いせ九条の会

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ソマリアでの海自の派遣は、海外での武力行使の露払いが狙い/山崎孝

2008-10-18 | ご投稿
(2008年10月18日の朝日新聞HPより)麻生首相は17日の衆院テロ対策特別委員会で、東アフリカのソマリア沖で横行している海賊対策のための新法を検討する意向を明らかにした。具体的には、海上自衛隊の艦艇による商船護衛や哨戒機P3Cによる監視活動などが浮上しそうだ。政府はインド洋での給油活動に続く国際貢献策として、野党の協力を得て実現したい考えだ。

 首相は、ソマリア沖での海自の国際貢献を求めた長島昭久氏(民主党)らに対し「海賊行為は新たな脅威になりつつある。法制上どういうものがあるか検討したい」と述べた。その上で「一つの艦船が航行するだけで海賊行為の抑止力が働きうる。与野党で検討する用意は十分ある」と、野党側に協力を呼びかけた。

 国連安全保障理事会は6月、ソマリア領海内での海賊取り締まりを認める決議を採択。今月7日には、関係国に無期限の海賊制圧を求める決議も採択した。日本は両方の決議の共同提案国に加わった。インド洋での給油支援以外にも国際貢献に積極姿勢を示す狙いがある。アフガニスタン本土への自衛隊派遣が困難という事情も背景に、政府内でかねて海賊対策の可能性を探っていた。

 具体的には▽海自艦船が対象海域を航行する商船を護衛▽哨戒機が海賊の動向を監視▽後方支援として他国の海賊対策船に給油――などの案が検討課題となりそうだ。

 ソマリア沖周辺では、すでにテロ対策の一環として米国を中心とする多国籍軍が海上阻止活動を実施。さらに安保理決議を受けて欧州連合(EU)の有志国が海軍艦船を派遣する計画を立てている。

 問題は、自衛隊が海賊に対して実力を行使した場合、憲法が禁じる「武力行使」に抵触しかねないことだ。海自艦船が海賊から攻撃を受けた場合の対応について、首相は「軍艦に向かって襲ってくる海賊船はあまり聞いたことがない」と述べるにとどまり、突っ込んだ議論を避けた。また、反政府勢力の海賊船が外国船を攻撃している現場に海自艦船が駆けつけて応戦することができなければ、海自が他国海軍と海域を分担して警備する形での協力が難しくなる可能性もある。

 防衛省によると、ソマリア沖やアデン湾では、今年に入り未遂も含め66件の海賊事件が発生している。4月には日本郵船の大型原油タンカー「高山」が襲撃を受け、8月にも日本企業が管理するタンカーが海賊に約20日間乗っ取られる事件が起きた。(山田明宏、金子桂一)

【コメント】ソマリア沖などの海賊対策のために自衛隊の艦船を派遣する考えは、国民の納得し易いような形で、自衛隊の海外での武力行使の先鞭(露払い行なう)をつける狙いがあると思います。麻生首相は「一つの艦船が航行するだけで海賊行為の抑止力が働きうる」と述べます。現在では不審船に対応するために海上保安庁の船は、装備が強化されて防備がかなり出来るようになっています。より装備を強化した保安庁の巡視艇を増やして派遣することは可能です。

海賊の取り締まりは、本来は警察の分野で、海上保安庁の仕事の延長とも言えるものです。今までもマラッカ海峡の海賊対策として海上保安庁を通して、マラッカ海峡に接する国に最新鋭の巡視艇を提供しています。海上保安庁を使えば、海賊対策以外には転用はできません。

考える基本は、憲法の規定を守る立場に立って物事に対処するかどうかです。