静かの海

この海は水もなく風も吹かない。あるのは静謐。だが太陽から借りた光で輝き、文字が躍る。

神の国アメリカ(1)

2009-09-18 10:38:21 | 日記
  (本日のメモ・・・今朝の新聞報道;米医療保険改革を巡るオバマ大統領への議会などでの厳しい批判について、カーター元大統領が背景に「人種差別がある」と指摘・・・。オバマ政権側は、「考え方の違い」としている)。

 1 はじめに

 2009年1月20日、アメリカではオバマ大統領の就任式が行われ200万人が参列したといわれる。
 その就任にあたってマイケル・ハーシュという人が米紙ニューズ・ウィーク上で、オバマ時代は主戦論や宗教的熱狂・反知性主義が敗北する時代だと断言し「オバマ氏は信仰を本来あるべき位置、つまり教会の信者席にとどめておく人物だ」と書いたらしい。それに対しワシントンポストのコラムニスト、マイケル・ガーソン氏は次のような反論を毎日新聞に寄せている(毎日新聞、09・2・5)。
 ガーソン氏は「アフリカ系米国人の信仰が教会の中にとどまっていたら、公民権運動は盛り上がっただろうか(キング牧師の公民権運動などが念頭にあったと思われる)」と問い、オバマ氏は選挙期間中「銃や信仰にしがみつく」人々を批判する立場に立ったが、このような思想的な偏狭さが、米国の団結が必要なときにオバマ氏の最大の障壁になるだろうという。しかしその後オバマ氏は選挙中にこのような主張を消し去ったとガーソンシ氏は評価し、この文の最後を「私も祈りをささげよう。神よ、オバマ大統領に祝福を。そして(宗教や信仰を軽視する)一部の支持者からも、オバマ氏を救いたまえ」と締めくくった。
 一読してわかるように、この文自体がすでに神がかっている。ここにはオバマ氏が置かれた立場が象徴的に現れている。オバマ氏個人がどうあれ、この合衆国屈指の極めて影響力のある新聞のコラムニストのような考え、それはオバマ氏のもとに圧力となって押し寄せているのだと思うが、その力を撥ね退けることは至難の業であろう。「チェンジ」は決して容易ではない。