家からほんの数十メートルのところで遭遇した、これは事件だったのか?
寒い風が吹く中、一刻も早く家に…と思いながらスタスタと歩いていたら。
後ろから、ものすごいサイレン音が。
パトカー数台分と思われる。
が、数台分とはいえ、ニューヨークではパトカーのサイレン音は珍しいことではない。
家の界隈では特に。
何も起こらないことがないこの街で、
パトカーのサイレンにいちいち反応していては、疲れてしまう。
なんだけど?
その近づいてくるサイレン音とパトカーが私を追い越す前に、
私の目に入ってきたもの―。
全力疾走する男性1人
と、
それを同じく全力疾走で追う警察官3人。
その状況に、思わず立ち止まって「ぽかん」と見ちゃっていた人、
私を含め数十人。
おそらく。
騒然とする以前に、沈黙。
皆、何が起きているのか「?」状態。
もちろん、全力疾走する男≒犯人とそれを追う警察官なのは分かっているのだが。
その現場。
バスのルートでもある結構な大通りは、私の家と駅までを繋ぐ通りでもある。
車道を走っている車は路肩に寄り、その間を、パトカーと走る警察官が「どけどけどけどけー」状態。
歩道もあるのだが、
犯人(と思われる)は歩道をひたすら走る。
警察官のひとりは、彼の後を追う。
もう2人は、彼より先回りして捕まえようと、車道を走る。
徐行気味に走っていたパトカーも抜かして。
驚いたのは、その全力疾走の速さ。
犯人(と思われる)男、わりと小柄。
肌は浅黒く、髪は黒。
その速いこと、速いこと。
人があんなに真剣に全力疾走(しかも街中で)しているところ、初めて見た気がする。
上半身がぶれてないの。
美しきフォーム、陸上選手並み?
ホント、そのくらい。
…で、一方。
追う警察官(先回りを試みて車道を走っていた男性)はわりと大柄。
ザ・アメリカンって感じの。
その人も速かった。
さすが警察官だね、とか思っちゃったくらい。
そして、大柄の人の全力疾走は迫力がある。
間近で見たから余計にか。
一瞬の出来事だったが、まるでスローモーションのようでもあった。
実際その数十秒の間に、いろんなことを思ったわけで。
風のように去っていった犯人らしき男性と警察官、パトカーの群れが
私の目指す方向前方で、何やらまだごちゃごちゃしている様子をぼんやり見ながら、
つまるところ、何だったんだ?
…ま、こんな現場に遭遇することもそうあるもんじゃないし、
これもひとつの経験ということで…
なんて思っていたら。
家へのルートの最終コーナー(曲がり角)となる大きな交差点で、目にしたもの。
先ほどのパトカーの群れが交差点をふさぎ、周りには、約20名ほどの警察官。
そして、交差点付近はパトカーにより、一時封鎖。
周りには、何だかよく分かんないけど、何が起きているんだ?状態で集まってくる人の群れ。
どうやら、さっきのチェイス(追いかけっこ)は大ごとだったようだと気がつく
そーは言っても、結局何かは分からないし、寒いから一刻も早く帰りたかったんでしょ?自分!
と思い直し、家の方へ歩き出そうとしたら。
おばちゃんが、野次馬たちに説明している声が耳に入ってきた。
「Cop missed the criminal.....to take his gun away from him....」
ガン?
おぉ、そりゃ大変だ。
しかも、あんなに全力疾走しておいて、逃がしたらしい。
ガン(銃)も捕り損ねたうえに。
(おばちゃんの言っていることが本当だったらば)
その後も辺りはごちゃついていたが、
すぐ目の前に家が見えていた私は、おとなしく家に帰った。
以上、映画のワンシーンのような現場。
いや、むしろ映画よりリアル…
というよりはむしろ、リアリティ(現実)を目にした一夜であった。
…で、本題とまで言わないが。
以前、先輩が、
「ニューヨークの街中を走っているのって、何か悪いことしたヤツだって言うよね…」
って言っていた。
岡田光世さんのエッセイ「ニューヨークのとけない魔法(文春文庫)」の中でも、
「マンハッタンの街中を走っている人は、ほとんどいない…アメリカでは気をつけた方がいい。
全力疾走で走っているのは、泥棒くらい…」
というストーリーがあった。
まさにこのコト…と、妙に納得した夜でもあった。
そーいうことで。
日本では、忙しい朝のラッシュ時に走るのは当たり前のことではあるが、
トコロ変わればジョーシキ変わるということで。
同じ大都会でも、ニューヨークの街中を走ろうもんなら、それは“非日常”な人になりえます。
同時に、見ず知らずの人が、
「Come Down! Come Down!(落ち着いて~)」とか
「Hurry! Hurry! You're going to be late!(急げ~遅れるぞ~)」などと
声をかけてくれることも確かだったりします。
私、コレ(↑)に遭遇したこと多々あり。
せっかちな日本人なのね、あたし。
今年もお元気でご活躍下さい。
楽しみに拝見しています。
ブログもメトロポリターナも!
ありがとうございます。
今のところ何とか大丈夫です。
危険なことも経験のうち…って言えるのは、今元気だから!
ちなみに、メトロ2月号は明後日配布ですので、東京メトロご利用の際はぜひ…。ってすっかり宣伝失礼しました。