猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

「国家安全保障会議」最終案固まる

2007-02-09 02:29:04 | 安全保障・自衛隊
 安倍総理大臣が昨年の総裁選挙の公約として掲げていた「官邸における外交・安全保障の司令塔機能の再編・強化」が「国家安全保障会議」の設置という形で実現する。政府の国家安全保障に関する官邸機能強化会議が8日に了承した最終案によれば、

・外交・安保の中長期戦略を検討する少人数閣僚会議は首相、官房長官、外相、防衛相の4人で構成し、年内に設置する
・スタッフ組織に官房副長官級の事務局長を置き、2008年4月に発足する

などが柱となる。概要は、参考記事1・2を読んでいただければ分かる通り、日本と同じく議院内閣制をとる英国の内閣委員会の制度をモデルにしつつ米国のNSCの仕組みも加味したということである。そういう意味では「日本版NSC」の呼称は的確ではない。
 官邸の外交安全保障機能強化は重要なことであり歓迎すべきことである。ただ、国際テロ組織や国際犯罪組織による資金洗浄対策という観点からは財務相を少人数閣僚会議に加えてもよかった。情報分析や省庁間調整などを担うスタッフは10~20人規模ということだが、もう少し拡充する必要も出てくるのではないかとも思う。運用しながら適正な規模を見きわめていくことが肝要である。



(参考記事1)
[日本版NSC最終案…事務局長は副長官級、来春発足]
 首相官邸の外交・安全保障政策の司令塔機能を強化するために新設する「日本版NSC(国家安全保障会議)」構想の最終案が8日、固まった。
 〈1〉外交・安保の中長期戦略を検討する少人数閣僚会議は首相、官房長官、外相、防衛相の4人で構成し、年内に設置する〈2〉スタッフ組織に官房副長官級の事務局長を置き、2008年4月に発足する――などが柱となる。
 政府の「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」は8日、座長の石原信雄・元官房副長官が示した最終案を大筋で了承した。27日に最終報告を公表する。政府は安全保障会議設置法改正案などを今国会に提出し、成立し次第、閣僚会議を設置する。
 最終案によると、現在の安全保障会議を改組して設置する日本版NSCは、名称を「国家安全保障会議」とし、首相を議長とする少人数閣僚会議が中核を担う。財務相は加えないことで決着した。
 また、首相補佐官(国家安全保障担当)を常設ポストとし、同会議に出席させる。首相補佐官が国会議員でない場合に限り、スタッフ組織の事務局長との兼務を認める。
 少人数会議は原則、月2回程度開き、外交・安保政策のほか、エネルギーや環境、政府開発援助(ODA)なども議論し、テーマに応じて関係閣僚を参加させる。「防衛計画の大綱」など現在の安保会議の審議事項は、引き続き首相と8閣僚で審議する。
 一方、情報分析や省庁間調整などを担う10~20人規模のスタッフ組織は、少人数会議の下に設置する。
 既存の組織と連携するため、外交担当と安全保障担当の官房副長官補2人が事務局次長を兼務する。
(2007年2月9日0時34分 読売新聞)

(参考記事2)
[日本版NSC、英国モデルに 権限は米国並み…企画立案も検討]
(2006年11月18日8時1分配信 産経新聞)
 政府は17日、創設を検討している日本版NSC(国家安全保障会議)について、英国の内閣委員会をモデルとする組織を軸に研究を進めていく方針を決めた。政府筋が明らかにした。権限については、首相への助言や関係省庁との政策調整にとどまらず、米国のNSC並みに安全保障戦略の企画立案の役割を与える方向だ。22日の「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」(議長・安倍晋三首相)の初会合で具体的検討に着手する。

 安全保障政策にかかわる政府関係者は17日、日本版NSCに関し「英国が一番参考になるが、米国のNSCの良い点も採り入れたい」と言明。制度上は英国を模範とし、役割や権限は、安保政策の企画立案まで行う米国のNSC型を一部導入すべきだとの認識を示した。
 日本版NSCを独立機関ではなく内閣の一組織とするには制度上、内閣法の改正が必要なほか、企画立案の権限を付与するため、専門スタッフの増強が不可欠だ。政府は来年2月末にまとめる有識者会議の結論を踏まえ、平成20年中に関連法案の国会提出を目指す。
 政府が英国の内閣委員会を制度上のモデルケースとするのは、日本と同じ議院内閣制で参考にしやすいためだ。ただ、英国の内閣委員会は内閣の一組織であり、米NSCに相当する明確な機関としては存在しない。その代わり、内閣委員会が外交・防衛政策を調整する機能を担っている。
 国会図書館調査・立法局によると、英内閣委員会の規模や構成は政権によって異なるが、内閣官房のスタッフが首相への助言や関係省庁との調整を事務的に行うほか、政策立案も手がける。このため、内閣官房が実質的に米NSCに似た機能を果たしているという。
 平時には通常、首相や外相、国防相、財務相をメンバーとする「海外政策および国防委員会」を設置。有事にはこの委員会に代えて「戦時内閣」と呼ばれる特別小委員会を立ち上げている。1982年のフォークランド紛争や湾岸戦争時の戦時内閣には情報政策担当相もメンバーに加わった。
 ただ、米国のNSCと決定的に違うのは、内閣委員会も戦時内閣も、法に基づく正式機関でない点だ。内閣委員会の設置に伴って関係省庁間に設置される「影の委員会」も政策調整を行うため、役割が必ずしも明確でなく「二重行政」との指摘がある。
 日本版NSCをめぐっては、安倍首相が9月の自民党総裁選で「官邸における外交・安全保障の司令塔機能を再編・強化する」と提唱。小池百合子首相補佐官(国家安保問題担当)も就任会見で「総合的な観点から日本の安全保障を確立させていく」とし、中長期の国家安保戦略を立案する組織創設を強くにじませていた。

                  ◇

【用語解説】米国のNSC
 National Security Councilの略。外交・防衛・安全保障政策について、大統領に企画立案や助言を行う米政府内で最高レベルの国防会議。1947年にトルーマン大統領が創設した。関係省庁間の政策を調整し、中長期的な政策を検討する。正式構成員は大統領、副大統領、国務長官、国防長官で、事務局長は国家安全保障問題担当の大統領補佐官が務め、スタッフは約200人。

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