創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

『「枕草子」読み語り』発刊!

2016-06-29 08:44:07 | 枕草子
『「枕草子」読み語り』発刊!


このたび「『枕草子』読み語り」という電子書籍CD本を星湖舎から上梓させていただきました。
CDには『枕草子』全巻の現代語訳と原文(注釈付き)・語り(追加説明、解説、感想)が入っています。
原文のハイライトの部分をマウスで指すと注釈が示されます。注釈を参照しながら原文を読み、次に現代語訳を読むと、ストーンと腑に落ちる仕掛けになっています。
「古典の原文を電子本の注釈で読む」が肝です。自分では、ささやかなライフワークかなあと思っています。
小冊子には、CDの使用方法と『私なりの枕草子』というエッセイを収めています。
どうぞ千年前の世界へ。

■A5判・44頁・CD付
■定価:1000円(本体926円+税(消費税8%))
星湖舎またはi.hiromu723.gaia.eonet.ne.jp@gaia.eonet.ne.jp 池窪までメールを。

報告。『枕草子』読み語り

2016-06-15 09:29:09 | 枕草子
『枕草子』読み語りは2016/06/29に電子書籍CDとして、星湖舎から自費出版いたします。
それに伴い、Pubooに公開していました『枕草子』読み語りは非公開にいたします。
その代わりに「私なりの『枕草子』―キーワードから読み解く―」をUPしました。
『枕草子』というエッセイのエッセイです。
本が出来ましたらまた報告させていただきます。完成まで五年以上かかりました。
今は、ぬ・け・が・ら。

春はあけぼの

2016-02-10 15:31:23 | 枕草子
私の住んでいる奈良は盆地です。
この時期「紫だちたる雲の、細くたなびきたる」が実感出来ます。
太陽が出てくれば消えてしまいます。
清少納言はどこからこんな雲を見ているのでしょうね。
山は東山かなあ。
労作「枕草子解読」はこちら


枕草子5段「中間(ちゆうげん)なるをりに」

2016-02-01 21:03:01 | 枕草子
枕草子を現代語訳していて、こういうのがとても気になるのです。
中間(ちゆうげん)ってなんだろう?
忙しい時から暇な時まで、解釈は色々です。180度違います。
―余談ですが、野球評論家の堀内さんは、360度違うって解説していました。元に戻っている―
清少納言は「女房」という仕事をしています。
中宮とのお喋りだけでなく、色々と雑用があった。
役人との打ち合わせ、里からやって来る女房の親兄弟のお世話、大工さんの手配。
それはみんな枕草子に書いてあります。
中間とはそんな仕事の合間なんです。
長すぎるか短すぎるか分かりませんが、中途半端な時間。
それが中間。言い切っていいのかなあ。
まあ、360度違わないでしょう。
労作「枕草子解読」はこちら


枕草子の現代語訳にとりかかっています

2016-01-27 13:18:02 | 枕草子
枕草子解読を脱稿して以来、急に何もすることがなくなった。
退屈って辛いですね。
二、三日前から、枕草子の現代語訳にとりかかっています。
きっかけは、朝日新聞の(惜別)伊吹和子さんを読んだからです。
「谷崎源氏」を口述筆記し、晩年の創作活動を12年間ささえた。
その他、「川端源氏」との関わりについても書かれています。
その記事を読んで自分も俄然やる気になりました。
文豪二人が「源氏」なら、僕は「枕草子」だ。清少納言もすばらしいのだ。
「枕草子解読」は逐語訳です。正確に言葉を伝えるのを第一としました。
今度は、内容と日本語に重点を置き、楽しい「枕草子」の現代語訳が出来ればと思っています。
キーワードは「をかし」。
その為には自分も「枕草子」を楽しまなくちゃ。
第一段を見せますね。アンダーラインの部分は追加または推敲です。
一段 春は曙 
 春は曙(あけぼの)。
 次第に白んで行く山の稜線は、少し明るく、紫がかった雲が、細くたなびいている。
 夏は夜。
 満月の頃は言うまでもない。また、闇夜もいいものだ。蛍が沢山飛び交っているのは、闇が深いほど美しい
反対に、蛍のほんの一つ二つが、ほのかに光りながら飛んで行くのも、素敵だ。何もなく、ただ雨が降っているのも、静かでいい
 秋は夕ぐれ。
 夕日が落ちて、山の端に大層近づいた頃に、烏が寝床へ行くと、三つ四つ、二つ、三つなど、飛び急ぐのさえ、しみじみとした風情がある。まして、雁などの列(つら)なったのが、とても小さく見えるのは、とても美しい。日が沈み果てると、風の音、虫の音(ね)など聞こえはじめる。また言いようもなくすばらしい。
 冬は早朝。 
 雪の積もった朝は、言うまでもない。霜がとても白いのもよい。そうでなくても、とても寒いので、火などを急いで熾(おこ)して炭を持ち運ぶのは、実に冬の朝らしい。昼になって、暖かくなり、寒さが和らいで、火桶の火も、白く灰がちになってしまうのは、つまらない




枕草子解読上・中・下

2016-01-02 09:24:41 | 枕草子
枕草子解読上・中・下からダウンロードして下さい。
とUPしたれど、なぜこんなにダウンロードが少ないのだろう。
現代語訳のない【原文で読む】枕草子 読み・語りは、ダウンロードが800回を超え、閲覧数は一万回に迫ったのに。
枕草子解読上・中・下は二ヶ月以上経つのに11とは……。ともあれ、今年中には、CD付きの出版をしたいと思っています。
目途がつけば「枕草子」関係は全部外すつもりです。
お急ぎ下さい。

「枕草子」考 六 枕草子と笑い

2015-11-02 06:04:02 | 枕草子
枕草子解読上・中・下からダウンロードしてお読み下さい。
―枕草子を現代語訳しながらいろいろ考えたことです―
とにかく、枕草子の登場人物はよく笑います。二段の「ころ」には七回笑います。櫛が折れたと言っては笑い。馬を驚かしては笑い。お粥(かゆ)を炊いた木でおしりの叩きっこをして笑います。人生のよろこびは笑うこと。

「枕草子」考 五 雪(ゆき)間(ま)の若菜摘み

2015-11-01 08:54:42 | 枕草子
枕草子解読上・中・下からダウンロードしてお読み下さい。
―枕草子を現代語訳しながらいろいろ考えたことです―
二段の「ころ」に「七日。雪(ゆき)間(ま)の若菜摘み」とあります。七日=七草の節供。
「雪(ゆき)間(ま)」にはいろいろの解釈があります。①雪のやんだ間。②(春になって)雪の消えたところ。③積雪の中。旧暦一月七日は今の二月中頃にあたります。どれも不自然ではありません。だから現代語訳も三つあります。こういう例が「枕草子」には沢山あります。訳者の大きな悩みです。解決法は原文を精読することに尽きると思います。私は、雪(ゆき)間(ま)=①+②+③だと思っています。でも、話の中心は雪の白と若菜の青の鮮明な対比です。冬と春の対比とも言えます。

「枕草子」考 四 言葉の少なさ

2015-10-31 07:35:03 | 枕草子
枕草子解読上・中・下からダウンロードしてお読み下さい。
―枕草子を現代語訳しながらいろいろ考えたことです―
「枕草子」を読んでいると、語彙の少なさに気づきます。「をかし」の連発はその顕著な例でしょう。平安人は現代人ほど沢山の言葉を持っていなかったのではと思います。それでも、十分に伝わったのでしょうが……。その善し悪しは別にして、やはり千年の時を感じます。「古典」の敷居を高くしている原因の一つだと思います。
例えば、二十二段 すさまじきもの
すさまし―スサム(荒む)手のつけられない。平安宮の女性達にとっては「気持にそぐわない、興ざめなこととして、冷視するより方法がなかったろう」―強い不快の気持や、しらじらした気分を表している。―
 殆どの校注は「興ざめ」としています。私もそう習いました。「興ざめ」が今の人に通じるかどうか。校注の校注が要りそうです。桃尻語訳は「うんざりする」。的確だと思います。ただ桃尻語訳も四半世紀経ち、桃尻娘も四十才半ばか。桃尻語の注釈が要りそうです。
 また、「昼ほゆる犬」と「家のうちなる男君」の「すさまじきもの」を同一に興ざめすると口語訳していいものかどうか。古典基礎語辞典の例文でも、「昼ほゆる犬」は「興ざめする」。「家のうちなる男君」は「しらけた感じがする」。と、語釈が分かれています。
 結局何が言いたいのかって。「すさまじ」をそのままにして、清少納言があげている事柄から分かればいいのではと言いたいのです。
 対策は、言葉のニュアンスを知ることかもしれません。その為に私にとって「古典基礎語辞典・大野晋著」は必携です。少し高いけど(高価でもあり高度でもあり)……。
 この段は現代人にも十分伝わってきます。「昼ほゆる犬」は「犬は夜吠えるものなのに」などの注釈なしでもダイレクトに伝わってきます。それも多様に。型にはめることなしに。それって読書の楽しみではないですか。誤読も読書の楽しみです。
「すさまじ」をそのままにして、清少納言があげている事柄から分かればいいのではと言いたいのです。