いしころにっき

石原石子の日記です

真夜中のランデブー

2009-03-17 00:47:12 | 知らないひと
帰り道


早稲田通りを一直線。
自転車をこいでいると、


うしろから


シャコシャコシャコシャコ


自転車の音がきこえます。



気になる


とおもったら

速度が
私と同じです。



シャコシャコシャコシャコ



中野あたりから
音がきこえだしたので
きっと中野からです。



シャコシャコシャコシャコ



私のうしろで追従してきます。
とてもイヤーな気分です。

ついと
うしろをふりかえると
20代後半くらいの男です。


襲われる

とかいう乙女チックな心配はありませんが
見知らぬ男と息が合わさっているのが
なんとも

気分がよろしないです。


なんとかしたいとはおもうけれど


私もつかれていて

自転車の速度を
早くするのも
遅くするのも
イヤなので
いかんともしがたいまま


彼とランデブーです。



中野
環七
高円寺


早稲田通りをひた走り


まもなく阿佐ヶ谷



私の家がちかづいてくると
やっとこの束縛から解放される
早稲田通りから細い道にもうすぐはいる
そうすれば


彼は早稲田通り
私は細い道

これで


さようならー


と細い道に
くいっと
私ははいりました。

すると
彼は彼で
くいっと
細い道に
はいりました。


私は
愕然としました。



お前は何者だ



とおもいました。


このまま
私のアパートまで来る気なのだろうかと
彼を疑いました。



そこで私は
私の住んでいるアパートの目の前で
わざとらしく

きゅっと

止まり

彼が私のうしろで
止まりはしないかと
前を向いたまま
全神経をうしろの彼に
そそぎました。


すると彼は



シャコシャコしながら



ついと
通り越していきました。



私のことを
気にする様子もなく
通りすぎました。


心に少し
風がふきぬけました。


私がこんなに
彼のことを気にしているのに
彼は私のことをふりむきもせず
去っていってしまうなんて。



いけず。



とおもった帰り道でした。