猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

自民党が「宇宙利用法案」原案まとめる

2006-09-20 00:20:44 | 安全保障・自衛隊
 くしくも、先日15日に書いた『H2Aロケットによる3基目の情報収集衛星打ち上げ成功』でとりあげた問題点に対する自民党の取り組みが明らかになった。すなわち、自民党は「宇宙利用法案」をまとめ、現在は厳格に非軍事目的に限定されている宇宙開発について、国際社会の平和、国と国民の安全確保などにも寄与できるものとして、防衛目的の偵察衛星を打ち上げることを可能としている。26日召集の臨時国会か、来年の通常国会に議員立法で法案を提出する予定である。現在3基打ち上げられている情報収集衛星は「非軍事」との位置づけなので、解像度に大いに問題があるのは上述のエントリーで指摘したとおりである。欧米は「攻撃的でない軍事利用は可能」としているので、それに合わせるのが理にかなっている。
 さらに、政府が宇宙開発に関する総合的な基本計画を策定し、内閣に首相を本部長、全閣僚や有識者をメンバーとする「宇宙開発戦略本部」を設置することなどを盛り込んでいる。
 同法案の要旨は以下の通りである。

1章 総則
(目的)研究開発中心の宇宙開発の在り方を見直し、戦略的な宇宙開発とする必要がある。
(国・国民の安全確保)宇宙開発は国連宇宙条約の規定に則り、国際社会の平和、我が国の平和・独立、国・国民の安全確保、防災・大規模災害への対処、治安体制の強化並びにエネルギー・食糧の安定的供給など我が国の総合的な安全保障に寄与するものでなければならない。
(産業振興)宇宙からの観測による広範な情報収集、安定的通信確保、宇宙関連産業の競争力強化を促し、産業振興に寄与するものでなければならない。
(外交政策への貢献)調和のある対外関係を発展させつつ、国家の繁栄と外交政策上の国益を確保し、我が国の利益の増進に努める。

2章 宇宙開発基本計画
 宇宙開発に関する基本的な計画を策定する。基本構想、安全保障への貢献、産業の振興への寄与、研究開発と成果の活用などを定める。

3章 宇宙開発戦略本部
 宇宙開発戦略本部を内閣に設置し、宇宙開発に関する施策を実施する。首相を本部長とし。全閣僚を本部員とする。

4章 基本施策(略)


(参考記事)
[偵察衛星開発を容認…自民が「宇宙利用法案」原案]
 自民党がまとめた「宇宙基本法案」原案が16日、明らかになった。
 現在は「非軍事」に限定されている衛星などの宇宙開発について、国際社会の平和、国と国民の安全確保などにも寄与できるとし、政府が独自に防衛目的の衛星を打ち上げることなどを認めたのが特徴だ。宇宙開発を推進するための戦略本部を内閣に新設することも盛り込んだ。自民党は公明党の了解を得た上で、26日召集の臨時国会か、来年の通常国会に議員立法で法案を提出する考えだ。
 日本は1967年、宇宙の平和利用原則を盛り込んだ国連宇宙条約を批准した。国会は69年に「(宇宙利用は)平和の目的」に限るとの決議を採択。欧米は「攻撃的でない軍事利用は可能」としているが、日本政府は「防衛目的の利用はできない」と解釈してきた。このため、防衛庁・自衛隊が自前の偵察衛星を開発できないという弊害があった。政府は今月11日、3基目の情報収集衛星を打ち上げた。だが、1メートルの物体を識別できる程度の民生分野で一般化した技術しか利用できないことから、北朝鮮などのミサイル発射の兆候を探るには不十分との指摘もあった。
(読売新聞) - 9月17日15時24分更新

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「攻撃的でない軍事利用は可能」 (PJ)
2006-09-21 09:17:16
こうやって日本が一歩一歩独り立ちしていくのをこれからも見られるのなら嬉しいですね。

「攻撃的でない軍事利用は可能」ってことは、映画に出てくるような衛星からのレーザービームはまだ無理ってコトでしょうかw
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攻撃的でない軍事利用 (猫研究員。=高峰康修)
2006-09-22 02:26:36
これは、例えば地球の周回軌道上に核兵器の発射に供するための飛行物体を乗せたりしてはいけないということですね。宇宙条約の第4条にそういう規定があります。

↓↓

条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る周回軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。



この条文の解釈として「攻撃的でない軍事利用は可能」というのが出てくるわけです。
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