もし一番行ってみたい場所はどこかと聞かれたら、私は「月」と答えたい。
独りで月面に立って、孤独と静寂のなかで暗闇に浮かぶ地球を眺めてみたい。
そんな私の願望を叶えてくれたかのようなこの作品。
主人公は、月でたった一人でエネルギー資源を採掘する仕事を任されています。
地球とのリアルタイムでの交信もできず、唯一の話し相手のロボットでさえ人間の形を模倣したものではなく、ロボットの画面に映し出されるその表情は絵文字みたいな簡単なイラストです。
そして、主人公は基地内で観葉植物を育てたり、故郷の街の模型を作ったりして孤独を紛らわせています。
このように他の生き物や街の営みから完全に隔絶された場所こそが、原題の「MOON」が示すとおりこの作品のテーマの象徴であり、主人公の身に起こった事態は地球上でも起こりえる設定ですが、やはりその舞台は月である必要があったのです。
これはSF映画というより、あえて言うなら哲学映画と呼びたい作品です。
意外な真実が明らかになっていく過程やクライマックスでも、BGMや過剰な演出はなくて、あくまでも静寂のなかで、静かに真っ直ぐに本質を見つめていく姿勢に作り手の潔さを感じました。
そして次々と問いかけられる本質的なテーマにより、最初から最後まで見事に緊張感が続いていきます。
絶対的な孤独と静寂のなかで、「個」とは何か「記憶」とは何かということを見つめていく。
とてもいい映画だと思いました。
独りで月面に立って、孤独と静寂のなかで暗闇に浮かぶ地球を眺めてみたい。
そんな私の願望を叶えてくれたかのようなこの作品。
主人公は、月でたった一人でエネルギー資源を採掘する仕事を任されています。
地球とのリアルタイムでの交信もできず、唯一の話し相手のロボットでさえ人間の形を模倣したものではなく、ロボットの画面に映し出されるその表情は絵文字みたいな簡単なイラストです。
そして、主人公は基地内で観葉植物を育てたり、故郷の街の模型を作ったりして孤独を紛らわせています。
このように他の生き物や街の営みから完全に隔絶された場所こそが、原題の「MOON」が示すとおりこの作品のテーマの象徴であり、主人公の身に起こった事態は地球上でも起こりえる設定ですが、やはりその舞台は月である必要があったのです。
これはSF映画というより、あえて言うなら哲学映画と呼びたい作品です。
意外な真実が明らかになっていく過程やクライマックスでも、BGMや過剰な演出はなくて、あくまでも静寂のなかで、静かに真っ直ぐに本質を見つめていく姿勢に作り手の潔さを感じました。
そして次々と問いかけられる本質的なテーマにより、最初から最後まで見事に緊張感が続いていきます。
絶対的な孤独と静寂のなかで、「個」とは何か「記憶」とは何かということを見つめていく。
とてもいい映画だと思いました。