いせ九条の会

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米国政府も変化の兆しが、しかし日本の二大政党は…/山崎孝

2008-10-30 | ご投稿
【米国:タリバンと対話の新戦略、次期大統領に重い課題】(2008年10月30日の毎日新聞HPより)

 治安悪化が著しいアフガニスタン、パキスタン情勢で、米国が武装勢力タリバンとの対話を検討していることが28日明らかになった。武力行使に偏ったこれまでの戦略が両国情勢を泥沼化させた反省から、対話を含めた硬軟取りまぜた新戦略へと方針転換を図るものだ。だがアフガン、パキスタン両国民の反米感情が極めて強いなか、両国政府は「米国離れ」ともいえる動きを見せている。新戦略で、両国を対テロ戦同盟国につなぎ留められるか、間もなく選ばれる次期米国大統領は、重い課題を背負う。

【ワシントン草野和彦、ニューデリー栗田慎一】ブッシュ政権は、アフガンに対する包括的戦略見直しの一環として、タリバンとの対話方針を打ち出した。

 政権のアフガン戦略はいま、八方ふさがりの状況だ。タリバンの勢力回復でアフガンの治安は極度に悪化し、昨年、米兵の死傷者は過去最悪の843人に上った。治安悪化の主な原因は、パキスタン側からの武装勢力の越境にあるとして、米軍はパキスタン領へ越境攻撃を続けている。

 しかしこれが、パキスタン国民の反米感情をかつてないほど高めた。パキスタン政府は29日、外務省に米国大使を呼び越境攻撃に厳重抗議。対テロ戦での両国同盟関係は深刻な危機を迎えている。

 ブッシュ政権はイラクで、国際テロ組織アルカイダと反米で共闘していたイスラム教スンニ派部族に資金や武器を提供し「反アルカイダ」に転換させた。

 その経験を基に、アフガンでもタリバン穏健派を寝返らせ、あわよくばアルカイダ掃討に加わらせることができればという思惑で、方針転換を図っているとみられる。

 だが、対話の相手を穏健派に限定する米国に対し、アフガン政府はすでに、強硬派で米軍のアフガン撤退を求める最高指導者オマル師に対しても和解交渉を呼びかけている。

 アフガンでは米軍の攻撃で市民の犠牲が相次いでいることなどを背景に、反米・反政府世論が高まり、強硬派が勢力を伸ばしている。来年後半にも予定される大統領選で再選を狙うカルザイ・アフガン大統領は、もはや米国に従うだけの政権運営は困難だ。今後、両国のズレが広がれば、アフガン政府までも米国の制御が及ばなくなる可能性がある。

 米大統領選でオバマ、マケイン両候補は、ともにアフガン重視の姿勢を打ち出している。ブッシュ政権の新戦略は、次期米大統領に負の遺産を残さない配慮ともいえる。だが、次期政権に託された「タリバンとの対話」が失敗し、パキスタン、アフガン両国が米国から完全に離れる事態をもたらせば、米国にとっての対テロ戦は、さらに終わりの見えない泥沼に入り込む。

【駆けつけ警護 政府解釈変えず 官房長官 “違憲の恐れ”】(2008年10月29日のしんぶん赤旗HPより)

 河村建夫官房長官は二十八日、アフガニスタン本土への陸上自衛隊輸送ヘリ派遣を米国から要請されたとの報道に関して、「(ヘリ派遣に伴い応戦した場合は)憲法九条で禁じた武力行使にあたる」との憲法解釈は変更しないとの立場を示しました。同日の参院外交防衛委員会で日本共産党の井上哲士議員に答えたものです。

 河村長官は、自衛隊ヘリが他国軍の負傷兵を前線から輸送する際に、攻撃を受けて自衛隊が応戦する「駆けつけ警護」について、「『攻撃する相手が国または国に準じる組織の場合、憲法九条で禁じた武力行使にあたるおそれがある』との立場については、現在でも変更がない」と述べました。

【コメント】政府の憲法解釈は内閣法制局の見解を踏まえた従来通りのものです。麻生首相の集団的自衛権行使の容認へ向けての解釈変更を積極的に検討していく考えの表明や、民主党の直島政調会長の状況によっては憲法解釈を変えることもあるという国会での意思表明は、どのようなことを根拠にして、憲法解釈を変えようとしているのでしょうか。

アフガニスタンの情勢は、米国の武力行使に偏ったこれまでの戦略が両国情勢を泥沼化させた反省から、対話を含めた硬軟取りまぜた新戦略へと方針転換を図る姿勢を見せ始めています。けれども日本の二大政党は、日本が海外での武力行使を可能にする方向に進もうとする姿勢を見せています。