衣・考

松本衣デザイン専門学校校長・太田が、衣服とその周辺、デザイン他について感ずること考えることを書きます。

若者へ、我が学生へ

2006-12-29 10:45:33 | 衣・考
きのう、卒業後3年ぶりの卒業生が来校。
在学中は優等生とは程遠かった彼が、「話せる」相手として成長していたことが嬉しかった。よい環境にいて、本人の持ち味を成長さててもらっていることがよくわかった。
卒業生の中でも、少ない進路を選んだ。着尺をつくる工房である。ほとんど、そこに寝泊りするような、家賃は無料とのこと。頂く現金はわずかなので、食べるためのバイトをしている。6:30起床で、バイト終了が夜11:30という生活を3年間つづけているとのこと。
その生活が、とてもよい、と言う。山へ連れて行ってもらって、染料にする植物を見分けたり、採集、時期の予測などをする。もちろん、工房では、染め、織、道具の手入れ、使い走り、掃除、犬の散歩、なんでもやる。きのうは、皆で毎年作るのだと言う干し柿と、つき立ての餅を持ってきてくれた。
「いいんですよー、おれにはー(今の環境が)」と言う顔は、ホント清清しかった!

彼も、フリーターとかニートとしてかぞえられるのでしょうねー、行政では?

また彼は「30歳までには独立できると思う」とも言っていた。頼もしく、嬉しい。伝統技術の後継者誕生である。

気になった話は「いいもの作っても、お客さんが昔の人のように、理解がない、お客さんも勉強してくれないと」

私の返事;確かに買う人、評価する人が揃ってはじめて、そこに文化があることになると思うけれど、客とは時代そのものである、とも捉えることができて、少なくとも、食べていける程度には、折り合い(妥協)をつけていかなくてはね。そうでないと、どんなに素晴らしい技術も無くなる事になってしまうよ。

これで、今年はたぶんおしまいです。
読んでくださる方があって、励まされてきました。
ありがとうございました。
よいお年をお迎えください。
たぶん、7日から始めます。M

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若者へ、我が学生へ「稼いで食っていく」

2006-12-28 10:22:00 | 衣・考
年がら年中、学生の就職相談にのったり、卒業生の転職相談にのっていて。
「理想的な仕事で稼いでる人なんてそう多くは無い」と私は思う。

私の青春時代は、社会体制や、権力的なものには反発しなくてはならない、という、仲間内の暗黙の了解があって、高校時代の仲間5人のうち2人は「大学へは行かない」選択をし、その後も「体力」でいきている(?ようだ)。残り3人は、そう潔くもできず、でも、そのときの思いを随分引きずりつつやってきた。その内の一人が私。
で、その当時、大企業や、まして総合商社などというのは悪の根源だと思っていた。ある日、そういう大企業の一つの記事を新聞で読んでいて、少し驚いた。輸入する柑橘類の消毒の、地球や人体に及ぼす影響を知って改善策を講ずるという記事だった。30年ほど前の話です。
私にとっては、環境問題を新聞で読んだ、ほとんど最初の記事だったと思う。
その記事によって、ある程度の余裕のある企業のほうが、ひょっとすると大企業のほうが対策を講ずることができるものなのかもしれない、と思った。
もちろん、全面的には信用するわけではない。少しだけやっていることを、宣伝に使うための演出にしていることもあるから。

あなたが理想的ではない職場にいて、疑問を感じていたら、それは、ひとつのチャンスでしょう。その場で「異質」なあなたでしかできないことが、そこにはある、ということですから。あなたがいなくなったら、・・・・・・

私は年をとるほど、人生を歩くのが楽になってきている、と感じています。その理由の最たることが「折り合いをつける」ことが、だんだんうまくなる、ということなのだと思います。
悪を許せない、他人を許せない、というのは、本人が相当しんどいことですよね。
M
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いろんな服を、スタイリングを

2006-12-27 16:43:01 | 衣・考
きのう、スタイリングを、生活様式そのものだというような言い方をしましたが、「若さ」というのは「途中」ということであって、若いうちに生活様式が確立されてしまうのも私には疑問です。ですから、服の勉強をするしないにかかわらず、いろんな格好をすることをおすすめします。そうすることで、「その格好をする理由」や、「その気分」を理解できたりします。そしてそれは、自分自身の幅を広げることにもなるし、他人を理解する助けにもなります。

かつて、まだ介護士という言葉もないころに、保健婦さんから相談を受けたことがあります。
「オムツをしていてもわからないような、格好のよいズボンを教えてください。オムツが理由で、家から出ないために、ボケてしまうんです」とのこと。
あれこれアドバイスをしたり、話し合っているうちにわかったことは、ご本人が「格好よい」とする幅がせまい、ということでした。
若いうちに許容範囲を広げておくことが、もしかすると、何十年後かに効果となるかもしれません。

ついでに、母が認知症なので、その体験から。
母は、80歳ですが、20年前までの記憶の世界に生きているようなのです。
で、20年前までに自分のものであったものは、自分のものなのですが、新しく買ったものは、「他人のものがこんなところにある!」と言います。
ズボンのシルエットは、そのころは裾の狭いのをはいていたらしく、広いのは格好悪いと言います。ご参考まで。             M

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スタイリング?

2006-12-26 09:57:29 | 衣・考
たまには「スタイリング」の話をしなくては、と常に思っております。
いつも読んでいてくださる方は、お察しのとおり、一言で言えば、文字通り「生活スタイルを演出する」ことと考えます。それは、ご本人の生活背景をいかしたものでも、自然ににじみでるものでも、意図的に演出したものでもいずれも考えられます。
若い人と仕事を毎日していると、当然ながら、私も若いころはそうだったように、「服」そのものにしか関心が無い、あるいは、自分の姿にしか関心が無い、といところを見せ付けられて、もっと広い世界に目を向けて!とか、服装に表われることは深いよ!とか、つい言いたくなってしまう。
だって、私は、この仕事に一生をかけることになりそうなので、もっと意味がないと困るわけです。

「スタイリング」で、新しい生活様式や、魅力ある文化を、是非演出して見せてください。                   M

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クリスマスとグローバル社会

2006-12-25 12:33:50 | 衣・考
新聞のクリスマス関連の中で学んだこと。
12月23日(日)朝日新聞「Be」90何歳かの現役医師であられる日野原先生のエッセイーーーーー
  記憶だよりですが、
    海外からいただくグリーティングカードが沢山あるけれど「メリークリス    マス」と言うのは、最近減っている。グローバル社会になって、相手の宗    教どを思いやってのことと思う。
  と言う意味合いのことが書かれていました。

多くの日本人の騒いでいるクリスマスって何?
私もしばしば思わなくもなかったけれど、隣に「キリスト教」を信仰する人がいたら、と思うと・・・・・
グローバル社会って、こういうことですよね。

かつて、入院見舞いに、外国人の友人から「仏壇用」の花をもらったことがあった。私は、命にかかわる病気ではなかったので構わなかったけれど、6人部屋で、
かなりの高齢者や、重症の他人がいたので、すぐに隠した。
国のちがい、宗教のちがいだけでなく、これからの社会、こういう事態は、ふえる一方でしょう。
大切なのは「想像力」と「寛容」かな?           M 

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怒っていません。願っています。

2006-12-23 17:05:39 | 衣・考
1年生の中に、場所や広さを構わず、大声を張り上げる者がいる。注意しようと近づくと「また怒られる」と言う。「怒ってなんかいないよ、あなたにレディーになって欲しいと思っているんだよ」と言うと、照れてしまって、連れと「ざーます言葉」でふざけ始めてしまった。

それから3日、ずーっとひっかかるものがある。
①いつも怒られてきたのだろうか?それとも、言葉の問題?語彙が少なくて、返す べき言葉が見つからない?
②本心から願っているのですよ。まだ間に合うからね。レディーは古かったかな? イイ女になれるよ。
③高校生を見ていても、不必要な大声が最近多いと思う。やはり、話している相手 以外の誰かに、何かを訴えているのでしょうか?   

教務ブログ開設しました。      M
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文字通りの師走です!

2006-12-22 17:04:52 | 衣・考
ブログ、読んでくださる方がいるので、「毎日」と思っているのですが、文字通りの師走です。

先日の教師の性格や態度のことですが、結構われわれとしては、作戦でやっていたり、第一、毎日クラスのなかの調整を試みるわけで、こっちがたてばあっち、ということが、多々あるわけです。同じ対応が、受け手によって、同じには届かないのです。嫌われたり、喜ばれたり。瞬時一喜一憂です。
だから、学生のことも、教師のことも、たとえ、悪い話が聞こえてきても、わたしは、必ず自分で確かめるようにしています。M

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嫌いな先生?

2006-12-19 16:59:29 | 衣・考
学生が、嫌いな先生の授業には出たくない、と言う。
嫌う内容を問うと、
  ①できない学生の実習を、やってあげてしまう
  ②機嫌のいいときと悪いときがある
とのこと。
やれやれ・・・・・(ため息)

今、いじめ、教育が社会問題でもありますが、そのことともあわせて考えるに、義務教育はともかく、専門の次は「社会」なので、専門学校の内部は、できるだけいろんな人、事があったほうがよいのです。あなたが好きな大人ばかりでは、困ります。社会に出て苦労するのは、あなたです。
気に入らないやつと、どうやっていくのか、練習しておきましょう。

我が校の先生へ
  教師であることを権力として使う以外は、あたりまえの人間でいてください。
  学生の前で、機嫌の悪いことがあったって、悪くない、とわたしは思います。
                             M

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車社会になって

2006-12-16 17:11:36 | 衣・考
私に年齢のせいかもしれませんが、「ブログ体験」というのは、やはり、特別な世界を見た、見ている思いです。
まったく知らない人が、よんでいて、お返事まできてしまうのです。手紙とはまるで違います。結構筆まめでしたが、最近減りました。でも、違いがわかったので、また、下手な字でも、手紙、はがきにもどそうかと考えます。

で、「車社会になったせいだ」と、数年前に思ったことを思い出しました。
ある日、授業中に、ミシンの押さえ金が、ぶっとびました。学生が使用中の1台の。前代未聞のことです。はじめは、50年も使っているものが何台もあるので、「しかたない」のか、と思いました。が、数日後、わかりました。「自動車のドア」なのです。学生の押え金をおろす動作が。昔の人は、ドアを閉めるとき、最後閉まるまで手を添えていました。でも、車でそれをすると、ドアは、ほとんど閉まっては暮れません。車に乗り始めのころ、なぜ、スマートにいかないのかと、逆に思っていましたが。
学生は、生まれたはじめから、車社会でそだっています。なので、押えがねを、途中で手を離すのです。無理からぬこと、と妙に納得してしまいました。
時代によって、人間がかわるのを、目の当たりにしたわけです。

では、ケータイでは、PCでは、ネットでは、と考えると、そのスピードだけでも怖い気がします。

こうして、デザインも、暮らしもかわっていきます。    M

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スタイル、スタイリング

2006-12-15 16:39:13 | 衣・考
話もどって、スタイリングとは、です。
「スタイリング」で調べると、「整える」とくに、「髪を整える」ときに使う言葉のようです。が、「スタイル」は、真っ先に出てくるのが「様式」です。
私としては、「スタイリング」の意味を、上記両方の意味をとらえ、ライフスタイルを背景とした、ライフスタイルを醸し出すその人らしさ、その装い、と定義したいのです。
ですから、学生には、決して「ファッション 馬鹿」にはなってほしくない。着るものの周辺や歴史や風土、風習などを踏まえた装いを考えられるよう、学んでいって欲しい。
来年も「スタコン」やります。スタイリングコンクールです。
小手先だけで他人を驚かすのではなく、心に響いてくる「スタイリング」を期待してます。
もちろん、この期待は、わが学生に向けても同じです。M

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