米国防総省が23日に議会に提出して公表した「中国の軍事力に関する年次報告書」によれば、台湾海峡に配備している短距離弾道ミサイルは710~790基に達し、昨年の報告書で指摘した「650~730」を大幅に上回っている。これは、当然台湾への威嚇であり、中国の軍事力拡大はすでに地域の軍事バランスを変えるほどになっているという指摘は全く正しい。
さらに、同報告書は、中国の軍拡が短期的には台湾海峡有事に照準をおいたものではあるが、それにとどまらず、資源や領土紛争など他の地域紛争にも適用可能な能力を獲得しつつあるとも分析し、警告している。具体的には、東シナ海や南シナ海への海洋進出が挙げられる。とりわけ、尖閣の領土問題と経済水域問題を抱える我が国には、前者は焦眉の問題といっても過言ではない。また、南シナ海を中国が制圧することは、東南アジア諸国を扼することであり、これも我が国にとって死活的な問題である。東南アジアで中国にバンドワゴンするフィンランダイゼイションが起これば、日米にとってそれこそ一大事である。そういうわけで、このたびの報告は、日本への注意喚起という意味合いも持つと思う。同盟国としての忠告と言ってもよいのではないか。
さて、何度も言うとおり、これに対処するには日米同盟の強化以外にありえない。そして、そのための大前提は、集団的自衛権の行使を完全な形でみとめるということである。米国が矛で日本が盾の役割(すなわち基地提供)というのは冷戦時代の思考である。ちなみに、日本政府が言っている「自国と密接な関係がある他国への武力攻撃に対して、我が国がが攻撃されていないにもかかわらずこれを排除する権利」という定義はおかしくて、基地の提供も集団的自衛権の行使の一態様である。あとは、武力行使と一体化するか否かなどという謬論を排すればよい。先般まとまった在日米軍再編による日米両軍の一体化は、第一歩には違いないが、集団的自衛権の問題をクリアしなければ、画竜点睛を欠くというものであろう。このあたりの理屈をすっとばして「対米従属はけしからん」などと粋がるのは、安全保障の在り方として、到底賛成し得ない。
[台湾海峡でミサイル増強、米国防総省が中国軍事力報告]
【ワシントン=五十嵐文】米国防総省は23日、2006年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」を米議会に提出、公表した。
報告書は、「中国の軍事力拡大は、すでに地域の軍事バランスを変えるほどになっている」と指摘し、強い警戒感を表明した。
具体的には、台湾海峡に配備している短距離弾道ミサイルが「710~790」基に達すると明記。昨年の報告書で指摘した「650~730」を大幅に上方修正した。報告書は、中国の軍拡が短期的には台湾海峡有事に照準をおいたものながら、「資源や領土紛争など、他の地域紛争にも適用可能な能力」を獲得しつつあるとも分析し、懸念を表明した。中国政府は2006年の国防予算を2838億元(約350億ドル)と公表しているが、報告書は、実際には公表額の2~3倍に達すると推計した。
(2006年5月24日1時44分 読売新聞)
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さらに、同報告書は、中国の軍拡が短期的には台湾海峡有事に照準をおいたものではあるが、それにとどまらず、資源や領土紛争など他の地域紛争にも適用可能な能力を獲得しつつあるとも分析し、警告している。具体的には、東シナ海や南シナ海への海洋進出が挙げられる。とりわけ、尖閣の領土問題と経済水域問題を抱える我が国には、前者は焦眉の問題といっても過言ではない。また、南シナ海を中国が制圧することは、東南アジア諸国を扼することであり、これも我が国にとって死活的な問題である。東南アジアで中国にバンドワゴンするフィンランダイゼイションが起これば、日米にとってそれこそ一大事である。そういうわけで、このたびの報告は、日本への注意喚起という意味合いも持つと思う。同盟国としての忠告と言ってもよいのではないか。
さて、何度も言うとおり、これに対処するには日米同盟の強化以外にありえない。そして、そのための大前提は、集団的自衛権の行使を完全な形でみとめるということである。米国が矛で日本が盾の役割(すなわち基地提供)というのは冷戦時代の思考である。ちなみに、日本政府が言っている「自国と密接な関係がある他国への武力攻撃に対して、我が国がが攻撃されていないにもかかわらずこれを排除する権利」という定義はおかしくて、基地の提供も集団的自衛権の行使の一態様である。あとは、武力行使と一体化するか否かなどという謬論を排すればよい。先般まとまった在日米軍再編による日米両軍の一体化は、第一歩には違いないが、集団的自衛権の問題をクリアしなければ、画竜点睛を欠くというものであろう。このあたりの理屈をすっとばして「対米従属はけしからん」などと粋がるのは、安全保障の在り方として、到底賛成し得ない。
[台湾海峡でミサイル増強、米国防総省が中国軍事力報告]
【ワシントン=五十嵐文】米国防総省は23日、2006年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」を米議会に提出、公表した。
報告書は、「中国の軍事力拡大は、すでに地域の軍事バランスを変えるほどになっている」と指摘し、強い警戒感を表明した。
具体的には、台湾海峡に配備している短距離弾道ミサイルが「710~790」基に達すると明記。昨年の報告書で指摘した「650~730」を大幅に上方修正した。報告書は、中国の軍拡が短期的には台湾海峡有事に照準をおいたものながら、「資源や領土紛争など、他の地域紛争にも適用可能な能力」を獲得しつつあるとも分析し、懸念を表明した。中国政府は2006年の国防予算を2838億元(約350億ドル)と公表しているが、報告書は、実際には公表額の2~3倍に達すると推計した。
(2006年5月24日1時44分 読売新聞)
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韓国のように統帥権も取られるかもとか、主権侵害だとか、
喧しい方々がいますけど、『早く日本も軍事力で独立しなきゃ』というと黙るか賛成するかしかありませんもんね。
>フィンランダイゼイション
よく意味がわからなかったんですけど・・・(汗)
中国のバンドワゴン効果に関しては私も昨年、「ここで中共の覇権を看過していよいよというところで大東亜解放に赴く羽目になるのか、今腰をあげるべきか、日本にとってもクロスロードだな」と思った記憶があります。
大体、「わが国に向けたミサイルは撃ち落せるが、グアムに向けたミサイルを撃ち落すと集団的自衛権に云々・・・・」というのが馬鹿げた話であり、それではBMDの話何て進みっこないですからね。
>このあたりの理屈をすっとばして「対米従属はけしからん」などと粋がるのは、安全保障の在り方として、到底賛成し得ない。
連休中は遊び呆けておりましたので世論の動向はよく判らんのですが、例の3兆円の話にしても、脊髄反射的に「核武装して自主防衛を」とか言い出す人が例の調子でいたのではないでしょうか?(汗)
引っ張りまわされないためにも、まっとうな同盟国として世界戦略を語り合う関係でなければならないですよね。
韓国の場合はちょっと特殊な事情があって、あれは在韓米軍が一応国連軍の資格をも備えているからであう。
フィンランダイゼイションは、冷戦期のフィンランドがソ連になびかざるを得なかったことを指す言葉です。ちょっとフィンランドに失礼な表現ですが…。
>tsubamerailstarさん
>ここで中共の覇権を看過していよいよというところで大東亜解放に赴く羽目になるのか、今腰をあげるべきか、日本にとってもクロスロード
宥和的な態度を見せると誤ったメッセージを与えかねませんよね。やはり、はじめから膨張路線をあきらめさせる方向で持っていくべきなのでしょう。「いよいよというところ」まで待ってからでは代償が大きすぎるに違いまりません。
>わが国に向けたミサイルは撃ち落せるが、グアムに向けたミサイルを撃ち落すと集団的自衛権に云々・・・・
大の大人がこんなことをまじめに議論をしているかと思うと、ちょっと悲しくなりますね。
在日米軍再編費用負担の件は、右からも左からも大変評判が悪いようです。批判するのは結構なのですが、実現可能な代案を示してほしいものです。
>大の大人がこんなことをまじめに議論をしているかと思うと、ちょっと悲しくなりますね。
そもそも国会の議論って、不思議なことが多いですよね。
もっと普通に議論しちゃいけないんでしょうか?
そりゃあ眠っちゃうよねぇ、と思ってしまいます。
特定アジアが騒いでる内に、それを理由にさっさと軍備増強お願いしたいです。
米国と手を切って核武装とかどこぞの漫画家が言い出しそうですが、IAEA離脱による経済制裁の担保を誰がしてくれるのか? アメリカとか言わないように。(爆)
>もっと普通に議論しちゃいけないんでしょうか?
というか、あれが日常になってしまっているのでしょう。丁寧で正確な議論というのはもちろん重要なことなのですが、瑣末なことをつつくようになるといけませんね。