損して得取れ。信用の法則。

先日泊まった宿にiPod touchを忘れた。
布団の枕元に置いてきたと推察。
帰りの段階で「あれ、忘れたかもしれない」という自覚はあった。
それが帰りの特急電車の中。
そこでリュックの中身を全部出して調べるわけにもいかない。
そもそもそこから宿に戻るという選択肢はない。

家に帰って早速調べると案の定だ。
心当たりはあったので慌てなかった。
宿に電話をした。
ビンゴ！
百パーセントこちらの過失だから着払いで送ってもらうことにした。

で、昨日。
宿から電話。
いきなり恐縮している様子が電話越しに伝わってくる。

当日、サクラバ様というお客様がもうひとり泊まっていて、そちらに送ってしまったのだそうな。
（注：私の本名である）
珍しいほうの部類に入る名字だし、この手のこと（名前の取り違え）は何度かあったから、私にとっては別に怒るほどのことではない。
でも、着払いで他人のiPod touchを送りつけられた「もうひとりのサクラバさん」からしたら大問題だ。
当然宿に連絡が行く。
クレームになったかどうかはわからないが宿としても大問題。
宿の信用問題だからね。
私に対しても「もうひとりのサクラバさん」に対しても。

送り返してもらい、それから改めて私に送り直すので、もう少しお時間をいただきます、とのこと。
怒りはしなかった。
しかも相手は恐縮している。
ここで「気にしないでください」と言ったとしても無理な話。
普通の調子で「わかりました、じゃ、よろしくお願いします」と答え、改めて謝られて電話は終わった。

この出来事で私の宿に対する信用が下がったか。
逆なのですよ。
少なくとも私に関しては株が上がった。
こんな都合の悪い嘘をつくとは思えない。
正直に本当のことを言ったのだ。
しかも担当者は念を押すように二度も名乗った。
組織としての気風、文化が現れているよね。
隠蔽体質が一切無いということ。
隠蔽体質のある組織はごまんとある。
嘘をつこうと思えば、バレずに「上手い嘘」はつけたはず。
それをしなかった。

責められても仕方のないことを正直に言ったことに好感を持つ。
グループの他の宿にも泊まってみるか、と考える。
私が最近ひいきにしている宿のグループ。
休暇村。自然と人、人と人をつなぐリゾートホテル（http://www.qkamura.or.jp/）
こうして私は宣伝をした。
この宿は損して得を取ったのである。