ただの偶然なのですか

私のお気に入りと日々の感想  

小説「包帯クラブ」天童荒太著の感想

2007年10月10日 | 読書
「包帯クラブ」と聞いて、綾波レイを思い出したのは私だけ?

子どもの頃、小さなキズをして絆創膏を貼ったとき、なんだか嬉しかった…。
見て見て、怪我しちゃったのよ~って感じで…。
その頃、私が遊びで書いていたマンガの登場人物も、よく包帯を巻いていたっけ…。

若い人たち向けに書かれた小説で、読みやすい文章でした。
これが、いわゆるラノベっていうやつかしら?とも思いましたが、
ドキッとさせられる文章や、ハッとさせられる言葉がたくさんありました。
高校生達の純粋な気持ち、将来への不安、世の中の矛盾に対する苛立ち、やるせない思い。
若い人の視点で書かれたこれらの感情は、大人になった私にも共感できる部分が多くて、大切なことを思い出させてくれました。

心の傷は目に見えない。でも、みんな傷ついている。
心の傷を傷として認めて、その場所に包帯を巻いて手当てをてする…。
何もできないかもしれないけれど、他人の心の傷を見ないふりをせずに、
その傷に寄り添う気持ちがあるだけで、世の中は生きやすい場所になるのかも…。

登場人物達の中のひとりの少年が、実際に他人の立場になってその気持ちを感じ取るために、爆竹を自分の体に巻きつけて車にこもって火をつけたりします。
その少年は大人になって、海外の紛争地域の取材をする映像ジャーナリストになります。

その気持ちは、数日前にミャンマーで亡くなられたジャーナリストの方の信念に通じるものがあるように感じました。






映画『めがね』の感想

2007年10月04日 | 映画
人が旅に出るは、日常の時間から離れて自由になるため。

そして、一人旅の女性は訪れた南の海辺で、のどかな時間を過ごします。
…って、ただそれだけの映画です。
登場人物達の生活は謎だらけで、その背景や心情が描かれているわけでもなく、
ただありのままに存在して、ありのままの時間を過ごす…。
ストーリーのない映画。のんびりとした時間そのものを味わう映画です。
私も、ボーっと過ごすのは好きですし、海を眺めながら、のんびり「たそがれる」のにも憧れます。
でも、映画を観ながら「たそがれる」のはちょっとキツイです。
気持ちよすぎて眠りそうになりました。実際、観ている最中に横のほうからイビキが聞こえてきました。でも、目が覚めたときに、もたいまさこさんの顔が見えたら誰だって驚きますよね(映画の中の話です)。謎の登場人物達の中でも、もたいさんは謎を通り越して不気味な存在感がありました。

同じく荻上直子監督作品の『かもめ食堂』を昨年観たので、その独特の世界の表現の仕方は予想通りでしたが、これほどまでストーリーに変化のない映画を作るとは感心しました。これがやりたかったのかと…。今回はシネコンで観ましたが、『かもめ食堂』のように単館系の映画館のほうがよかったかも…。

そして、主な登場人物達がみんな「めがね」をかけているのは何故なのでしょう…。
私は、メガネをかけた男性は知性が感じられて好きです。
でも、めがね娘が「萌え」の対象になることを昨年知ったときは意外でした。
男性も女性に対して知性を求めているということかしら…。

そんな考えごとを映画を観ている最中にするなんて、まったりしすぎ…。
私も「たそがれる」のは得意だと思っていましたが、映画を観ながらそこまで感じることはできませんでした。
やっぱり、実際に旅に出るしかないのかしら…。
あんな美しい海を見ながらボーっとしたいです。