ボーッと、「さんふらわあ7」号の出航を告げる汽笛が夜の海に響いた。
四国の同志は、甲板に出ていた。船は、静かに離岸し始めた。
見送りに埠頭に集った神奈川の同志が、「さようなら!」「また来てください!」と口々に叫びながら手を振っている。岸辺には、窓明かりが光る神奈川文化会館がそびえ、横浜の街の灯が広がっていた。
次の瞬間、文化会館の明かりが一斉に消えた。上層階の窓に、幾つもの小さな光が揺れ . . . 本文を読む
伸一の話は、青春時代の自分の体験に及んだ。
「戸田先生が事業の再建のために苦闘されていた時代が、私にとっても、最も苦しい時代でした。健康状態も最悪であり、給料は遅配が続き、無理に無理を重ねていました。
そして、先生とお会いしていた時に、つい弱音を口にしてしまったことがありました。その時、先生が、厳しく言われた言葉が忘れられません。
『伸一、信心は行き詰まりとの永遠の闘争なんだ。魔と仏との闘争 . . . 本文を読む
人間は、孤独に陥り、自分ばかりが大変なのだと思うと、悲観的になり、心も弱くなってしまうものだ。しかし、自分より、もっと大変ななかで頑張っている人もいる。それを知れば、勇気がわく。そして、悶々と悩む自分を見下ろしながら、むしろ、試練と戦う友を励ませる自分に成長できる。苦難の時こそ、勇気ある信心を奮い起こし、生命の苦悩の流転を断ち切り、境涯を開いていくチャンスなのだ。 . . . 本文を読む
開園三年目の、七八年(同五十三年)四月の入園式にも、彼はメッセージを送った。 そのなかで伸一は、園児たちに、「三つの約束」をしようと呼びかけた。
一、自分のことは自分でしましょう
一、お友だちと仲よくしましょう
一、明るく元気にあいさつしましょう
この年度から、札幌創価幼稚園では、さらに、年少二クラス、年長六クラスとなり、開園時の倍となる八クラスに発展したのだ。伸一は、この七八年の六月八 . . . 本文を読む