猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

北朝鮮の核を段階解決、米上院外交委員長が法案提出へ

2006-05-25 00:35:54 | 朝鮮半島
 米国のルーガー上院外交委員長は、旧ソ連の戦略核の解体を支援したり核物質を共同管理したりする有名なナン・ルーガー・イニシァチブの提唱者である。ナン・ルーガー・イニシァチブは一九九一年から進められており、二○○四年度からは、旧ソ連諸国以外にも適用を拡大している。同年には年間五千万ドル(約五十四億円)の予算を計上した。2003年には、ルーガー上院外交委員長の側近アンディ・フィッシャー氏が、旧ソ連以外への適用対象としてパキスタンやインドのほか完全な検証措置を前提に北朝鮮があり得ると述べたことがある。そういう背景もあってか、ルーガー米上院外交委員長が北朝鮮の核問題を段階的に解決する「北朝鮮関係法案」を近く提出する予定である。
 読売新聞の報道によれば、同法案は、米朝双方の首都に連絡事務所を開設し、北朝鮮が核爆弾の原材料となるプルトニウムの移管や、再処理施設および原子炉の閉鎖などを実現すれば、米朝関係を正常化し、さらに国際的枠組みに沿ってミサイルの廃棄、生物・化学兵器の廃棄などが実施されれば、北朝鮮を米国の国際テロ支援国指定から解除することなどを明記しているという。ナン・ルーガー・イニシァチブを直接適用するのかは不明であるが、類似した計画だということなのだろう。注目すべきことは、平和条約締結交渉を開始する前提条件として、拉致問題が被害国政府の満足行く形で解決されることも明確にあげている。これは、もちろん、日本国民の北朝鮮による拉致問題を強く念頭に置いたものである。核問題と拉致問題が切り離されて協議されるようなことになれば、拉致問題の解決はますます遠のくのではないかと懸念される。しかし、ルーガー外交委員長の提案のような形であれば、穏当なものだと思われる。一方で、北朝鮮は全く信頼できない態度に終始してきた。過度の期待は禁物であり、注意深く見守りたい。
 ところで、その拉致問題であるが、先日訪米してブッシュ大統領との面会が実現した横田早紀江さんがシーファー駐日米大使を訪問して感謝の言葉を述べた。ブッシュ大統領と早紀江さんの面会が実現したのは、シーファー大使の口添えが大きかったとされる。ありがたい話である。しかし、裏を返せば、日本政府が長年にわたってこの問題を放置してきたからこそ、他国の政府に頼らざるを得なくなったのである。今後はその点を猛省して果敢に取り組むべきである。



(参考記事1)
[北朝鮮の核を段階解決、米上院外交委員長が法案提出へ]
 【ワシントン=坂元隆】ルーガー米上院外交委員長が北朝鮮の核問題を段階的に解決する「北朝鮮関係法案」を近く提出することが明らかになった。
 本紙が19日入手した法案草稿によると、核廃棄と引き換えに米朝関係を正常化することなどを明記する一方で、北朝鮮が熱望している朝鮮戦争休戦協定に代わる平和条約の交渉は、日本などの拉致問題が解決しない限り始めないとしている。
 法案は、米朝双方の首都に連絡事務所を開設し、北朝鮮が核爆弾の原材料となるプルトニウムの移管や、再処理施設および原子炉の閉鎖などを実現すれば、米朝関係を正常化し、さらに国際的枠組みに沿ってミサイルの廃棄、生物・化学兵器の廃棄などが実施されれば、北朝鮮を米国の国際テロ支援国指定から解除することなどを明記している。
 平和条約締結交渉を開始する条件としては、「拉致問題が被害国政府の満足行く形で解決される」ことをあげている。
(2006年5月21日0時11分 読売新聞)

(参考記事2)
[米大統領に会えて感謝…横田早紀江さんが駐日大使訪問]
 北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母、早紀江さんが24日、4月にブッシュ米大統領との面会が実現した際の“影の立役者”となったシーファー駐日米大使を訪ね、感謝の言葉を述べた。
 この日都内で行われたシーファー大使の講演に出席した早紀江さんは「私たちの悲しみをブッシュ大統領にも伝えることができ、感謝の気持ちは言葉に表せない」とあいさつした。
 シーファー大使は「ブッシュ大統領とは長年の付き合いなので、横田さんの話は必ず大統領の心に響くと分かっていた」と語り、早紀江さんの訪米後、米政府内で拉致問題への関心が高まっているとの認識を示した。
 ブッシュ大統領と早紀江さんの異例の面会が実現したのは、大統領の政界入り前から親交が深いシーファー大使の口添えが大きかったとされる。シーファー大使は今年3月、米政府関係者として初めて新潟市のめぐみさんの拉致現場を視察するなど、拉致問題の解決に積極的に取り組む姿勢を示している。
(2006年5月24日22時16分 読売新聞)


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やっほ~ (名無し)
2006-05-25 00:36:33
初めまして、新着ブログを彷徨ってます♪
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北朝鮮政権の崩壊 (PJ)
2006-05-26 12:18:17
北朝鮮の崩壊以外に拉致被害者が全員帰ってくる方法は無いような気がします。

でも無理なんでしょうね・・・。
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PJさんへ (猫研究員。=高峰康修)
2006-05-30 23:43:10
返事遅くなりました。

崩壊の過程で犠牲になる人もいるかもしれないし…。現実の政策担当者としてはなかなかとれない選択肢でしょうね。
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