看守眼

いつも文庫が出るのを楽しみにしている横山秀夫さんの作品です。
でもこれは文庫じゃなくて新書版でした。

横山さんが得意とする短編集ですが、やっぱり上手いですね。
6篇が収録されていますが、まだまだ何篇でも読めそうなぐらいにすぐに読み終えてしまいました。

読みごたえのある長編ももちろんよいのですが、長編は、ときおりその長さゆえにストーリーに甘えのようなものが出ることがありますよね。
前置きが長すぎてイライラしたり、途中で中だるみしたり、また必要以上に描写が丁寧になりすぎてもどかしいことがあったり。

その点、横山さんの短編は、ときおり短編で感じる物足りなさやあっけなさを感じるどころか、短編必須の掴みの速さはもちろん、ストーリーに無駄がない分、ストレートに読めて心地良いです。

6つすべてが、なかなか味のある作品でしたが、私は表題作の警察関係物の「看守眼」と、新聞記者物の「静かな家」がさすがに著者の得意中の得意分野だけにより良かったですね。また横山さんの次の作品を読むのが楽しみです。