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ツアコン「心も体も限界」残業代求め提訴 阪急交通社系

2008-05-24 18:54:33 | Weblog
ツアコン「心も体も限界」残業代求め提訴 阪急交通社系 2008年05月23日
朝日夕刊 http://www.asahi.com/national/update/0523/TKY200805230080.html
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/biz/news/20080523k0000e040046000c.html
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080523-OYT1T00607.htm
 阪急交通社の子会社、阪急トラベルサポート(本社・大阪市)の派遣添乗員9人が、何時間働いても定額の日当しかもらえない「みなし労働時間制」の適用は不当だとして、未払い残業代など1人あたり400万円程度を求めて近く東京地裁に提訴する。うち1人は先行して23日、1カ月分の残業代約20万円を求めて東京地裁に労働審判を申し立てる。同日、記者会見して明らかにした。
 添乗員らは「長時間労働で心身共に限界。せめてきちんと残業代を支払って欲しい」などと訴えた。
 みなし労働時間制は、労働時間の算定が難しい場合に限り、通常必要な労働時間を想定して、給与を一定額にすることが認められる制度。
 9人は国内外のツアー添乗員で、労働時間は長い日で1日15、16時間に及ぶ。だが、みなし労働時間制を適用されているため、賃金は定額の日当(1万2千円~2万円)だけで、残業代はつかない。
 添乗員らは「勤務スケジュールは会社側に細かく管理されており、制度の適用は不当だ」などと反発し、昨年1月に全国一般東京東部労組に加入。団体交渉で会社側に制度の改善を求めてきた。昨年10月には三田労働基準監督署が会社に対し、みなし労働時間制適用は不適当として残業代を支払うように命じている。
 阪急トラベルサポートは「現在労基署の指導の下で対応を検討している。労組側とも交渉中なので、コメントは差し控える」としている。


 未払いの残業代の支給については、名ばかり管理職の問題がクローズアップされていますが、こちらはみなし労働時間性の恣意的な運用?を不満に思い、裁判に訴えるようですね。
 とはいえ、ツアコンの場合、団体客相手だけに、今後の付き合いも考えてお客さんと飲みにいくケースもあるでしょうし、現実問題として、『どこまでが仕事で、どこから先がプライベートか?』を判別するのは、携帯電話で逐次上司に報告を求める法人ルート営業以上に困難が伴うような気もしなくありません。労働基準監督署は、『みなし労働時間制適用は不適当として残業代を支払うように命じ』たようですが、裁判所では、残業代の支払いを認めるのか、認めるとしてどこまでを労働時間として認めるのかが注目されます。

名ばかり管理職問題 企業の対応 マクドナルド、トヨタ、スズキ、コマツ、すかいらーく

2008-05-24 18:49:11 | Weblog
マクドナルド、残業代払って店長手当て打ち切り 2008年05月21日
朝日 http://www.asahi.com/business/update/0520/TKY200805200266.html
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080520AT2F2003820052008.html
読売 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080520-OYT1T00716.htm
毎日 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080521k0000m040103000c.html
 ハンバーガーチェーンの日本マクドナルドは20日、直営店の店長約2千人に、8月から残業代を支払うと発表した。権限が大きくないのに残業代が支払われない「名ばかり管理職」だと指摘されていたためだ。ただ、店長手当は打ち切り、支払う給与の総額は増やさないといい、待遇改善の効果は薄いとみられる。
 残業代を払うようにするのは、直営店の店長のほか、複数の拠点を管理する「エリア営業管理職」数百人。社内では管理職との位置づけは変えないが、法的には「経営者と一体的な立場」とされる「管理監督者」ではなくなる。上に立つ管理監督者は、「ディレクター・オブ・セールス(販売部長)」が務める。
 店長には、これまで基本給、成果給に加え、店長手当などの「職務給」があった。今回の制度変更で職務給がなくなり、代わりに残業代にあたる「時間外労務手当」を払う。残業代の支払い総額の見込みは示さなかったが、店長らへの給与の支払い総額は、いまと変わらないという。
 「労務監査室」を新設し、店長の勤務時間を管理。残業代を申請しない「サービス残業」の発生を防ぐと説明している。
 マクドナルドに対しては、直営店の店長が未払いの残業代の支払いを求めた訴訟を起こした。東京地裁が今年1月に訴えを認め、約750万円の支払いを命じる判決を出している。
 20日に会見した原田泳幸(えいこう)・日本マクドナルド会長兼社長は、「『名ばかり管理職』の報道の度に、弊社の裁判のケースが出るのは残念だ」と話したが、一方で「本制度の発足と係争中の裁判のことは、別々で独立した議論だ」と述べ、すぐに和解はしない考えを示した。店長への残業代も「(過去に)さかのぼって支払うことはない」と明言した。
 今後、残業を厳しく抑制する方針を示しており、店長らが会社からの評価が下がることを恐れ、申告しないまま残業を増やす可能性も指摘される。

マクドナルド:イメージ悪化避ける思惑も 残業代支払いで 2008年5月21日 毎日
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080521k0000m020119000c.html
 日本マクドナルドが「名ばかり管理職」に残業代の支払いを始めるのは、違法と判断された勤務制度を続けることによる企業イメージの悪化を避ける思惑もある。「名ばかり管理職」問題の発端となったマクドナルドの方針転換で、同様の制度を持つ他の企業でも勤務実態に合わせた制度変更が進みそうだ。
 日本マクドナルドの原田泳幸会長兼社長は20日の会見で残業代支払いを決めたことについて「企業の信頼を向上させ、消費者らの理解を得るために決断した」と語り、問題の長期化による企業イメージの悪化を避ける狙いがあることを認めた。
 東京地裁が1月、マクドナルドの勤務実態を違法と判断したことを受け、コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンや紳士服チェーンの青山商事、AOKIホールディングスなどが相次いで残業代の支払いや休日・出勤手当の支給を決断した。現段階で残業代を支払っていない企業でも「労組との検討の場を近々に設ける」(すかいらーく)、「社長直轄プロジェクトで長時間労働させない仕組みづくりや他社の事例を参考に勤務の改善を検討する」(ロッテリア)などの動きも出始めた。
 ただ、流通・外食業界は、消費低迷と原材料費高騰によるコスト増にあえいでいる。労働力不足の深刻化で、従業員の確保が一層難しくなれば、賃上げ圧力が高まる可能性もある。店舗の賃料代上昇など他のコスト増懸念で、値上げを探る動きも出てきそうで、企業イメージの改善と収益確保の間で、企業は難しい判断を迫られることになりそうだ。

未払い分含めた決着にはなお時間 マック残業代問題 2008年5月21日 産経
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080520/biz0805202128018-n1.htm
 管理職扱いのために長時間労働にもかかわらず、残業代が支払われない、いわゆる「名ばかり店長」の問題は、東京地裁が1月28日に日本マクドナルドに対して未払い残業代の支払い命じたことで一気にクローズアップされた。この判決を機に、紳士服チェーンやコンビニエンスストアなどで店長の残業代見直しが相次いでいる。
 例えば、紳士服チェーンの青山商事は、4月から店長に残業代を支払うことを決めた。店長約750人と課長約60人の約810人が対象。社会保険料を含めて過去2年分も含めて総額12億円を支払った。
 AOKIホールディングスも5月からすべての店長に残業代を支払うように制度を変更。組合員以外の店長約150人にも支払うことにした。コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンも3月から直営店の店長約600人に対し、残業代を支払う代わりに店長手当を半減した。
 ただ、「名ばかり店長」訴訟の多くは過去の未払い残業代の支払いを求めている。青山商事は2年間さかのぼって残業代を支払ったが、支払額に納得がいかない店長に4月4日に福島地裁に提訴された。セブン-イレブンも長野県のフランチャイズ(FC)店の店長がFC会社と係争中だ。
 マクドナルドが店長などに残業代を支払うことを決めたことで、「名ばかり店長」に残業代を支払う動きは加速しそうだが、未払い分も含めた形での決着には時間がかかりそうだ。

トヨタ、QC活動の残業代全額支払いへ 2008年5月22日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080522AT1D2200D22052008.html
 トヨタ自動車は従業員が勤務時間外にグループで活動する品質管理(QC)サークル活動の残業代について、月間2時間と定めた上限を撤廃し、6月から全額を支払う方針を固めた。従来あいまいだったQCの位置付けを、会社側が明確に「業務」と認める。製造業の多くが現場の作業改善を目指すQC活動に取り組んでおり、トヨタの動きは産業界の労務管理のあり方に影響を与えそうだ。
 QC活動する場合には上司に事前に申請する制度に改める。 (10:53)

スズキ、コマツも残業代見直し トヨタ「カイゼン」受け 2008年05月23日 日経
http://www.asahi.com/business/update/0522/TKY200805220323.html
 トヨタ自動車が従業員グループで取り組む勤務時間外の「カイゼン」活動に残業代を全額支払うことにしたのを受け、他のメーカーの中にも追随する動きが出てきた。スズキやコマツなどは残業代を支払う方向で検討を始めた。
 スズキは、グループ単位で改善策を検討するQC(クオリティーコントロール)サークル活動にお茶やお菓子代を支給している。今後、残業代として支払う形に見直す方向だ。コマツも自己啓発に関するQC活動は現在、残業代の支給対象外で、これを見直す。トヨタ系部品メーカーのトヨタ紡織もQC活動を「業務」と認定し、月2時間だった残業代の上限を撤廃する方向で検討を始めた。
 QC活動は、自動車や電機メーカーを中心に3万以上といわれる。日産自動車や三菱重工、ソニーなどは「QC活動は業務の延長」(日産広報)などとして残業代を支払っているという。
 一方で、ホンダは「過労にならないように時間を決め、必要な場合には残業代は支払っている」(福井威夫社長)と説明し、見直しは不要としている。JFEスチールも、会社主催の活動発表会やその準備を除き、残業代は支払っていないが、「今のところ扱いを変更する予定はない」とする。
 トヨタは22日、QCサークル以外の「創意くふう提案」活動については、従来通り「自主活動」と位置づけることを明らかにした。自主活動を明確にするため、6月以降、提案内容を考えたり、書類に記入したりする作業を工場の外で行うよう従業員に徹底する方針だ。
 創意くふう提案は、生産現場の従業員が個々にアイデアを出すのが建前。ただ、上司から毎月提案を出すよう促されるのが実態で、QC活動と同様、社内外から「事実上の強制」との批判があった。元トヨタ社員の過労死をめぐる昨年11月の名古屋地裁判決でも、QC活動や創意くふう提案を「使用者の支配下での業務」と結論づけていた。

すかいらーく、店長独立でFC展開 2008年5月22日 日経
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/top/index.cfm?i=2008052110340b1
 ファミリーレストラン最大手のすかいらーくは来年1月から、店長を務めるベテラン社員を独立させ、フランチャイズチェーン(FC)店を持たせる仕組みをつくる。5年後をメドに既存店全体の2割強に当たる1000ほどをFC店に切り替える。売り上げに直結する報酬体系にして有能な人材をつなぎ留める。社外から加盟店を募る方式のFCが一般的ななか、社員への「のれん分け」でのFC展開は珍しい。
 管理職を理由に店長らに残業代を払っていなかった日本マクドナルドが、東京地裁から支払いを命じられたことをきっかけに、流通業界の間で店長らの処遇を見直す動きが広がっている。すかいらーくも店長ら管理職に残業代を払っておらず、店長らの処遇改善策の検討を進めていた。




 名ばかり管理職の問題で、3つの労組団体が厚生労働省に陳情したことは、先のスレッドで述べましたが、その行為に慌てたのかどうかは知りませんが、マクドナルドがこれまでの強硬姿勢を180度転換して、残業代の支払いに応じる姿勢を見せ、他の大企業も対応に追われはじめているようですね。
 もっとも、マクドナルドの場合、『過去に遡って残業代を支払うつもりは毛頭ない』ようで、残業代を払うといっても、これまでの店長手当を打ち切るなど、総額人件費は増えない単なる(法律に触れないための)賃金制度の変更に過ぎず、企業としてはほとんど損をしない計算になりますし、アルバイトを含めた人材採用へのアピールのためのコストと考えれば、下手に広告を打つよりも、余程安上がり。世間から向けられる関心を逆に上手く利用したな…という印象を受けました。

 一方、いきなり梯子を外された形になったのが製造業界で、トヨタは、従業員が勤務時間外にグループで活動する品質管理(QC)サークル活動の残業代について、月間2時間と定めた上限を撤廃し、6月から全額を支払う方針を固め、スズキやコマツも追従する見込み。すかいらーくはのれん分け形式で、対象者をFCに組み込むことで、人件費の上昇を最小限に抑える政策をとるようです。
 ただ、マクドナルドのように人材の流動化が激しい外食産業の場合は、人事制度を見直しても、店長クラスなら数年でかなりの入れ替えが期待できるため、仮に経過措置をとったとしても、経費の上昇は比較的抑えることができますが、製造業の場合は、より長期的に人材の定着を図る必要があります(というより数年で辞められては困ります!!!)し、給与制度を変更しないままQC活動分を残業代に含めれば、人件費で利益が圧迫されることにもなりかねません。かといって、従業員組合からみれば、『これまでウヤムヤにしていた方が悪い』と、折れてあげる理由もないだけに、人件費抑制には難色を示すことは明らかだけに、新たに積み上がってしまった人件費をどう吸収していくかに苦労するのではないでしょうか。

名ばかり管理職:過労死防止法の必要訴え 洋服の青山では残業代の算定根拠を巡って訴訟提起

2008-05-24 18:44:34 | Weblog
名ばかり管理職:過労死防止法の必要訴え 2008年5月20日 毎日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080520k0000m040105000c.html
 管理職の肩書がついただけで残業代の不払いや長時間労働を強いられる「名ばかり管理職」問題で店長などを務める当事者らが19日、厚生労働省に対し、労働基準監督署による指導の強化や法律順守の徹底を要請した。要請に続いて実施した集会では、過労死など過重労働による健康被害を防ぐため「過労死防止法」制定が必要だと訴えた。
 要請したのは東京管理職ユニオン、首都圏青年ユニオン、全国一般東京東部労組。日本マクドナルドの現役店長の高野広志さんやコンビニエンスストア「SHOP99」の元店長、清水文美(ふみよし)さん、紳士服のコナカの店長、高橋勇さんら当事者5人が参加した。

「名ばかり店長」問題 労組が厚労省に厳正対処を要望 2008年5月20日 産経
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080519/biz0805192028019-n1.htm
 管理職扱いのため長時間労働にもかかわらず残業代を支払われない、いわゆる「名ばかり店長」問題で、店長が会社を訴える動きが増えてきた。東京管理職ユニオンなどが19日、日本マクドナルドの店長らとともにこの問題で厚生労働省に待遇改善を要請。同省も「労働基準法の管理監督者と、職制上の管理職は異なることを企業に周知徹底させる」と指導強化の意向を示した。業界や企業ごとに事情は異なるが、全国にチェーン店網を展開する流通各社は、勤務実態と待遇の見直しに着手している。
 東京管理職ユニオンなど3労組が厚労省に要請したのは、▽法令に抵触する企業に厳正に対処する▽小売りチェーンなど多店舗展開している業態の企業で管理監督者扱いの適切な基準を策定する▽都道府県労働局を通じて全国実態調査を実施するーなどとしている。
 厚労省は、今年4月1日付で「管理監督者の範囲の適正化について」の通達を全国47都道府県労働局長に送付ずみ。管理監督者と管理職の違いなどを解説したパンフレットを6月中に作成し、全国の労働基準監督署の定期監督業務や企業を集めて行う集団指導などで企業に配布する予定だ。
 ただ、労組の要請に厚労省は、「管理監督者から外れた場合に責任の重さも変わる。既存手当の減額・廃止は法律違反と一概にはいえない。就業規則の変更に合理性があるかどうか個別判断していく」という。
 1月28日に日本マクドナルドに対して東京地裁が、店長に時間外手当を支払わなかったのを違法とし、未払い残業代755万円の支払いを命じたことで、この問題は注目された。同社は「店長就任までの平均勤続年数は約10年。給与、職務権限、勤務時間の自由度など管理監督者としての要件を当社の店長は満たしている」として、控訴中だ。
 同判決を機に、青山商事、AOKIホールディングス、コナカ、セブン-イレブン・ジャパンなどが店長の残業代を見直し、支払うことを決めている。
 例えば、セブン-イレブンは3月から約600人いる直営店店長に残業代を支払う代わり、店長手当は半減した。店長経験後に就くフランチャイズ店の経営相談員には以前から残業代が払われ、給与と人事体系に整合性を持たせた。
 店長の位置付けは業態や企業によって固有の事情はあるものの、待遇改善の動きは確実に広がっている。

洋服の青山・店長、不足分求め提訴 名ばかり管理職問題 2008年05月20日 朝日夕刊
http://www.asahi.com/national/update/0520/TKY200805190288.html
 働き方は普通の社員と変わらないのに残業代が支払われない「名ばかり管理職」問題で、紳士服の全国チェーン「洋服の青山」を展開する青山商事に対し、福島県内の店舗の店長が未払い残業代を含む計約730万円の支払いを求め、福島地裁に提訴していたことが19日わかった。
 同社は4月、店長らに対して過去2年間分の残業代を支払うと発表したが、原告側は「過去に支給した役職手当の一部を残業代とみて計算しており、不当だ」と指摘、正規の額の支払いを求めている。
 訴状などによると、店長は1月に社外の労働組合に加入。未払い残業代を支払うよう団体交渉し、過去2年間分の未払い残業代として約550万円を要求した。会社側は「その間に支払った役職手当などに、時間外手当相当分が含まれていた」として残業代を約138万円と計算したが、要求額を支払うことでいったん合意。ところがその後、多額すぎるので支払えないとして拒否されたという。
 同社広報室は「訴状が届いていないので、コメントは差し控えたい」としている。




 マクドナルドの店長への残業代支払い命令が出てから、名ばかり管理職の問題が、世間で急にクローズアップされ始めていますが、労組団体3団体が共同で、厚生労働省に労働基準監督署による指導の強化や法律順守の徹底を訴えたようです。
 それにしても、いきなり『過労死防止法』の制定を訴えてくるとは、驚かされましたね…。過労死を防止する法整備の要求は、どちらかといえば、過労死110番(http://karoshi.jp/)のライフワークだと思っていたのですが、『過労死防止法』の制定を訴えることで、名ばかり管理職と呼ばれる人達が、実際には出退勤時間を自分の裁量で自由に決めることができる重役さんとは全く異なる存在で、それどころか人手が足りなければ問答無用で現場に駆り出されるような、二昔前なら主任や係長クラスの人間が奉り上げられている現実を世間に広く訴えることができると思いますし、本来ならば残業代が支給されるような立場の方であることを強くアピールする意味でも『過労死』というキーワードを利用するのは戦術としては賢い選択肢だと思います。それにしても、まるでこの訴えに慌てたかのように、マクドナルドや大手製造業各社が残業代を支払うような発表をしたのは、実に興味深い現象だと思います。(この点に関しては、次のスレッドで詳しく書きます)

 一方、洋服の青山では、過去2年分の未払い残業代を支払うことを決めたものの、その算定根拠が会社側に恣意的に計算されているとして、福島県内の店舗の店長が提訴。
 まあ、それでなくとも、価格競争が激しい紳士服チェーンならば、人件費の上昇は極力抑えたいのがホンネだと思いますが、働き手から見れば、これまでの不当に奪われた対価が550万円と138万円とでは、金額にして400万円以上、支給水準において75%もカットされたわけですから、怒るのも当然。個人的には労働者に不利な裁判になりそうな嫌な予感がしているのですが、最近は世間の追い風も強いですし、裁判も第一ステージが『残業代を認めるか』ならば、今度は『残業代の根拠をどう判断するか』の第二ステージにその争いの焦点が進化してきたな…という印象を受けますね。

島根益田のおちハートクリニックが採血器具を使い回し ニュース4本

2008-05-24 18:40:25 | Weblog
採血器具を37人に使い回し、1人からB型肝炎抗原…島根 2008年5月22日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080521-OYT1T00578.htm
 島根県内の医療機関が3月末から約1か月間、患者計37人に対して、血糖値測定のために指先などに針を刺して採血する器具を使い回していたことがわかった。
 県医療対策課によると、医療機関の検査の結果、うち1人からB型肝炎の抗原が、13人からB、C型肝炎の抗体が確認された。
 厚生労働省は同様の器具の使い回しを禁じる通知を出しており、県は同医療機関を行政指導した。

島根の診療所、別の採血器具も200人に使い回し 2008年5月23日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080522-OYT1T00630.htm
 島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」が血糖値測定用の針付き採血器具を糖尿病患者37人に使い回していた問題で、越智弘院長(50)が22日、同市で記者会見し、「昨年6月に納入業者から説明を受けていたが、詳細な操作方法を忘れてしまった」と説明した。
 同クリニックが昨年3月から、別の個人使用限定の採血器具を延べ約200人の患者に使い回していたこともわかり、ずさんな実態が明らかになった。
 肝炎感染は、新たに1人が確認され、計15人に。うち、使い回し以前にB型肝炎に感染し、現在もウイルスを持っている1人に加え、別の1人がC型肝炎ウイルスを持っていることも判明。ウイルス感染が確認されなかった患者も、今後感染が明らかになる可能性がある。島根県は23日、医療法に基づき、同クリニックへの立ち入り検査を実施する。

採血器具使い回し、丸い針先で痛み訴え発覚 2008年5月23日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080523-OYT1T00455.htm
 島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」が血糖値測定用の針付き採血器具を糖尿病患者に使い回していた問題で、同クリニックの看護師が器具の針6本のうち1本を1か月以上使い続けたため針先が丸くなり、患者が痛みを訴え、使い回しが発覚していたことがわかった。
 県は23日、越智弘院長からこれらの経緯などについて事情聴取し、午後には医療法に基づき、同クリニックへの立ち入り検査を行う。
 県医療対策課によると、同クリニックでは別の採血器具が故障したため、3月28日から、問題の採血器具を使用した。
 この器具は本体部を回して6本の針が交換されるが、看護師は自動で交換されると誤解。4月30日に使用した際、患者が「痛い」と訴え、看護師が針先が丸くなっているのに気付いたという。
 一方、故障した採血器具も使い回していたことがわかっており、立ち入り検査でカルテの確認や看護師からの聞き取りで使い回しされた患者の特定を急ぐ。

妊娠中の職員も使い回し針使用、ワクチンは接種できず 2008年5月24日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080524-OYT1T00005.htm
 島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」(越智弘院長)が、血糖値測定用の針付き採血器具を糖尿病患者ら37人に使い回していた問題で、県は23日夜、記者会見を開き、妊娠中の同クリニック職員が同一の針を自らに使用していた、と発表した。
 今のところ、この職員に肝炎の感染は確認されていないが、妊娠後期のため、感染を防ぐワクチンを接種できないという。
 県によると、4月16日に採血された患者が「痛い」と言ったため、この職員が問題の採血器を試しに使ったという。
 また、県は、問題発覚後、使い回しなど採血器具の不適切な使用を県に申し出た県内の医療機関は23日現在、45か所あり、うち1病院と1診療所で同クリニックと同様の使い回しが確認されたことも明らかにした。


 う~ん…(滝汗
 地域に密着しなければ生き残っていくことができない診療所は、ひとたび医療事故が発生してしまうと、地域での評判ががた落ちになり経営を直撃してしまうだけに、一般的にこの手の問題にはかなり神経を使うものですが、随分ひどい診療所もあったものですね…(吃驚
 ちなみに、「おちハートクリニック」は、昨年の3月に開業したばかりの、『心臓疾患とこころのケア』をウリにする???病床なしの内科診療所だそうですが、今の時代に採血器具を使い回したあげく、肝炎の抗原や抗体が出る患者は出すは、患者が痛みを訴え出るまで器具の針が自動的に交換されると勘違いしているは、あげく妊娠しているクリニック職員に試し打ちして(妊娠後期のため)感染を防ぐワクチンを打てなくなるは……で、本当に医療機関としての自覚があるのか、激しく疑問に思います。
 院長は「昨年6月に納入業者から説明を受けていたが、詳細な操作方法を忘れてしまった」とコメントしているようですが、これも医師の言い訳としてはどうかと思いますし、100歩譲ってその理由が本当だとしても、だったら使用前に納入業者に確認をとればいいだけのこと。私には、意図的に使い回しを行い、バレたから苦し紛れの言い訳をしているようにしか見えないのですが…。
 ちなみに、HPも開設していたようですが、現在はアクセスできなくなっています。

R・ケネディ暗殺も6月だった…撤退拒否のクリントン氏「失言」

2008-05-24 18:37:42 | Weblog
R・ケネディ暗殺も6月だった…撤退拒否のクリントン氏「失言」 2008年5月24日
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080524-OYT1T00297.htm
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080524AT2M2400R24052008.html
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/world/news/20080524k0000e030056000c.html
 米大統領選の民主党候補指名争いで劣勢にあるヒラリー・クリントン上院議員は23日、指名争いからの撤退を拒んでいる理由について、1968年の民主党指名争いで優位に立っていたロバート・ケネディ上院議員が「暗殺されたのは6月だった」と発言した。
 対立候補のバラク・オバマ上院議員に不測の事態が起きうるとの認識を示したと受けとめられる発言で、オバマ陣営などが反発。クリントン氏は謝罪した。
 問題の発言は、来月3日に予備選が行われるサウスダコタ州の地元紙とのインタビューで、「どうして(指名争いから)おりないのか」との質問に答えた。
 史上初の黒人大統領を目指すオバマ氏は、白人至上主義者らから脅迫を受けているとされ、シークレット・サービスが厳重に警護している。


 クリントン氏のこの時期の爆弾発言は、一歩間違えば氏の政治生命さえ剥奪されかねない危険な内容だと思うのですが、クリントン氏も一体何を考えているんでしょうね???
 これで、オバマ氏が大統領候補、ヒラリー氏が副大統領候補となって、双方の支持者を取り込む組み合わせの可能性は著しく低くなってしまいましたし、共和党候補者のマケイン氏との闘いも厳しくなってしまったと思うのですが、100歩譲ってクリントン氏が大逆転するとしたら、予備選の日時を前倒してかつ不正があったとして無効になってしまったフロリダやミシガン両州の得票を復活させない限りまずないでしょうし、氏も一体何をしたかったんだか…。
 この発言。民主党候補をオバマ氏に一本化するメリットよりも、愛想を尽かしたクリントン支持票の一部がマケイン氏に流れてしまうデメリットの方が多くなりそうな嫌な予感がします。

中国四川大地震死者8万人説も…。放射性物質放置、硫酸流出、横流し疑惑、おから工事など問題山積

2008-05-24 18:35:26 | Weblog
四川大地震、死者8万人超す可能性・中国首相 2008年5月24日
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080524AT2M2401N24052008.html
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/world/china/080524/chn0805241341003-n1.htm
 中国の温家宝首相は四川大地震の犠牲者が8万人を超える可能性があるとの見方を示した。中国政府は15日、中国全体で死者が5万人を超すとの推計を発表していたが、被害はさらに拡大する見通しとなった。AP通信が24日報じた。
 中国政府は23日正午(日本時間午後1時)時点の死者数を5万5741人、負傷者29万2481人、行方不明者は2万4960人としていた。

四川大地震 進まぬ消毒作業、感染症拡大に懸念 2008年05月24日 朝日
http://www.asahi.com/international/update/0523/TKY200805230318.html
 中国・四川大地震で四川省内の被災地のうち、感染症予防のかぎとなる消毒作業を終えた地域が50%にとどまっていることが23日、同省当局者の話でわかった。
 これまで7千人以上の衛生要員を投入、1920トンの消毒薬を散布したが、当局者は「感染症防止は時間との闘い。消毒薬や抗生物質が不足している」と述べた。また、感染症の発生状況を携帯電話のメールやパソコンなどで知らせる同省のシステムも地震で壊れたという。
 中国紙「新京報」によると、四川省で58人がガス壊疽(えそ)を発症。日本の医療チームが活動する四川大学華西病院には35人の患者が収容されている。避難所の衛生状態が悪化、コレラや赤痢などの発生の危険性が高まっていることから、衛生省は350カ所で飲用水の監視を始めた。
 中国環境保護省の呉暁青次官は23日の記者会見で、地震のため50個の放射性物質に保管や安全上の問題が発生、うち15個は建物の倒壊などの危険があり未回収であることを明らかにした。15個のうち3個はがれきに埋まって回収不能というが、これらが具体的に何を指すのかは明かさなかった。中国政府は20日時点では未回収は2個としていた。呉次官は「放射能漏れは起きていない」と説明している。
 中国政府の23日の発表によると、確認された死者は5万5740人、行方不明者は2万4960人となった。

四川大地震:工場の硫酸漏出 住民6000人が避難 2008年5月24日 毎日夕刊
http://mainichi.jp/select/world/news/20080524k0000e030037000c.html
 中国環境保護省は23日、四川大地震で倒壊した四川省じゅうほう市の化学工場2カ所から液体アンモニア80トン以上と硫酸が漏れ出し、住民6000人以上が避難する騒ぎがあったことを明らかにした。同省綿竹市の化学工場でも12日の地震発生直後に猛毒の黄リンに引火、14日まで燃え続けたという。環境保護省は「環境への影響はない」としている。
 一方、日本の国際緊急援助隊・医療チームが支援活動をする四川大学華西病院(成都市)では、被災患者が収容定員(ベッド数4300床)を超過。新たに搬送される負傷者に対応するため、症状の安定した患者から順に他地域の病院に転送することにした。

四川大地震:救援物資の横流し疑い、住民と警官隊が衝突 2008年5月24日 毎日
http://mainichi.jp/select/today/news/20080524k0000m030156000c.html
 香港紙・明報(電子版)は23日、大地震の被災地・四川省羅江県で21日、地元当局による救援物資の横流しを疑う住民数千人が、警官隊と衝突したと報じた。地元公安局の副局長らが負傷した。12日の地震発生以降、被災地で大きな抗議行動が起きたのは初めてという。
 明報によると、地元商店に所属不明のトラックで食料品などが運び込まれた際、救援物資と疑った住民らが運転手を詰問。その後、軍用車が食料などを運び去ろうとしたため、怒った住民らが商店や軍用車を取り囲んだ。
 商店から大量の物資が見つかったため、抗議の住民は数千人に膨れあがり「汚職反対」などと叫びながら行進。一部が公安副局長の額などを殴り、流血騒ぎになったという。

倒壊学校の「おから工事」実態、一部中国紙誌が報道始める 2008年5月24日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080523-OYT1T00606.htm
 中国・四川大地震で多発した学校倒壊の一因とされる手抜き工事について、共産党政権の厳しい報道統制の下、一部中国紙誌が現場の実態を断片的に伝え始めた。
 「コンクリートの中に入っているのは、針金だ。鉄筋なんかじゃない!」
 22日の南方週末紙によると、地震発生翌日、中国最強の地震レスキュー隊とされる国家震災緊急救援隊のメンバーが、数百人が生き埋めになった四川省都江堰(とこうえん)市の中学校倒壊現場で怒っていた。「『おから工事』そのものだ!」と隊員は言う。
 施工業者が役人に賄賂を渡し、その分、鉄筋を減らすなどで調整し、おから並みのもろい建築を作る。それが「おから工事」だ。
 「南風窓」誌は、同じ学校で建築に詳しい人が「鉄筋の数が少なすぎるし、細すぎる。直径12ミリであるべき部分が6ミリしかない」と語るのを聞いた。
 これは都江堰だけの問題ではない。同省内では、被害が特に深刻な地域を除いても計約6900棟(14日現在)の校舎が倒壊している。南方都市報(電子版)は、「テレビで校舎の倒壊現場を見ると、鉄筋が非常に細い。明らかに基準をクリアしていない」という北京の建築設計士の見方を紹介した。
 第一財経日報紙は23日、「各地の学校は、上の階が直下の階を次々に押しつぶしながら、積み木のように崩れた」と記した。耐震性が低く、新改築時には使用が認められていない建材が、多くの学校で使われていたという。
 政権は、四川大地震の規模の大きさは強調している。だが、「人災」の側面があった可能性については、ほとんど沈黙したままだ。



 中国四川の大地震ですが、死亡者数は、当初の予想を超えて8万人に及ぶ可能性が出てきました。また、人命救助が最優先になっていることもあり、50個の放射性物質に保管や安全性の問題が発生しているものの、うち15個は建物の崩壊のリスクなどから回収できない状態にあり、身動きがとれない状態。また、化学工場2箇所から硫酸や液体アンモニアが漏れ出すなど、別の次元で被災者が更に被害を受けるリスクがあるようで、感染症予防の消毒作業でさえ、医薬品などの不足で半分程度しか行えないという衛生上の問題を抱える中、やらなければならないことがあまりにも多過ぎるため、中国当局としてはあまりにも手が足りないというのが現実ではないでしょうか。

 一方、このような非常事態(非常事態だから?)でも、私腹を肥やそうとする輩というのはどこの世界でもいるようで、中国でも救援物資の横流し疑惑で住民と警官隊が衝突したようです。
 まあ、本当に横流ししようとしたのか、他のより救援物資が足りない地域に配達しようとしたのかは、文面を見るだけではわかりませんが、所属不明のトラックを用いたり、運転手が逃げ出そうとしたということは、少なくとも横流しの疑いをもたれてもおかしくないわけで、これでは住民の怒りを買っても仕方ないでしょうね…。
 また、学校だけが倒れて子供達に多数の被害が出た地域では、おから工事疑惑が以前から出ていましたが、子供を亡くした親ではなく、レスキュー隊の人間が『コンクリートの中に入っているのは、針金だ。鉄筋なんかじゃない!』と言っている以上、信憑性は相当高そう…。ある意味木造の建物よりも地震には弱い構造だったと思われるだけに、被災者の救出が一通り終わってからすぐに、各地で国を訴える訴訟が続出しそうな予感がしますね。

NYダウは145ドル安 他原油高騰関連ニュース3本

2008-05-24 18:23:33 | Weblog
米国株大幅反落、NYダウ145ドル安の1万2479ドル 2008年5月24日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080524NT000Y01824052008.html
 23日の米株式相場は大幅反落。ダウ工業株30種平均は前日比145ドル99セント安の1万2479ドル63セントで終え、4月15日以来の安値を付けた。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は19.91ポイント安の2444.67で終えた。原油先物相場の上昇などが嫌気され、幅広い銘柄に売りが出た。
 前日に1バレル130ドル台に反落して終えていた原油先物相場が23日、再び133ドル台に急反発する場面があった。その後、一段の上昇は限られたが、原油高が米景気や企業業績に悪影響を及ぼすとの懸念が改めて広がった。午前10時に発表された4月の中古住宅販売件数は市場予想ほど悪化しなかったが、在庫件数が急増していたことが次第に悪材料視され、指標発表後、間もなくして株価指数は一段安となった。

NY原油、反発・7月物は132.19ドルで終了 2008年5月24日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080524ATQ2INYPC24052008.html
 23日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は反発。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の7月物は前日比1.38ドル高の1バレル132.19ドルで終えた。ドル安などを手掛かりに買いが優勢となった。
 外国為替市場でドルが対ユーロなどで軟調に推移。ドル建てで取引される原油先物の割安感を誘い、買いが優勢となった。26日のメモリアル・デーの祝日を含む今週末三連休から米国の夏の「ドライブ・シーズン」が始まることも、ガソリン需要が増加するとの思惑につながった。
 ガソリンも反発、ヒーティングオイルは4営業日ぶりに反落した。

日銀総裁「原油高、石油危機とは違う」 2008年5月24日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080523AT1C2300923052008.html
 日銀の白川方明総裁は23日、日本経済新聞などとのインタビューに応じ、現在の原油高は1970年代の石油危機とは異なるとの認識を示した。世界的な需要と供給の状況、国内のインフレ予想などが違うと説明。金融政策の運営では「石油価格上昇の性格や、背後にどんな要因があるのかを丹念に分析していく」と強調した。
 73年からの第一次石油ショックは「基本的に中東情勢の緊迫化を背景とする供給制約の強まりだった」と振り返った。一方、いまは「根底には新興国の経済成長による堅調な需要が続いている」と分析。投機マネーの商品市場への流入もあるが、中国やインドなどの生産増加でエネルギー消費量が増えている影響が大きいとの見方を示した。

東電、本格値上げ検討・原油価格高騰転嫁、上限撤廃も求める 2008年5月24日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080523AT1D2308323052008.html
 電気事業連合会の勝俣恒久会長(東京電力社長)は23日の記者会見で、東京電力での本格的な電力料金引き上げが検討課題になるとの見方を示した。原油などの燃料価格の変動を料金に反映させる「燃料費調整制度」とは別に、柏崎刈羽原発の停止に伴うコスト上昇分を電気料金に反映させる狙い。勝俣会長は同時に最近の原油高騰に対応、燃料価格の上昇分の料金転嫁に上限を定めている現在の燃料費調整制度を見直す必要があるとの認識も示した。
 いずれも消費者の負担が一段と高まるため、反発も予想される。最終的に実現するかどうかは現時点では不透明だ。
 電力料金の見直しには3カ月ごとに燃料価格などを反映する燃料費調整制度に基づく変更と各電力会社の事情に基づく「本格改定」の2種類がある。東電は新潟県での地震後、柏崎刈羽原発が停止しているのに伴って不足している電力を石油などを使う火力発電の拡大で補っており、原油高騰で他社に比べてコストが大きく膨らんでいた。




 NYダウですが、どうもNY原油が1バレル130ドル付近まで上昇してから、冴えない動きが続いています。20日は199ドル安、21日は227ドル安、22日は24ドル高、そして23日は再び145ドルの急落となってしまいました。
 NY原油は、私の記憶に誤りがなければ、一時135.09ドルまで上げたと思いますが、23日のNY原油は再び133ドル台まで上げる場面もあったようですし、日本ではピンと来ないのですが、アメリカではドライブシーズンというものがあるそうで、ガソリンの需要が増加する思惑からガソリン価格の高騰が持続して、最終消費者の生活や地域経済にも影響を与える懸念がありそうです。

 一方、日銀の白川総裁は、『現在の原油高は1970年代の石油危機とは異なるとして、石油価格上昇の性格や、背後にどんな要因があるのかを丹念に分析していく』といった要旨の発言をしているようですが、いささかお気楽過ぎるのでは…という気もしなくもありませんね。
 事実、ガソリン代が自腹になるような個人事業主の場合は、ガソリン代が上がったからといって仕事を請け負う先から、仕事の発注単価を上げてもらう交渉力があるはずもなく、ガソリン代の値上げは、自らの手取りを削ることを意味しますし、電力会社の代表的存在の東京電力は、『燃料価格の上昇分の料金転嫁に上限を定めている現在の燃料費調整制度を見直す』ことを訴えているなど、もしその上限が撤廃されれば、個人宅の電力料金も大幅に上がることになり、そうなるとマイカー族以外の生活も直撃することになります。
 また、この価格高騰が冬まで続けば、灯油も相当値上がりする(事実21日よりコープさっぽろが、札幌市の組合員向けの灯油の配達価格を1リットル99円にするという、不需要期には異例の値上げを発表しています http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080517AT3B1700117052008.html)ことは確実ですが、そうなれば、とりわけ低所得者の生活を直撃したり、灯油泥棒が横行することが予想されますが、その時になって慌てて対策を考えるのでは、あまりにも無策と言えるでしょう。
 まあ、石油を産出する国にもその国の事情があると思いますが、『投機筋が相場を乱しているのであって、供給は足りている』という姿勢をそのまま容認しているようでは、日本も冬場に入ってから大変なことにもなりかねませんし、その時になってから、いきなり増産できるわけでもないだけに、日本もアメリカだけに任せているのではなく、長期的な視点で原油産出国に対する増産を粘り強く訴えていく必要があると思いますね。