北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」02月号(2014)

2014-03-02 | 未来

ここからが長いと思うはつふゆの白湯にくわえるひと匙の蜜

すまないと思うばかりだ 立冬の候、と書いては淋しがらせて

羹を啜る男をみていたら百年なんてすぐよ、と祖母は

ただここにいるだけのこと あなたには冬の厚みを見せてあげよう

りるびっ って今啼いたよねどの枝かわからないけどじゃすたりるびっ

鳥のことは何も知らないこのまんま知らなくていい あ 飛びました

護られてふくらんでいるこどもたちふゆだふゆだと絡まりながら

よく動くちいさな膝を武器にして玄冬の手前を跳ねている

削られて少しずつかたちをかえてあなたはふるい岬のようだ

肉体を繕いながら夜にいるわたくしごとを波にほぐして

 


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