訪米中の額賀防衛長官とラムズフェルド米国防長官が、23日夕(日本時間24日早朝)会談を行い、在沖縄海兵隊のグアム移転費用につき、次の通り合意した。額賀長官は、今回も大変有意義な仕事をしたと思う。
▽総額102億7000万ドルのうち日本側負担を60億9000万ドル、米側負担を41億8000万ドルとする
▽日本側負担のうち、財政支出による無償支援は28億どる、政府出資は15億ドル、国際協力銀行などの融資は17億9000万ドル
▽日本側の無償支援の使途は、庁舎、隊舎など。家族住宅費は政府出資と融資の併用。融資は電力、上下水道などの整備も含む
▽米側負担は、財政支出31億8000万ドルと、それ以外に道路建設費などが10億ドル
海兵隊移転費用の分担に関する合意がなったので、5月2日に外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)をワシントンで開き、最終報告を発表する方向である。
交渉の経緯をごく大まかに書いておくと次の通りであった。米国側は当初75%の負担を求めていた。それに対して、日本側は家族住宅整備費など約30億ドルを融資方式で支援することを示したに過ぎず、隔たりはきわめて大きかった。その後、米国側が、日本側の無償支援、出資・融資、米国の負担をそれぞれ3分の1とする案を提示したが、これは日本側が拒否した。最終的に、日本の負担を6割以下に抑えることで歩み寄り、今回の合意に至った。
海兵隊の移転費用を分担することの意義は、安倍官房長官が「沖縄などの負担軽減と抑止力の維持を早期に実現するには、我が国もしかるべき負担を負う必要がある。地元の負担軽減は日米同盟、日本の安全保障にもプラスだ」と述べている通りである。全額アメリカが負担しろとか、何で立退き料を支払う必要があるのかなどと主張する人は、日米同盟の存在意義を全く理解していない者の発想である。さらに、米軍が日本国内で部隊を移転する場合、その費用は日本が原則負担という約束がある。今回は、国内移転ではなく海外移転だが、日本が求めた移転である以上、負担は義務と言っても過言ではない。75%はさすがに多すぎるのではないかと思ったが、50%を超えるのはやむ得ないところであろう。日米同盟の維持のためにコストを分担するのは、我が国の安全保障上当然のことである。
ちょっと興味深いと思ったのが、海兵隊の訓練施設や滑走路、ゴルフ場などの娯楽施設などは、日本側は支出せず米側が負担するという、日米の負担の内訳である。娯楽施設は日本が面倒を見るいわれは全くないのは当然として、訓練施設や滑走路の分を含めなかったのは、ホストネーションサポート(思いやり予算)を踏襲しただけかもしれないが、ひょっとすると集団的自衛権の問題が絡んでいるのかしれない。
(参考記事)
[グアム移転、日本分担は59%・60億9000万ドル]
【ワシントン=今井隆】額賀防衛長官とラムズフェルド米国防長官は23日夕(日本時間24日早朝)、国防総省で約3時間会談し、在沖縄海兵隊のグアム移転費の総額102億7000万ドル(2006年度予算の換算レートで1兆1400億円)のうち、日本側が事業費ベースで59%の60億9000万ドル(6760億円)を負担することで合意した。
一般会計からの財政支出は28億ドル(3108億円)で、残りは政府出資と融資で支援する。
これにより、在日米軍再編問題は大筋で決着した。日米両政府は5月2日に外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)をワシントンで開き、最終報告を発表する方向で調整している。
合意によると、「真水」に相当する日本の財政支出は、主に海兵隊の庁舎、隊舎、家族の学校の建設などに充てられる。家族住宅の建設費25・5億ドル(2830億円)のうち、15億ドル(1665億円)は新設する第3セクターに政府が出資し、残りは国際協力銀行などによる融資を想定している。融資は、電力、下水道などインフラ整備も対象にする見通しだ。
海兵隊の訓練施設や滑走路、ゴルフ場などの娯楽施設などは、日本側は支出せず、米側が負担する。
米側の直接の財政支出は31・8億ドル(3530億円)で、日本の28億ドルをやや上回る。米側が負担する残りの10億ドル(1110億円)は、基地周辺の道路建設費などに使われる。
◇
安倍官房長官は24日の記者会見で、在沖縄海兵隊のグアム移転費の日米合意について「沖縄などの負担軽減と抑止力の維持を早期に実現するには、我が国もしかるべき負担を負う必要がある。地元の負担軽減は日米同盟、日本の安全保障にもプラスだ」と評価した。
(読売新聞) - 4月24日13時54分更新
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▽総額102億7000万ドルのうち日本側負担を60億9000万ドル、米側負担を41億8000万ドルとする
▽日本側負担のうち、財政支出による無償支援は28億どる、政府出資は15億ドル、国際協力銀行などの融資は17億9000万ドル
▽日本側の無償支援の使途は、庁舎、隊舎など。家族住宅費は政府出資と融資の併用。融資は電力、上下水道などの整備も含む
▽米側負担は、財政支出31億8000万ドルと、それ以外に道路建設費などが10億ドル
海兵隊移転費用の分担に関する合意がなったので、5月2日に外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)をワシントンで開き、最終報告を発表する方向である。
交渉の経緯をごく大まかに書いておくと次の通りであった。米国側は当初75%の負担を求めていた。それに対して、日本側は家族住宅整備費など約30億ドルを融資方式で支援することを示したに過ぎず、隔たりはきわめて大きかった。その後、米国側が、日本側の無償支援、出資・融資、米国の負担をそれぞれ3分の1とする案を提示したが、これは日本側が拒否した。最終的に、日本の負担を6割以下に抑えることで歩み寄り、今回の合意に至った。
海兵隊の移転費用を分担することの意義は、安倍官房長官が「沖縄などの負担軽減と抑止力の維持を早期に実現するには、我が国もしかるべき負担を負う必要がある。地元の負担軽減は日米同盟、日本の安全保障にもプラスだ」と述べている通りである。全額アメリカが負担しろとか、何で立退き料を支払う必要があるのかなどと主張する人は、日米同盟の存在意義を全く理解していない者の発想である。さらに、米軍が日本国内で部隊を移転する場合、その費用は日本が原則負担という約束がある。今回は、国内移転ではなく海外移転だが、日本が求めた移転である以上、負担は義務と言っても過言ではない。75%はさすがに多すぎるのではないかと思ったが、50%を超えるのはやむ得ないところであろう。日米同盟の維持のためにコストを分担するのは、我が国の安全保障上当然のことである。
ちょっと興味深いと思ったのが、海兵隊の訓練施設や滑走路、ゴルフ場などの娯楽施設などは、日本側は支出せず米側が負担するという、日米の負担の内訳である。娯楽施設は日本が面倒を見るいわれは全くないのは当然として、訓練施設や滑走路の分を含めなかったのは、ホストネーションサポート(思いやり予算)を踏襲しただけかもしれないが、ひょっとすると集団的自衛権の問題が絡んでいるのかしれない。
(参考記事)
[グアム移転、日本分担は59%・60億9000万ドル]
【ワシントン=今井隆】額賀防衛長官とラムズフェルド米国防長官は23日夕(日本時間24日早朝)、国防総省で約3時間会談し、在沖縄海兵隊のグアム移転費の総額102億7000万ドル(2006年度予算の換算レートで1兆1400億円)のうち、日本側が事業費ベースで59%の60億9000万ドル(6760億円)を負担することで合意した。
一般会計からの財政支出は28億ドル(3108億円)で、残りは政府出資と融資で支援する。
これにより、在日米軍再編問題は大筋で決着した。日米両政府は5月2日に外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)をワシントンで開き、最終報告を発表する方向で調整している。
合意によると、「真水」に相当する日本の財政支出は、主に海兵隊の庁舎、隊舎、家族の学校の建設などに充てられる。家族住宅の建設費25・5億ドル(2830億円)のうち、15億ドル(1665億円)は新設する第3セクターに政府が出資し、残りは国際協力銀行などによる融資を想定している。融資は、電力、下水道などインフラ整備も対象にする見通しだ。
海兵隊の訓練施設や滑走路、ゴルフ場などの娯楽施設などは、日本側は支出せず、米側が負担する。
米側の直接の財政支出は31・8億ドル(3530億円)で、日本の28億ドルをやや上回る。米側が負担する残りの10億ドル(1110億円)は、基地周辺の道路建設費などに使われる。
◇
安倍官房長官は24日の記者会見で、在沖縄海兵隊のグアム移転費の日米合意について「沖縄などの負担軽減と抑止力の維持を早期に実現するには、我が国もしかるべき負担を負う必要がある。地元の負担軽減は日米同盟、日本の安全保障にもプラスだ」と評価した。
(読売新聞) - 4月24日13時54分更新
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(おまけに地元も『金くれぇ~』というわけでw)
そんな折、昨年の貿易統計で兵器輸入が実は中国が世界一だったと聞き、ムカついています。(環境汚染なんとかしてよと思ふ。)
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/1
自民党の政策を研究されている貴方に、純粋に心の底から教えを請いたいのです。
75%では多すぎて、59%なら日米同盟維持の為なら致し方がない根拠をお教えくださいませんか。
日米同盟のそれなりの重要さは、私なりには認識しておるつもりです。
世界の米軍駐留地の中で日本だけが負担を強いられる根拠を教えてください。
フィリピンはお金がないから負担を強いられなかったのでしょうか?
出資の1750億円の返済が今のところ担保されておらず、金融機関からの融資約2100億円に対する米政府の補償がなされていない現状は致し方ないのでしょうか?
それなりに政治状況をウォッチしているつもりなのですが、一般の我々には伺い知る事の出来ない事柄が、日米の間には存在するのでしょうか?
中・韓の理不尽な要求と同じように米の言い分・言い様に腹が立つ私はそんなに日米同盟の理解が足らないのでしょうか?!
”全額アメリカが負担しろとか、何で立退き料を支払う必要があるのかなどと”主張はしません。
75%がNGで59%がOKの理由をどうか教えてください。
まず、移転要求する側がより多く負担するのが海外の事例を見ても「相場」となっております。それが50%を超えるのはやむをえまいと書いた理由です。例えば、韓国では竜山基地移転と米第二師団の移転に際して、100億ドル中55億ドルを負担する方向です。また、ドイツは、旧ソ連軍の撤退費用実に120億マルク(当時)、これは1兆円を超えるような額ですが、そういう巨額の負担をしています。今回の場合75%は多すぎるだろうと考えたのは、グアムに海兵隊を移転することによりグアムに既に駐留している海軍と移転する海兵隊の一体的な運用が可能になるという米国側のメリットも大きいためです。
それから、もし米国の負担のみで移転をしようとすれば、10~15年程度かかるのではないかとの概算があります。それでは、沖縄の負担軽減に役に立たないとは言わないまでも、遅すぎるのではないかという観点があります。そのための日本側の負担費用を積み上げていくと大体60億ドル程度になるということのようです。
以上のようなもろもろの条件を勘案すれば、59%は許容できる程度の負担なのではないかと思います。米国が苛立っていたのは、日本側の取り組みが緩慢だったというのも一因です。在日米軍再編問題は、米国にとっては世界戦略の一部ですが、日本は基地移転に関する地元との折衝の面にばかり目を向けがちでした。小なりといえども共に世界戦略を論ずるという観点と気概を持ち、アーミテージ氏のいうように「太平洋の英国」たらんとすれば、我が国の立場はもう少し強くなると思われます。
何でももっと毅然とした態度で臨めば、混乱しないような気がするんですけど・・・。
―(韓国)竜山基地移転と米第二師団の移転55億ドル/100億ドル
―(ドイツ)旧ソ連軍の撤退費120億マルク(1兆円)
引用された例は、今回のわが国における環境とあまりに違いすぎて「世界の相場の証」の参考例には適当でないと思います。
・38度線をめぐる仮想ではなく実際の”敵”を目の前にしたソウル守護のための軍隊の移転
・東西ドイツの合併時に東ドイツに駐留していたソビエト軍撤退
自民党の為のプロパガンダの類にしか思えぬ故心底お尋ねいたします。
Q1.総額102億7000万ドルの移転経費の整合性は?
Q2.アメリカ海兵隊とは日本有事に有効な兵員であるのか?
Q3.日本の駐留地にて新兵の教育を行う必然性は?
Q再掲.出資の1750億円の返済が今のところ担保されておらず、金融機関からの融資約2100億円に対する米政府の補償がなされていない現状は致し方ないのでしょうか?
なんびとも異議をさしはさめない「沖縄の負担軽減を早期実現」を錦の御旗の如く仰るが、額賀長官がアメリカに約した今回の処置の必然性、妥当性をどうか多分に聞く耳を持ち、周辺からは『いい歳をしたネットウヨ呼ばわり』をされている親父に得心するように言い聞かせてくださいませんか。
私は、小泉氏の功績も自民党の功績も認めることにはやぶさかではありません。
しかし本人や周辺のAll OK的な物言いには無性に嫌悪感・胡散臭さを感じます。
組織運営、防衛上仕方がない所作ではありますが、日本のためにという視点に立ち、是々非々で対処願いたい。
特に貴殿のようなシンクタンク系?の人材には!
劣ったものでも売る手管が長けた広報官より、身内から為政者の至らぬところに物申してほしい。
論破されると非常に従順で有効な人材ですよ、小生は^^
会談で「世界第二の経済大国の軍備費が対GDP比1%なんて少なすぎるじゃないか」と言われたそうで、耳が痛い話です。しかも、それで「集団的自衛権の行使は認められない」なんて言ってるのですから、形無しです。
まず第一に、今回の交渉は、とにかく、日米同盟にひびを入れてはいけないという一点がポイントだったと指摘しておきましょう。決裂させるのも、75%を丸飲みして対米感情を悪化させるのもどちらもまずかった。日米同盟の役割分担を再定義して日本が金だけ出すという構造を改めておくべきだったというのが理想論ではあったけれども、この期に及んでそれは手遅れなので、この交渉だけに着目して額賀長官の働きを高く評価すべきです。
Q1.総額102億7000万ドルの移転経費の整合性は?
A1.整合性というのは合理性という意味かと思いますが、正直言って、細かい計算基準はよく分からないです。
Q2.アメリカ海兵隊とは日本有事に有効な兵員であるのか?
A2.海兵隊は水陸両用の戦闘部隊ですから日本のような島国には有効です。特に、島嶼部への敵軍上陸阻止が最近話題によく上りますが、そういうときに力を発揮するはずです。そこら辺を「自衛隊が全部やるよ」と言えれば話はずいぶん違ってくるのですが…。
Q3.日本の駐留地にて新兵の教育を行う必然性は?
A3.必然性があるとまでは言えないかも知れませんが、A2と関連して、日本有事の際の海兵隊の効果を高めるには、日本でやった方がよいだろうという合理性はあると思います。
Q再掲.出資の1750億円の返済が今のところ担保されておらず、金融機関からの融資約2100億円に対する米政府の補償がなされていない現状は致し方ないのでしょうか?
A.率直に申し上げて、そこら辺は言葉のあやといいますか、日米がお互いに「自分の負担は少ないんだよ」と国民に説明するための方便です。
最後に。
小泉内閣は、日米同盟関連は与えられた制約の下では、実によくやったと思うけれども、集団的自衛権に関する憲法解釈を改めなかったのは納得が行かないところです。せっかくの高い支持率を活かして将来の国民に極めて重要な遺産を残すことができたよい機会でした。これは、内閣を潰しても行うべき価値のあることです。