性同一性障害:「内定取り消し違法」 静岡の会社を賠償提訴 2008年2月13日 毎日夕刊
http://mainichi.jp/life/job/news/20080213dde041040029000c.html
性同一性障害(GID)による就職内定取り消しは違法として、男性として暮らす女性(33)が、広告デザイン会社「アドテクニカ」(静岡市駿河区)を相手に、慰謝料など約198万円の支払いを求めた損害賠償訴訟を静岡地裁に起こしていたことが分かった。
訴えなどによると、女性はGIDを告げずに下村岳雄社長らと面談。昨年9月10日、「21日から勤務が決まった」と連絡があり、東京から市内に引っ越して、同20日に入社承諾書や性別が女性と記載されている年金手帳などを提出した。同日中に、会社から性別の問い合わせがあり、女性がGIDについて説明すると、翌日に会社から電話があり、「身元保証書を代筆したり、性別詐称をする人は信頼できない」などとして、内定取り消しと引っ越し代などとして10万円支払いを告げられた。
女性の弁護人は「GIDと明かして就職活動をしても、現状では採用はまず無理。今回のようなケースが認められれば、GIDの人は生きる権利を奪われる」と批判。一方、下村社長は「性同一性障害だから取り消したのではない。重要書類を偽造する人は信用できないと判断した」と話している。
もし、この裁判がアメリカで行われていれば、かなりの高い確立で雇用差別を理由に会社側が敗訴する可能性が高いと思いますが、日本の裁判所はこの訴えをどう判断するのでしょうか?
確かに、学歴詐称した場合には、『実は高卒なのに大卒を装った』だけでなく『大卒なのに高卒を装った』場合も解雇が有効とされていますし、判例でも判断は統一されていますが、GIDに対する世間の理解はまだまだ不十分ですし、女性弁護人の「GIDと明かして就職活動をしても、現状では採用はまず無理。今回のようなケースが認められれば、GIDの人は生きる権利を奪われる」という言い分もあながち間違ってはいないと思います。
とはいえ本採用前の内定取り消しに関しては、通常の解雇よりも柔軟に解釈がされているのも事実ですし、従業員が10人程度の小さな会社(http://www.seri.or.jp/marketplaza/m2007_03_01.htm)ならば、社長が『信用できない』という人を受け入れるのも現実的には不可能な話ですし、さすがに慰謝料等約198万円の支払い要求は吹っかけ過ぎという気もしなくもありませんね。
ちなみに、会社側は早くもHP内にこの一件について、ニュースリリース(http://www.adtechnica.co.jp/news.pdf)で状況を説明していますが、おそらくは慰謝料の訴えと、会社側が求めている引越し代10万円の返還の双方の請求を棄却。訴訟費用は女性の負担あたりで落ち着くのではないかと推測しています。
http://mainichi.jp/life/job/news/20080213dde041040029000c.html
性同一性障害(GID)による就職内定取り消しは違法として、男性として暮らす女性(33)が、広告デザイン会社「アドテクニカ」(静岡市駿河区)を相手に、慰謝料など約198万円の支払いを求めた損害賠償訴訟を静岡地裁に起こしていたことが分かった。
訴えなどによると、女性はGIDを告げずに下村岳雄社長らと面談。昨年9月10日、「21日から勤務が決まった」と連絡があり、東京から市内に引っ越して、同20日に入社承諾書や性別が女性と記載されている年金手帳などを提出した。同日中に、会社から性別の問い合わせがあり、女性がGIDについて説明すると、翌日に会社から電話があり、「身元保証書を代筆したり、性別詐称をする人は信頼できない」などとして、内定取り消しと引っ越し代などとして10万円支払いを告げられた。
女性の弁護人は「GIDと明かして就職活動をしても、現状では採用はまず無理。今回のようなケースが認められれば、GIDの人は生きる権利を奪われる」と批判。一方、下村社長は「性同一性障害だから取り消したのではない。重要書類を偽造する人は信用できないと判断した」と話している。
もし、この裁判がアメリカで行われていれば、かなりの高い確立で雇用差別を理由に会社側が敗訴する可能性が高いと思いますが、日本の裁判所はこの訴えをどう判断するのでしょうか?
確かに、学歴詐称した場合には、『実は高卒なのに大卒を装った』だけでなく『大卒なのに高卒を装った』場合も解雇が有効とされていますし、判例でも判断は統一されていますが、GIDに対する世間の理解はまだまだ不十分ですし、女性弁護人の「GIDと明かして就職活動をしても、現状では採用はまず無理。今回のようなケースが認められれば、GIDの人は生きる権利を奪われる」という言い分もあながち間違ってはいないと思います。
とはいえ本採用前の内定取り消しに関しては、通常の解雇よりも柔軟に解釈がされているのも事実ですし、従業員が10人程度の小さな会社(http://www.seri.or.jp/marketplaza/m2007_03_01.htm)ならば、社長が『信用できない』という人を受け入れるのも現実的には不可能な話ですし、さすがに慰謝料等約198万円の支払い要求は吹っかけ過ぎという気もしなくもありませんね。
ちなみに、会社側は早くもHP内にこの一件について、ニュースリリース(http://www.adtechnica.co.jp/news.pdf)で状況を説明していますが、おそらくは慰謝料の訴えと、会社側が求めている引越し代10万円の返還の双方の請求を棄却。訴訟費用は女性の負担あたりで落ち着くのではないかと推測しています。