ただの偶然なのですか

私のお気に入りと日々の感想  

2008年に劇場で観た映画

2008年12月26日 | 映画
今年、私が劇場で観た映画を、お気に入り順に並べてみました。

ベストワンは「ダークナイト」です。
心理的なテーマの深さが素晴らしく、ドキドキする見せ場の連続が最高で、生涯ベストテンにも入りそうなくらいの作品です。

その次は「ラスト、コーション」です。
街並や衣装や音楽など、映画全体の雰囲気が異国情緒というか恋愛情緒にあふれていて、恋愛における当事者達の痛切さが実感としてわかる感じがしました。

以下の作品の順番は次のとおりです。


「ダークナイト」
「ラスト、コーション」
「ラースと、その彼女」
「ジェイン・オースティンの読書会」
「ヒトラーの贋札」
「告発のとき」
「マンデラの名もなき看守」
「ある愛の風景」
「つぐない」
「アフタースクール」
「トゥヤーの結婚」
「悲しみが乾くまで」
「イースタン・プロミス」
「トウキョウソナタ」
「ぐるりのこと。」
「ヤング@ハート」
「ぼくの大切なともだち」
「おくりびと」
「モンゴル」
「レッドクリフ」
「魔法にかけられて」
「俺たちフィギュアスケーター」
「君のためなら千回でも」
「最高の人生の見つけ方」
「言えない秘密」
「この自由な世界で」
「モンテーニュ通りのカフェ」
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」
「銀幕版 スシ王子! ~ニューヨークへ行く~」


昨年は年末にお気に入り順を考えたのですが、今年は観た直後にその都度、順番を考えました。
でも、時間が経つと印象が変わってくる映画もあって、この順番を変えたくなります。
時間の経過とともに作品の解釈が熟成されてくることもあるようです。





映画「ラースと、その彼女」の感想

2008年12月23日 | 映画
他人の心の中は外からは見えない。
人と関わるためには、他人の心の内を思いやる想像力が必要。
そして、他者の心の内を想像するのは、なかなか難しいことでもあります。
しかし突然、突拍子も無い形で誰かの心のSOSが目の前に表出したら…。

ラースは内気な青年で、人との関わりを恐れ特に女の子と接するのが苦手です。
そんな彼を心配している兄嫁は、ラースを食事に招待しますが断られてしまいます。
でも、ある日、ラースは恋人が出来たと言って兄夫婦に紹介します。
しかし、ラースが連れてきた彼女は、なんと等身大のラブドールでした。
それまでラースのことを大丈夫だと思っていた兄は、ラースの心の中を目の当たりにして驚愕します。
そのラブドールはラースの孤独と不安が具現化されたものであり、彼の心の中では彼女は本物の女性として認識され実在しています。
ラブドールに真面目に真剣に接するラースを見て、あわてふためき唖然とする兄夫婦の様子には笑ってしまいました。
しかし、兄夫婦も町の人々も、そんなラースを笑ったりはしません。
まるで繊細で壊れやすい宝物のようにラースの心を大切にし、ラブドールを受け入れて本物の人間として扱い、ラースの妄想に付き合います。

この町の人たちの相手を思いやり受け入れる心の温かさ優しさが素晴らしいです。
心優しいラースが町の人たちから愛されているのがわかります。
そして、ラースの心の中を思いやり寄り添うことによって、町の人々が温かい心で繋がっていきます。
他人と関わるとはどういうことか、コミュニケーションとは何なのかということを考えさせられました。
もし他人の心の内を想像することができなければ、逆に他者は人形と同じ存在になってしまうでしょう。
そして、コミュニティーの大切さと、それが持つ治癒力について学んだ気がしました。
おとぎ話のようですが、人と人との関わりが深い小さな町なら、こんなふうに温かいコミュニティーが築けるかもしれないと思いました。
こんな町でなら、うちの息子のような子たちも幸せに暮らせるんじゃないかしらと思ってしまいました。






映画「この自由な世界で」の感想

2008年12月18日 | 映画
「自由な世界」という言葉から、どんな世界をイメージしますか?
「自由」の意味にもいろいろありますが、私が抱く「自由」のイメージは、開放的で伸び伸び生きられる世界、なんとなく明るい感じの言葉だと思っていました。
でも、この映画で描かれているのは「自由市場」という世界です。

ロンドンで暮らしているシングルマザーのアンジーは、勤めていた職業紹介会社をクビになってしまいます。
理不尽な扱いを受けてきたアンジーは、それならばと自分で職業紹介所を立ち上げます。
バイクに乗って営業先を回り顧客を開拓し自分で道を切り開いていくアンジーの姿は、最初はパワフルでかっこよくて反骨精神にあふれています。
幼い息子と一緒に暮らせるようになるために必死に働くアンジーには、不法移民の家族を救おうとする優しい一面もあったりします。
しかし、競争にさらされ利益を追ううちに、彼女は他者を犠牲にするようになっていきます。
それでも、アンジー自身も豊かにはなれず、相変わらず多額の借金を抱えています。
最初は颯爽としていたアンジーですが、その表情はどんどん険しく目つきはキツくなっていきます。
搾取される側から搾取する側になったアンジーは、ますます他者を犠牲にするようになり、「自由」な道を突き進んでいきます。

自由市場なのは日本も同じで、価格の安さを求めるあまり生産工場を国外に移し、賃金の安い外国の労働者から搾取しているのは私たちも同じなのではないか…。
また、国内においても、ここ数ヶ月の間の雇用状況の急激な悪化と短期雇用の問題点が浮き彫りにされるのを見ていると、自由市場の非情さに、これでいいのかと考えさせられます。
この映画を観たのが半年前ならもっと実感が少なかったかもしれませんが、全世界的に自由経済が崩壊しつつある今では、「自由」という名の残酷さ冷たさに、人間的な温かさを失った不条理を感じました。
搾取される者たちの怒りがアンジーに向かいますが、その怒りは私にも向けられているような気がしました。

自由経済の競争の中を生き抜くには、他人を犠牲にするのは仕方のないことなのでしょうか。
もはや“神の見えざる手”もあてにはならず、このまま自由市場は崩壊するのでしょうか。

搾取される側の痛みを同じ人間として感じないのか。
搾取する者は搾取される者より偉いのか。

そんな問題を突きつけてくる作品です。




ドラマ『RESCUE~特別高度救助隊』予告CMの感想

2008年12月14日 | お気に入り
中丸くんが初めて主演を務めるドラマ『RESCUE~特別高度救助隊』が、来月から始まります。
高い所が苦手で体も細い中丸くんがレスキュー隊員を目指すなんて、精神的にも肉体的にも、リアルで中丸くんの成長物語になりそうです。
昨日、予告CMで頑張っている中丸くんの姿を見たら、夢のなかでも中丸くんのドラマを見てしまいました。
初主演ということで、精神的にかなりのプレッシャーを感じているでしょうね。
それに加えて、毎日ハードな訓練を積んで、寒い中で川に入ったり、重いボンベを背負ったり、綱渡りをしたり、高い所から降りたり、火災現場もあるでしょうし、撮影のハードさは想像を超えるものがあるでしょう。
でも、そんな不安やプレッシャーを突き抜けて出てくる中丸くんのオーラには、芸能人らしからぬ特別な魅力があふれています。
私はもう中丸くんのことが心配で心配で、心はいつも中丸くんのところへ飛んでいます。
でも、私にできることは応援することだけ。
「絶対に生きて帰る!」と予告で中丸くんが言っていたので、中丸くんを信じて見守ります。
大好きな人が成長する姿を見ていけるなんて、幸せなことですよね…。
中丸くんが元気でいられるように、ドラマの撮影中は毎日、私のエネルギーの3分の1をテレパシーで中丸くんに送り続けます。

映画「レッドクリフ Part Ⅰ」の感想

2008年12月10日 | 映画
歴史ものというか合戦シーンが苦手なので観ないつもりでしたが、娘が「ちょー、おもしろかった!」と言うので、私も観にいってきました。
でもやっぱり、延々と続く合戦シーンには乗れませんでした。人混みが苦手なので、大群を見ているだけで疲れちゃいました。それでも、いろんな戦法や隊形を迫力ある映像で見ることができたのは圧巻でした。私の横に座っていた男性4人のグループも「ああ、おもしろかった!」と口々に言っていたので、合戦シーンが好きな方には見ごたえがあるのでしょう。

私的には、トニー・レオン様の濡れ場が見られたのでよかったです。相変わらず哀愁をおびた雰囲気があって素敵でした。でも、こんな色男が戦えるのかしら?と思ったら、見た目は華奢なのにそこそこ強くて、濡れ場と合戦シーンの人物像が乖離しているように感じてしまいました。この周瑜の人物像って史実に基づいているんですよね?
金城武さんが演じる孔明も、あんなにイケメンだったのでしょうか。

PartⅡを観にいくかどうかは、まだ決めていません。
「でもママ、歴史の授業で習ったんだから、どっちが勝つか知ってるんでしょ?」って娘に言われましたが、知りません。歴史はいつも赤点でした。私は大局的に物事を認識する能力が足りないみたいです。気になるのはトニー・レオン様が演じている周瑜の運命だけです。
でも、この戦いは、一人の女性を自分のものにしたくて始めたことなんですか?
どんなに大きな歴史の流れも、結局は色恋や個人の感情が左右しているってことでしょうかね・・・。




映画「ヤング@ハート」の感想

2008年12月04日 | 映画
ほとんど事前情報もなく観にいったらドキュメンタリーだったので「やられた!」って感じです。
私の中では、映画とドキュメンタリーって別ジャンルなんです。
だってドキュメンタリーは「事実」なんですから、その圧倒的な説得力の前では、下手な感想なんて意味がないですよ。

平均年齢80歳のロックコーラス隊。
メンバー達がこれまで歩んできた人生を振り返る「物語」を予想していましたが、あくまでも今現在の視点で「現実」が撮られていました。
高齢の彼らの今の現実は、杖をつきながら歩いたり、背中に激痛を抱えていたり、癌を患って何度も手術を受けていたり、酸素吸入しながら歌ったりしています。
そんな老人ばかりが映し出される画面はビジュアル的にはアレですが、美男美女のスターが登場する映画よりも強烈なインパクトがありました。
見た目はよぼよぼでも、歌いだしたらそのパワーに圧倒されました。
彼らはなぜロックを歌うのか。歌うことは生きること。
昨日まで隣で歌っていた仲間が次々と亡くなっていっても、のこされた仲間達は歌い続けます。
彼らが歌うロックの歌詞からは、作詞者が意図していた言葉よりも次元を超えた重みが伝わってきます。
多分あと数十年たって、私は「死」を現実のものとして意識しながら毎日を生きるようになったときに、この映画を思い出すでしょう。