ただの偶然なのですか

私のお気に入りと日々の感想  

アニメ「ゼーガペイン」(1話~26話)の感想

2009年05月25日 | お気に入り
命とは何か。生きているとはどういうことか。
この作品に描かれているのは、とても哲学的で奥の深い世界です。

最初にDVDのパッケージを見たときには、たんなる青春もののロボット戦闘アニメかなと思いました。
そして最初のほうの話では、青臭い喧嘩や部活に燃える熱い青春などが描かれていて、物語としては少し退屈な感じがしました。
しかし第7話で驚愕の事実を知って物語がまったく予想もつかない展開を見せてからは、これらのありふれた日常が光り輝きだすのです。
特に夏休み最後の日のプールでのシーンには涙があふれてしまいました。

このアニメでは、ロボットを操縦するには二人の搭乗者が必要なのですが、それが男女のペアという設定に最初はなんだか違和感を感じました。男性が操縦してその後ろで女性が補佐するなんて夫唱婦随みたいで、今どきそんな古風な設定でいいのか?と思いました。
でも物語が進むにつれて、生きているとはどういうことなのかを突き詰めると、恋愛(BLも含む)こそが生きている証なのかもしれないと思えてきました。
誰かを愛することの切なさによって生きていることをより深く実感し、守りたいものがあるからこそ人間は生きていたいと思うのかもしれないなと…。

ロボットの戦闘シーンにはCGが使われていて、とてもクリアーで美しい映像なのですが、そのクリアーさが逆にバーチャルな感じがしました。
現実として描かれている戦闘シーンがゲームのような仮想空間に見えて、現実と仮想の対比をきわだたせ、何が現実で何が仮想なのか、この世界とは何なのか、自分の意識がどんどん深い世界に引きずり込まれていきました。

アニメという表現そのものも考えてみれば仮想世界なわけですが、そこに描かれている登場人物達のセリフや心情が痛いほど「わかる」んです。
このアニメを見ていた数週間は、街を歩いていても周りの景色がいつもと違って見えて、自分の世界が揺さぶられているような、自分の存在自体が何なのかを根本から問いかけられているような気持ちになりました。

そして、痛みにも意味があることに気付くことができて、私はこの作品に出会えてほんとうによかったです。
痛みを含めて生きていること、生きているもの、ありとあらゆるものが愛しくてたまらなくなりました。

このネットの世界もいつか消えてしまうかもしれませんが、私は、あなたに出会えたことに感謝しています。