ただの偶然なのですか

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映画「ヤング@ハート」の感想

2008年12月04日 | 映画
ほとんど事前情報もなく観にいったらドキュメンタリーだったので「やられた!」って感じです。
私の中では、映画とドキュメンタリーって別ジャンルなんです。
だってドキュメンタリーは「事実」なんですから、その圧倒的な説得力の前では、下手な感想なんて意味がないですよ。

平均年齢80歳のロックコーラス隊。
メンバー達がこれまで歩んできた人生を振り返る「物語」を予想していましたが、あくまでも今現在の視点で「現実」が撮られていました。
高齢の彼らの今の現実は、杖をつきながら歩いたり、背中に激痛を抱えていたり、癌を患って何度も手術を受けていたり、酸素吸入しながら歌ったりしています。
そんな老人ばかりが映し出される画面はビジュアル的にはアレですが、美男美女のスターが登場する映画よりも強烈なインパクトがありました。
見た目はよぼよぼでも、歌いだしたらそのパワーに圧倒されました。
彼らはなぜロックを歌うのか。歌うことは生きること。
昨日まで隣で歌っていた仲間が次々と亡くなっていっても、のこされた仲間達は歌い続けます。
彼らが歌うロックの歌詞からは、作詞者が意図していた言葉よりも次元を超えた重みが伝わってきます。
多分あと数十年たって、私は「死」を現実のものとして意識しながら毎日を生きるようになったときに、この映画を思い出すでしょう。