手がかりを求めるように啼きかわす鳥がいて冬の傷みやすさは
二月には二月の声を出したがるわたくしたちの小さなからだ
こころからこぼれる冬野 もう一度ひらきなさいと諭されるとき
糖蜜によごれた指を舐めている(詫びているのか)夢の弟
こちらから呼びよせるたび死は淡く死後のあなたを護るのだろう
もうこれでいいような気がするけれど乞われるままに海に来ている
濡れ雪と遊ぶつま先 残生と決めてしまうには早かろう
諍いのように乱れる枝先を見ている 真冬 このうえもなく
凍て風にふゆの作法をしめされて残り餅にはうつくしい罅
生前よ 水泡を曳いてひるがえるイトマキエイを飽かず眺めて