創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

1946 29

2024-03-24 09:57:23 | 俳句日記
1946 29
雑踏
久し振りに難波に出た。
何年ぶりだろう。
補聴器は用をなさない。

【一句】雑踏に老いの場所なし春愁ひ(はるうれひ)
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1946 28

2024-03-19 10:55:55 | 俳句日記
1946 28
三角コーン
いつもの散歩コース。
もうウォーキングとは言わない。
いつもなら右に曲がって池の地蔵さんに手を合わせてUターンする筈が、舗装された道が続いている。
「三角コーン」が置いてある。
三角コーンは家に帰って調べてみました。
妻となら「赤いあれ」で通じますが(実際通じました)。
通じなければ、工事現場なんかの赤い三角。
結構そんな言葉を使っている気がします。
三角コーンは言い得て妙ですね。
「言い得て妙」も言い得て妙。
後日三角コーンは端に寄せられていたので行ってみました。
道は途切れ、同じ田んぼの風景でした。
なんで道を作ったのだろう。

【一句】道の果てに道の生まれし春野かな

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1946 27

2024-03-18 09:26:04 | 俳句日記
1946 27
言葉の断片
父は寡黙な人だった。
何を話したかあまり覚えていない。
父の思い出は断片的な言葉として蘇ってきます。
102才で去年亡くなった義母を最後にみんな亡くなりました。
もう僕の親の世代はいない。

【一句】亀鳴くや父の言葉のひとつづつ
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1946 26

2024-03-16 15:52:18 | 俳句日記
1946 26
ランドマーク
二上山(にじょうざん)は西のランドマークです。
三七年間通勤の車窓から眺め続けた山でもあります。
雄岳と雌岳が寄り添う姿は間違いようがなく、方向音痴な僕にはありがたい山です。
朝のウォーキングの友達です。
霞がかかると、仲のよい夫婦みたいな影になります。
当方は金婚式。あちら様は何婚式?

【一句】二上山夫婦の影の薄霞
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1946 25

2024-03-15 10:29:40 | 俳句日記
1946 25
スイッチ
24の続きです。
朝からかなり強い雨。
傘が嫌いな僕は早足で歩きます(走れない)。
皮膚科で処置をしてもらった後あちこちで濡れました。
それにしても補聴器が効かないなあ。
「引きこもり老人」はひと月分ほど喋ったのに。
病院でもサンドイッチを買ったパン屋さんでも。
改札を通った時も。これは音が出ないのか?。なんか出たような気もするし……。
駅は暗く、静かでした。
「この補聴器あかんなあ」
あかんのは僕でした。
寝る前に補聴器のスイッチを切ったままでした。

【一句】補聴器のスイッチオフに春の雨

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1946 24

2024-03-13 16:38:33 | 俳句日記
1946 24
時々老人性の疣(いぼ)が出来ます。
今度は頭に出来たみたい。
見えない。
仕方ないなあと言う感じ。
少し悩んで「先生に診てもらおう」と決心します。
昔。右頬にほくろがありました。
いや実は疣(いぼ)だった。
先生に窒素で焼いてもらって消えました。
兄弟が集まった時
「ねえねえ、わしの顔変わってへん?」
と、意気込んで訊きました。
兄弟は「わからへん」と一言。
「しっかり目をつむって下さいね」と先生の声。

【一句】疣(いぼ)を焼く女医の気配や春の雨
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1946 23

2024-03-09 13:57:27 | 俳句日記
1946 23
サボテン
トイレ掃除をしていたら、窓辺にごく小さい鉢がある。
何か植わっている。
妻に訊いた。
「これなんや?」
「サボテン」
「サボってんの」
久し振りの駄洒落なのに妻は笑わない。
現役の時は、僕のおやじギャグは若い子に人気があった。
「そろそろ言うぞ」
そこで間一髪間を置いてのたまう。
どーと笑いが来る。
「生きてんの?」
「生きてるよ」
「水は?」
「たまーにやってる」
あの時10滴ほど水を遣った。

【一句】サボテンのミリの成長厠かな
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1946 22

2024-03-08 14:54:48 | 俳句日記
1946 22
お鈴(おりん)
仏壇が我が家にやって来て三ヶ月ほど経ちます。
同じ部屋で寝ています。
光明真言を三度唱え次ぎに南無大師遍照金剛と三度唱えます。
その合間に叩くのがお鈴(おりん)。
そう呼ぶのを知りませんでした。
「おりん」の響きは清々しいですね。
三月句会に投句しました。
1点入りました。
その1点が嬉しかった。

【一句】春雨やお鈴の音の少し濡れ

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1946 21

2024-03-06 08:52:59 | 俳句日記
1946 21
心電図
左胸が痛い。
循環器内科の定期診察に妻に付き添ってもらった。
「胸が痛くって」
「いつどのように?」
しどろもどろの僕に、
「しょっちゅう言うてます」と妻が一言。
心電図を取ることになった。
さっさと動く妻について行くのが精一杯。
「病気になりそう」
一つしか違わないのに。
お婆ちゃんはお爺ちゃんより元気なのだ。
「正常です三年前と全然変わってないですよ」
胸の痛みもましになったような気がする。

【一句】年寄りの不安死ぬこと桜咲く
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1946 20

2024-03-05 10:23:27 | 俳句日記
1946 20
寒造(かんづくり)
父のことをよく思い出す。
自分だけ一品酒の肴を作ってもらって、一合の日本酒を飲んでいた。

【一句】晩酌は父の至福や寒造
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