猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

兵庫県沖、自衛隊のミサイル試験で漁船避難

2006-07-27 09:29:33 | 安全保障・自衛隊
 25日午後、兵庫県沖の日本海で、自衛隊によるミサイル性能試験が行われたのだが、その周辺海域に漁船が少なくとも計10隻いたということで、兵庫県が「防衛庁は十分な事前通知をせずに兵庫県沖の日本海でミサイル性能試験を行い、試験海域にいた地元漁船が現場から緊急避難した」として、防衛庁と水産庁に抗議する事態に発展している。「今回の事態は、致命的な結果につながる可能性も否定できず、このような事態が二度と起きないよう強く抗議する」とする要請文も防衛庁長官あてに提出した。いささか過剰反応であると思う。
 今回の訓練は、空自戦闘機がミサイルを発射せずに洋上の目標物を捕捉、追尾するもので、海上自衛隊の護衛艦が赤外線誘導ミサイルを妨害する熱源(フレア)を発射したもののである。つまり、ミサイル自体を発射したわけではないのであって、この場合は自治体などに事前通知する法的義務はないのである。しかも、24日にこの訓練海域において護衛艦が射撃訓練を実施した関係で、24-25日は航行警報を出していた。ということは、全くの抜き打ちでもないということである。漁船は水柱を目撃したというが、今回の訓練で護衛艦が発射した熱源は着水しても水柱が立つものではなく、熱源が出す煙を誤認した可能性があると防衛庁は指摘している。
 もちろん、自衛隊の訓練に際して周知徹底を図り、関係各方面の安全を確保するべきであることは言うまでもない。その点で、漁船の乗組員の受けた恐怖は察するに余りあるし、防衛庁は訓練に支障のない限り丁寧すぎるぐらいにアナウンスメントをしたほうがよいということは言える。しかし、今回の各種報道や県の対応は、軍事アレルギー体質を引きずっているように感じられる。特に「今回の事態は、致命的な結果につながる可能性も否定できず、このような事態が二度と起きないよう強く抗議する」という抗議文には違和感を覚えた。また、故意か無知でか知らないが、今回のフレア発射試験をミサイル発射訓練そのものであるかのように報道している姿勢にも問題があると思う。何も、防衛庁・自衛隊の言うことが全て正しいなどと言う気は毛頭ないが、防衛庁・自衛隊も額賀福志郎防衛庁長官が「ご迷惑をかけたということを前提に調べるように」と指示しているわけだし、その調査結果と回答を冷静に聞いて一層の信頼を構築すべきである。我が国を防衛している自衛隊に対して、いたずらに厳しい目を注ぐ風潮は改めるべきであろう。



(参考記事1)
[兵庫沖日本海 「ミサイル試験で漁船避難」 県知事、防衛庁に抗議]
 兵庫県の井戸敏三知事は26日、「防衛庁は十分な事前通知をせずに兵庫県沖の日本海でミサイル性能試験を行い、試験海域にいた地元漁船が現場から緊急避難した」として、防衛庁と水産庁に抗議した。けが人はなかった。
 県によると、25日午後3時55分ごろ、同県香美町の北方約130キロの日本海で、香住町漁協所属の誠竜丸(19トン、伊藤誠船長、乗組員6人)が漁具の回収作業中、航空機が低空で旋回した後、数キロ先の海面に水柱のようなものが上がったという。
 現場は防衛庁が射撃訓練海域として指定。県は会見で「水産庁を通じ防衛庁から訓練を行うとの事前の通知は受けていたが、水柱が立つようなミサイル性能試験は想定していなかった」などと指摘。射撃訓練は事前通報の上、付近に船舶がいないことを確認しながら行う取り決めになっているという。
 試験当時、訓練海域には少なくとも計10隻の漁船がいたため、県は防衛庁長官あてに「今回の事態は、致命的な結果につながる可能性も否定できず、このような事態が二度と起きないよう強く抗議する」とする要請文を出した。
 防衛庁によると、当時はF4戦闘機による護衛艦へのミサイル攻撃の訓練中。空対艦ミサイルをだますための熱源(フレア)を、護衛艦から10発発射したが、戦闘機はミサイルを発射していないという。また、漁船は訓練海域外にいたと説明。漁船が目撃したという「水柱」は「護衛艦が発射した熱源は着水しても水柱が立つものではなく、熱源が出す煙を誤認した可能性がある」としたが、額賀福志郎防衛庁長官は26日夕、「ご迷惑をかけたということを前提に調べるように」と事務方に指示したと記者団に明らかにした。
(産経新聞) - 7月27日8時2分更新

(参考記事2)
[困惑広がる防衛庁 通知義務なく「問題ない」]
 日本海での航空自衛隊の性能試験について兵庫県などから26日、「事前通知を受けていない」と抗議を受けた防衛庁に困惑が広がっている。ミサイルなどを発射しない試験は自治体などに事前通知する法的義務はなく、問題はないとしている。
 過去にも同様の試験を実施したことがあるが、特に騒ぎにはならなかったという。
 防衛庁によると、今回の試験は空自戦闘機がミサイルを発射せずに洋上の目標物を捕捉、追尾するもので、海上自衛隊の護衛艦が赤外線誘導ミサイルを妨害する熱源(フレア)を発射したものの、周辺に危険はないとされる。
 こうした試験は自治体などに通知する必要はないが、24日にこの訓練海域で同艦が射撃訓練を実施したため、24-25日は航行警報を出していた。
(共同通信) - 7月26日13時50分更新

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2 コメント

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北のミサイル (PJ)
2006-07-27 11:27:05
後遺症がまだ残ってたんでしょうけど。

やっぱ『いたずらに』ですよね。

周りを見ていると、普段、社会とか政治とかに興味の無い人に限って騒ぐんですよね。
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PJさんへ (猫研究員。=高峰康修)
2006-07-29 03:00:23
「北朝鮮のミサイルの次は日本のミサイルにおびやかされた」という趣旨の発言をしている漁船の乗組員の言葉を紹介しているテレビ局がありました。その言葉自体は恐怖心を抱いた乗組員の率直な感想なのかもしれないですが、自衛隊のイメージを北朝鮮と同列に貶めようとする報道姿勢が感じられましたね。
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