創作日記&作品集

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「わたしなりの枕草子」#337

2012-03-06 06:52:31 | 読書
【本文】
二百八十段
 雪の、いと高う降りたるを
 雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子まゐりて、炭(す)櫃(びつ)に火おこして、物語などして、集まり候ふに、
「少納言よ、香炉峰の雪、いかならむ」
と、おほせらるれば、御格子上げさせて、御(み)簾(す)を高く上げたれば、笑はせ給ふ。人々も、「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそ寄らざりつれ。なほ、この宮の人には、さべきなめり」
と言ふ。

【読書ノート】
 有名な「香炉峰の雪」の段です。清少納言の博識より機知がよく出ています。
「少納言よ、香炉峰の雪、いかならむ」=折角の雪景色なのにと、中宮は婉曲に注意された。
 例ならず=いつもと違って。まゐりて=お下げして。物語などして=(女房達は)。
 御格子上げさせて=(女官に)。御(み)簾(す)を高く上げたれば=(私は)。さべきなめり=そうあるべきなんでしょう。
「遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き 香爐峰の雪は簾をかかげてみる」
 白居易(白楽天)【( 七七二~八四六 ) 中国,中唐の詩人。号は香山居士また酔吟先生,字 (あざな)は楽天。官吏の職にあったが,高級官僚の権力闘争にいや気がさし,晩年は詩と酒と琴を三友とする生活を送った。その詩は平易明快で,「長(ちよう)恨(ごん)歌(か) 」「琵琶行」などは広く民衆に愛され,日本にも早くから伝わって,平安朝文学などに大きな影響を与えた。「秦中吟」「新楽(しんが)府(ふ) 」など,社会や政治の腐敗を批判した社会詩もある。→大辞林】。