固定資産税

固定資産税について、実務経験を基に具体的にわかりやすく説明。

固定資産税過払い訴訟

2011-01-20 | 固定資産税

新潟県新潟市において、新潟地方法務局の登記官が実際の土地の面積の10倍の面積で登記したために、固定資産税を余分に支払わされたとして争われていた訴訟の判決が、1月19日に新潟地方裁判所でありました。

谷田好史裁判官は『不動産登記の専門官である登記官の過失は重大』として、国に約75万円の支払いを命じる判決を下しました。
判決に拠ると、2003年(平成15年)に面積115.70㎡の土地を相続したが、登記簿には面積1157.02㎡と10倍の面積で記載されていたため、新潟市から本来の税額よりも多い固定資産税が課税されていたとのことです。

なお、この誤登記は、相続前の1960年(昭和35年)から続いており、2007年(平成19年)に更正されていたが、1989年(平成元年)以降の過払い分の返還を求めていました。
この提訴後に、新潟市は2002年(平成14年)から2006年(平成18年)分の還付金など約33万円を既に支払っており、今回の判決の約75万円は1989年(平成元年)から2001年(平成13年)までの過払い分となります。


土地に対する固定資産税の課税は、地目と地積に拠って行われます。
 この時、地目は現況主義により登記簿上の地目に関わりなく現況に拠って認定されますが、地積(面積)は登記簿に記載された地積に拠って評価・課税されます。

 参考ページ

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固定資産税・誤徴収

2011-01-18 | 固定資産税

秋田県横手市は、本来固定資産税が掛からない社会福祉施設や保安林の所有者から、誤って固定資産税を徴収していたと横手市議会の議案説明会で報告しました。

横手市の報告に拠ると、誤徴収は総額1,302万円に上り、還付加算金を含めて1,423万4,400円を還付する模様です。

まず、地方税法第328条に規定されるJA秋田ふるさとのディサービス・ショートステイ施設について、2004年(平成16年)から2010年(平成22年)の間に固定資産税の課税を行い、950万円を誤徴収したとのことで、還付加算金を合わせた1,032万円を、JA秋田ふるさとに還付するとのことです。
こうした社会福祉施設は、地方税法第328条第2項第10の6号に規定された、固定資産の使用目的等に拠って課税出来ない用途非課税(物的非課税)と呼ばれるものに該当します。

次に、4団体及び91人が所有する地方税法第328条に規定された保安林(1897年(明治30年)~2006年(平成18年)に指定)について、124筆(約107,670,000㎡)が非課税となるべきところを誤って固定資産税が課税され徴収されていたとのことです。
保安林は、地方税法第348条第2項第7号に規定された、固定資産の使用目的等に拠って課税出来ない用途非課税(物的非課税)と呼ばれるものに該当します。

なお、国、都道府県及び市町村など、地方税法第348条第1項に規定された、固定資産が所有されることに拠って課税出来ないことを人的非課税と呼ばれます。


地方税法第348条(昭和25年7月31日・法律第226号/改正平成22年12月3日・法律第65号)

 第二節 固定資産税

 第一款 通則

 (固定資産税の非課税の範囲)
 第384条 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区、地方開発事業団及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。
 2 固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課することができる。
 (途中省略)
  6 公共の用に供する用悪水路、ため池、堤とう及び井溝
  7 保安林に係る土地(森林の保健機能の増進に関する特別措置法第2条第2項第2号に規定する施設の用に供する土地で政令で定めるものを除く。)
 (途中省略)
  10の6 第10号から前号までに掲げる固定資産のほか、社会福祉法人その他政令で定める者が社会福祉法第2条第1項に規定する社会福祉事業の用に供する固定資産で政令で定めるもの

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固定資産税の納期

2011-01-03 | 固定資産税
固定資産税の納期は、地方税法の規定により、次の4期となっています。
  1. 第一期:4月
  2. 第二期:7月
  3. 第三期:12月
  4. 第四期:2月
なお、各市町村の条例により、上記の納期は変更することが出来ます。

 また、固定資産の売買に当たって、売主と買主で固定資産税を按分するために、固定資産税はいつからいつまでの税金かを質問される場合がありますが、地方税法において、固定資産税はいつからいつまでと言う期間の規定はありません
 したがって、売買等における固定資産税の按分などについては、地方税法納税義務とは関係なく、民法に拠る当事者間の売買契約上の問題として処理されるべきものです。
 すなわち、地方税法は、毎年1月1日(賦課期日)において固定資産課税台帳に所有者として登録されている者に対し、その年の4月から始まる年度分の税として課税されるものです。
  第二款 賦課及び徴収

 (固定資産税の納期)
 第362条 固定資産税の納期は、4月、7月、12月及び2月中において、当該市町村の条例で定める。但し、特別の事情がある場合においては、これと異なる納期を定めることができる。
 2 固定資産税額(第364条第10項の規定によつて都市計画税をあわせて徴収する場合にあつては、固定資産税額と都市計画税額との合算額とする。)が市町村の条例で定める金額以下であるものについては、当該市町村は、前項の規定によつて定められた納期のうちいずれか一の納期において、その全額を徴収することができる。
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基準年度・第二年度・第三年度

2011-01-02 | 固定資産税
■ 基準年度・第二年度・第三年度
 固定資産(土地、家屋及び償却資産)は、地方税法第408条に拠って、毎年1回以上の実地調査を要するとしています。
 しかし、その事務量を考慮すると、現実的では無く実務上不可能であることから、固定資産の土地と家屋については、原則として3年間は評価を据え置いています。
 すなわち、固定資産の土地と家屋のこの3年間の固定資産の価格の変動を、基準年度にのみ『適正な価格』に見直します。

基準年度 2006年、2009年、2012年、2015年
第二年度 2007年、2010年、2013年、2016年
第三年度 2008年、2011年、2014年、2017年


  第一款 通則

 (固定資産税に関する用語の意義)

 第341条 固定資産税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。(抜粋)
  6 基準年度 昭和31年度及び昭和33年度並びに昭和33年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過したごとの年度をいう。
  7 第二年度 基準年度の翌年度をいう。
  8 第三年度 第二年度の翌年度(昭和33年度を除く。)をいう。

  第五款 固定資産の評価及び価格の決定

 (固定資産の実地調査)

 第408条 市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。

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固定資産税の賦課期日

2011-01-01 | 固定資産税
■ 固定資産税の賦課期日
 固定資産税の賦課期日は、地方税法により毎年その年の1月1日となっています。

  第二款 賦課及び徴収

 (固定資産税の賦課期日)
 第359条 固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。

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