北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」8月号(2017)

2018-07-07 | 未来

草の穂のひとつひとつをひからせてそんなに待っていたのか、のはら

ほどけてはまたからみあい駆けていくたんぽぽ組はみんな素足で

遠景をよぎる白帆は喩のようににじむ どなたに会いにゆこうか

いくたびも地を離り空を突いているお前は雲雀のままでいなさい

戦から次のいくさへ春服の少女がこぼす焼き菓子の粉

望まれて水になるまでここにいる睡蓮の葉をむねにひろげて

刃の先で背骨をさぐる あばいてもあばいても美し春の魚は


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