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二百九十一段
よろしき男を、下(げ)種(す)女(おんな)などのほめて
よろしき男を、下(げ)種(す)女(おんな)などのほめて、
「いみじうなつかしうおはします」
などいへば、やがて、思ひおとされぬべし。譏(そし)らるるは、なかなかよし。
下(げ)種(す)に褒めらるるは、女だに、いとわるし。また、褒むるままに、言ひそこなひつるものは。
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なつかしう=「なつく」の形容詞化した語。そばに寄りたい気持。今の懐かしいの意は中世(一般に十二世紀末鎌倉幕府の成立から十六世紀末室町幕府の滅亡までをいう。)以降。やがて=たちまち。思ひおとされ=男の株が下がる。言ひそこなひつる=言い間違える。
ここは凄いです。身分社会だからでしょう。でも今でも心の中で思うのは勝手です。あの女上司、下(げ)種(す)なんだから。