今日の一句
自転車のチューブの泡や路地の月
出かけようとしたら、自転車の前輪がぺったんこ。
町の自転車屋さんまで押していくつもりが、途中で乗っちゃえと、半分ぐらい乗りました。
自転車も量販店で買う時代。
町の自転車屋さんは貴重です。
ご主人がチューブを水につけて検査。
子供のころの玉造(北区になるかも……)の自転車屋さんを思い出します。
作業服を着た人の良さそうなおじさんやった。
顔も覚えています。
戯曲『バスが行く』にも、登場しました。
言うても誰も知らんやろけど。
ラジオドラマにも、舞台にもなったんやでえ。
たしか、幸助さんやった。
舞台は過去に遡るバス。
幸助「こんばんわ、あら、あら、みなさん、おそろいで。」
平三郎「幸さん、何処へ。」
幸助「いや、ちょっと。」
幸助一番後ろの隅に腰を下ろす。
うた、幸助と一緒に後ろの席へ行く。
音吉「あいかわらずやなあ幸さん。若い頃から無口や。黙々と自転車の修理してはったもんな。」
平三郎「それに、意外におしゃれや、作業服が油で 汚れているようなことはあらへんなんだ。
丸がりで、何時も、ジャイアンツの野球帽かぶっとった。
そういうたら、葬式の写真も野球帽かぶっとったなあ。
わしが酔うて、からんで、タイガースのないかあ……。」
「チューブの虫ですわ」
「見たつもりやってんけど」
「ほれ、泡が出てますやろ」
もう、玉造には実家はないけど、路地から見上げた月を思い出しました。