は、ロシアで施行されており、アクーニンのように多くのロシアの反体制派作家は外国へでた。
またロシアでは、独立系のメディアが抑え込まれ、英字紙でリベラルな『モスクワタイムズ』も「外国の代理人」よばわりされている。


中国は30万エーカーのアメリカの農地を購入していた   フォート・リバティ軍事基地などに隣接する19ヶ所が危険だ

2024-06-27 07:05:30 | 日記
 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月23日(日曜日)
        通巻第8301号   
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 中国は30万エーカーのアメリカの農地を購入していた
  フォート・リバティ軍事基地などに隣接する19ヶ所が危険だ
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中国の土地の爆買いは日本で顕著である。自衛隊基地の隣など、北海道では水源地や森林も対象として手当たり次第だ。マンションを一棟まるまる買うのは投機用だろうが、軍事目的の購買は安全保障上、危険きわまりない。

全米一の農地保有者はビル・ゲーツである。
中国が30 万エーカー以上のアメリカの農地を所有していることが分かった。とりわけ軍事基地近くの地域をターゲットにしている。中国は現在、19ケ所の米軍基地のすぐ近くに農地を所有している。
敵国がアメリカの農地購入など国防上、許されるべきではない。中国の目的は軍事基地をスパイすることであると共和党の議員らが危険視している。

 ニーヨークポスト紙によれば、このリストには「最も戦略的に重要な基地」がいくつか含まれている。ノースカロライナ州フェイエットビルのフォート・リバティ(旧フォート・ブラッグ)、テキサス州キリーンのフォート・カバゾス(旧フォート・フッド)、カリフォルニア州サンディエゴの海兵隊基地キャンプ・ペンドルトン、フロリダ州タンパのマクディール空軍基地などだ。

ウォールストリート・ジャーナルは、中国人が「軍事基地やその他の機密施設」に100回近く立ち入ったとし、何人かを逮捕したと報じた。

スパイの遣り方は巧妙で観光客を装って迷い込んだふりをした中国のスパイが基地を撮影していた。こうした観光客擬装スパイを米軍関係者は「ゲートクラッシャー」と呼んでいる。

いまごろカスペルスキーのウイルス対策ソフトを禁止したところで   TIKTOK禁止措置があまりにも手遅れだったように

2024-06-22 23:25:43 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月22日(土曜日)弐
        通巻第8300号   
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 いまごろカスペルスキーのウイルス対策ソフトを禁止したところで
  TIKTOK禁止措置があまりにも手遅れだったように
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バイデン政権はロシアのサイバーセキュリティ企業「カスペルスキー」製のウイルス対策ソフトを米国内での一般販売を禁止する。
{?}。なんで今頃?
カスペルスキーはウイルス対策ソフトの開発で世界的に有名な企業、日本を含む世界200ヶ所に拠点がある。

カスペルスキー社とロシア政府とは密接な関係があるとされ、米国に「重大なリスクをもたらす可能性がある」というのが、バイデン政権の言い分である。ファーウェイ,TIKTOK排斥理由と似ている。
なぜならカスペルスキーのソフトが広範囲なコンピューターシステムにアクセスすることで、米国のユーザーから機密情報を盗んだり、マルウェアを紛れ込ませたりする可能性があるからだ。

とはいえ、すでに民間企業や個人の間に普及し、日常使われている。これまで禁止対象だった政府、連邦機関、軍、警察、情報機関はとうの昔から使用は制限されてきた。国家の中枢の機密は厳密に守られてきた筈であり、いまさら一般使用を禁止したところで、どれほどの効果が望めるのだろうか?

当時、ユージン・カスペルスキーCEOは「根拠のない妄想」と非難し、訴訟を起こした、ものの裁判所はこれを却下した。
制限、もしくは禁止措置は2024年9月29日に発効し、カスペルスキー社は、それから30日後に米国で禁止される。

 カスペルスキーは、1997年に設立。モスクワに本社を置き、英国の持株会社によって運営されている。英国系企業というイメージを付帯させ、200を超える国と地域で事業を展開している。

世界中に4億人のユーザーを抱え、「カスペルスキー JAPAN」は東京神田に日本支社が、大阪に関西営業所があって、日本人ユーザーも多い。
 したがって、このバイデン政権の措置は、「坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い」の類いではないか。
「中国政府と繋がっているから」と言って、TIKTOK禁止に踏み切ったが、アメリカでTIKTOKユーザーはすでに1億7000万人もいる。

トランプはTIKITOK禁止に反対意見をのべ、「この禁止措置で喜ぶのは(ビジネスが増える)フェイスブックだ」と言った。言外にフェイスブックはもっと左翼的だと示唆しているのである。


 ▼ハッカー攻撃に脆弱きわまりない日本

2023年3月に、遅れに遅れたが自衛隊に「サイバー防衛隊」が発足した。規模は僅かに540人。中国は17万5000人のサイバー戦部隊、北朝鮮は6800人。ランサムウェアでハッカー攻撃を仕掛け、数十億円の身代金を稼ぐ専門部隊である。

 最近の被害はニコニコ動画のKADOKAWA、そして宇宙航空の大本JAXA(宇宙航空研究開発機構)だ。とくにJAXAは2023年から複数回のサイバー攻撃を受けていた。
中国系ハッカーによる攻撃で、大量のファイルが閲覧された形跡があり、なかには秘密保持契約を結ぶ外部の企業や機関の情報も含まれていたという。

 KADOKAWAドアンゴの場合は、桜チャンネルなど保守系の発信に支障がでており、しかも復旧が七月末になるというから大きな被害がもたらされた。
サイバー戦争に於いて、日本の専守防衛という退嬰的な発想が限界にきていることを物語っている。

 これまでにも発電所、緊急医院や水道局、変電所、港湾ターミナル、空港、鉄道駅など社会のインフラを狙う恐喝ハッカーが猖獗し、民間企業でも大手銀行、菓子製造メーカーや就中、トヨタなどは全工場が操業停止に追い込まれたほど。

 おそらく米国は中国系ハッカー部隊への攻撃を仕掛けてきたと推測されるが、中国は自分たちが受けたダメージについては発言をしない。


「米国はゼレンスキーをスケープゴートにするつもりだ」とプーチン   北朝鮮と越南訪問、プーチンの目的は孤立からの打開だけ?

2024-06-22 23:24:02 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月22日(土曜日)
        通巻第8299号   
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「米国はゼレンスキーをスケープゴートにするつもりだ」とプーチン
  北朝鮮と越南訪問、プーチンの目的は孤立からの打開だけ?
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北朝鮮訪問からベトナムへ向かったロシアのプーチン大統領は、ハノイで記者会見に臨んだ。
「ウクライナは事態が悪化している。西側メディアがゼレンスキー大統領に反発している。ウクライナの指導者は不人気な意思決定により、まもなく交代するだろう。ワシントンはゼレンスキーをスケープゴートにするつもりだ」と示唆した。

「西側諸国は、まだ後任を望んでいない。誰の目にも明らかだと思うが、(欧米は)徴兵年齢の引き下げを含め、不人気な決定のすべてを彼のせいにするだろう」とプーチン大統領は発言した。
「ゼレンスキー更迭(プーチンは「交代」の語彙を選んだ)は来年の前半に起こる」。

 徴兵担当官が路上で男性を暴力的に捕らえるなど、ウクライナ国民の間に大規模な反対運動の兆候があるとプーチンは付け加えた。
ドイツでも兵役を逃れたウクライナ男子の難民が25万人いることが分かっている。
 プーチン大統領は記者団に対し、「我々は水面下で協議を行ってきたが、期待は外れた」と語った。

 さてプーチンの北朝鮮と越南訪問の成果は何か?
 6月18日、プーチン大統領は北朝鮮を24年ぶりに訪問し、攻撃を受けた場合には相互に援助し合う戦略協定に署名した。両国は第二次世界大戦後の北朝鮮建国以来の「同盟国」であり、ウクライナ侵攻でプーチン大統領が孤立して以来、むしろ緊密になっている。
 金正恩はプーチン大統領を「朝鮮人民の最も親しい友人」と呼び、ウクライナ戦争に対する「全面的な支持と連帯」を誓った。
米欧ならびに日本はロシアと北朝鮮の新たな協定について「深刻な懸念」を表明した。

 6月20日、プーチンはハノイに飛んでベトナムの首脳四名と会談した。
 ウクライナ戦争によるロシアの孤立化は深刻である。プーチンの目的は同盟関係を強化することにあり、12の協定、なかでも両国の相互防衛協定に署名した。
「双方は地域と世界の平和と安全のため、防衛と安全保障、国際法に基づいて安全保障上の協力を強化したい」とハノイ側が発表した。
 ロシアは数十年にわたりベトナムの主な武器供給国であり、1995年から2023年までにベトナムの武器供給の八割を締めていた。

 バイデン米大統領はすでに2023年9月にハノイを訪問し、関係強化を図った。バイデン政権は、米国の中国依存を減らすため、ベトナムを主要なハイテク部品の代替供給国として育成する方針である。
 慌てた北京は3カ月後には習近平国家主席が公式訪問を行った。

 ベトナムはロシアのウクライナ侵攻を非難する国連決議では棄権に廻った。
プーチン大統領はベトナム共産党の機関紙『ニャンダン』に寄稿し、ベトナムの「バランスのとれた姿勢」を評価した。
外交上の成果があがったというより孤立打開の宣伝演出の側面が強い。