自民党新総裁は安倍晋三官房長官

　ご承知の通り、２０日の自民党総裁選では安倍晋三官房長官が、国会議員票・党員票合計７０３票中４６４表を得て新総裁に選出されました。お祝い申し上げます。また、立派な論戦を展開された麻生・谷垣両氏にも敬意を表したいと思います。安倍さんは「美しい日本」を掲げて、小泉総理とは違った保守主義に根差した政治を行うことが期待されます。優先課題は、教育基本法とテロ特措法の改正がまず具体的なものとして挙がっています。政権が安定すれば憲法改正も視野に入ってくることと思います。その前に、集団的自衛権についての憲法解釈変更を是非改めていただきたい。
　残念だったのは、選挙戦を通じてマスコミの論調が「盛り上がらない」「違いがない」と判を押したようなものに終始しがちだったことです。同じ党なのだから、政策上の違いがそれほど大きくないのは当たり前のことです。それでも、例えば、財政政策に対する考え方の違いは重要ですし、教育改革に際しては自由化・競争化を通じて改革するのか平等主義的考え方を重視するのかといった小さくない相違がありました。もちろん「争点がない」と評価されてしまったのは自民党の発信能力に問題があったというのも事実でしょうが、マスコミはこういうときこそ小さな違いでもそれこそ針小棒大に取り上げて議論を活性化するのが日本の政治にとってプラスになるのではなかろうかと思います。自民党の発信能力の問題としては、例えばブロック大会が開かれましたが、あれは実は党員限定ではなく誰でも参加可能だったということをどれほどの人が理解していたでしょうか。こういうことは、今後の反省材料とすべきでしょう。
　何はともあれ、安倍さんの真骨頂は「ぶれない」ことだとされており、私もそのように感じています。そのイメージをどれだけ保てるかがカギになるのでしょう。手腕に期待しています。

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(参考記事)
[自民　安倍新総裁を選出]
　自民党は２０日午後、党本部で総裁選を行い、第２１代総裁に安倍晋三官房長官（５２）を選出した。安倍氏が国会議員票と全国の党員票を合わせて４６４票と６割を超す得票を獲得し、麻生太郎外相（６６）、谷垣禎一財務相（６１）を大差で破った。安倍氏は２５日に自民党三役を決め、２６日に召集される臨時国会で首相に指名された後、同日中に新内閣を発足させる。焦点の人事では、中川秀直政調会長と麻生外相を幹事長か重要閣僚で処遇する意向を固めた。
　自民党第２１代総裁に選ばれた安倍氏は、同党史上、最年少の総裁となった。任期は平成２１年９月までの３年間。２６日召集の臨時国会で、第９０代首相の指名を受け、初めて戦後生まれの首相が誕生する。また、同日までに公明党と政策合意を行い、連立継続を確認する。
　安倍氏は２０日の総裁選後に開かれた両院議員総会で正式に新総裁に承認され、「理想の炎、改革のたいまつをしっかり受け継いでいくことを宣言する。美しい日本をつくるために全身全霊を尽くす」と決意を語った。
　総裁選は、国会議員４０３票と各都道府県連の党員投票結果によって３候補にドント式で配分された地方票３００票の合計７０３票をめぐって争われた。
　議員票では、麻生氏が６９票、谷垣氏も６６票と事前の予想を上回り、安倍氏は２６７票とやや伸び悩んだ。
　地方票は安倍氏が４２都道府県でトップを占め、１９７票を獲得。福岡、佐賀、大分で１位となった麻生氏は６７票、山形、京都を制した谷垣氏は３６票だった。
　安倍氏は計４６４票を集め、得票率６６・１％をマークした。しかし、安倍陣営が目指した７０％以上の得票には及ばなかった。
　地方票の投票率は前回平成１５年の６９・３３％を８ポイント近く下回る６１・４５％。
　安倍氏は２０日夕の記者会見で、臨時国会では教育基本法改正案と、インド洋で米軍艦船などに給油支援するためのテロ対策特別措置法延長の改正案成立を最優先する方針を示した。
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【プロフィル】安倍　晋三氏
　あべ・しんぞう　昭和２９年９月２１日東京都生まれ。成蹊大法学部卒。南カリフォルニア大留学後、神戸製鋼所に入社。その後、父・晋太郎外相の秘書官に。平成５年、衆院旧山口１区から出馬、初当選。当選５回。１２年に森内閣の官房副長官。小泉内閣でも官房副長官を続け、１５年、自民党幹事長に抜擢（ばってき）された。翌年に幹事長代理に降格されたが、１７年１０月、官房長官として初入閣した。
（産経新聞） - 9月21日8時0分更新

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