親父さんは、現象的には、子どもの成長を願うこの父親とは、正反対のように思えるかもしれない。しかし、仏法の眼で見れば、本質的には同じなんだよ。親父さんがいたからこそ、君たち兄弟は〝負けまい〟として、信心の炎を燃やしてくることができた。
親父さんは、君たちを大信力の人にし、大成させるために、信心にも反対し、借金をつくって逃げているんだよ。そう考えれば、親父さんは、まさに〝仏〟と同じじゃないか。 . . . 本文を読む
原谷永太は、父親が信心に反対するだけでなく、仕事でも理不尽で身勝手なことが、腹に据えかねていた。毎日が、爆発しそうになる怒りとの闘いであった。
辛い思いをしているのは、永太だけでなく、弟の正太も、正輝も同じだった。
しかし、彼らは耐えた。
「忍耐は能力である」とは、スペインの大建築家ガウディの卓見である。
原谷三兄弟は、苦しさ、悔しさで、いたたまれない気持ちになると、バイクを駆って、 . . . 本文を読む
山本伸一は、午後七時半過ぎからは、会館二階の屋上に造られた庭園で、女子部の職員らと懇談会をもった。
彼は、一人ひとりに、ねぎらいの言葉をかけたあと、結婚について語っていった。
「結婚の時期というのは、人によって違います。早く結婚する場合もあれば、晩婚の場合もあるでしょう。人それぞれの人生があります。周りの人たちが結婚したからといって、焦る必要はありません。
女子部時代には、将来、どんなに . . . 本文を読む
「上石美津子さんだね。お仕事は?」
「はい。父の経営する建築設備の会社を手伝っております。父は、これまでに二度、倒産しましたが、一家で信心根本に頑張り、現在は、仕事も軌道に乗ってきております」
「そうか。あなたも大変だったんだね。しかし、苦労した分だけ、人の苦しみがわかる人になれるよ。家業の倒産は残念だったけれども、世の中には、倒産は数多くあります。大事なのは、人間が倒産しないことだ。自分 . . . 本文を読む
メンバーのなかに、一カ月前に、勤めていた会社が倒産してしまった壮年がいた。二人の子どもは病弱で、生活は逼迫していた。
その彼が、弘教のために、二十キロほど離れた友人宅を訪れた。話に夢中になり、終列車を逃してしまった。やむなく、列車の線路に沿って歩き始めた。彼は、この日、仏法対話の最後に、友人が放った言葉が、胸に突き刺さっていた。
「人の家に、宗教の話なんかしに来る前に、自分の仕事を見つけて . . . 本文を読む
戸田城聖は、師の牧口常三郎の写真を飾った、学会本部の恩師記念室ともいうべき部屋で、常に、牧口を偲び、誓いを新たにして、広宣流布の大願に生き抜いてきた。
伸一もまた、学会本部に掲げた戸田の写真に語りかけ、誓いながら、広宣流布の戦いを起こしてきた。
遺影の前で、人知れず悔し涙を流した夜もあった。苦闘に呻吟しながら、“負けるものか!先生の弟子ではないか!”と、自らを鼓舞したことも、幾度となくあっ . . . 本文を読む
「そうですか。今が難所ですね。でも、焦って、自分を追い込んじゃだめですよ。車を売ることは、もちろん大事ですが、売れなくて怒られても、めげないことの方が、もっと大事なんです。これからなんですから。
営業成績が好調で、意気揚々としている社員は、たくさんいます。しかし、売れなければ、たいてい、くよくよして、〝辞めようか〟などと考えてしまう。だから、最悪な状況でも落ち込まずに、元気でいる社員の方が、す . . . 本文を読む
大聖人は、『南無妙法蓮華経と唱うるより外の遊楽なきなり』(御書一一四三ページ)と仰せです。
たとえ、どんなに苦しい時も、御本尊への信を奮い起こし、“絶対に負けるものか!”と、唱題し抜いていくんです。そうすれば、苦難に立ち向かう勇気がわきます。生命が躍動し、歓喜が込み上げてきます。
そこから、すべての状況が開かれていくんです。題目、題目、題目です。誰も見ていなくとも、日々、懸命に祈り抜いていく― . . . 本文を読む
彼は、生老病死という四苦は、避けることのできない理であるが、仏法では、「現世安穏、後生善処」(現世安穏にして、後に善処に生ず)と説いていることに言及した。
「人は、老いも、病気も、死も避けることはできない。では、だから、不幸になるのかというと、決してそうではありません。
病や老いなどの苦悩はあっても、それに打ちのめされない、負けない心、強い心、広い心、豊かな心を培っていけばいいんです。それが . . . 本文を読む
人生には、辛いこと、悲しいこと、苦しいことはたくさんある。また、皆が善意の人とは限らない。むしろ、人の心を平気で傷つけたり、蔑んだりする人がいかに多いことか。だから、何があっても負けない〝強い心〟をもつことが、幸せの要件となるのだ。 . . . 本文を読む
皆が、自分に挑んだ。あきらめの心に、無理だという心の弱さに、懸命に挑戦した。そして、それぞれが、自身の心の壁を破って、五段円塔は打ち立てられたのだ。
山本伸一は、盛んに拍手を送りながら、側にいた男子部の幹部に言った。
「やったね!壮挙だね!みんな負けなかった。それが、すごいことなんだ。負けないことが、勝つということなんだ!」
そして、彼は、メンバーに、こう伝言を託したのである。
「 . . . 本文を読む
ラマクリシュナ・ミッション学園を視察した山本伸一たちは、視覚に障がいがある人を支援する付属の学校も訪問した。自身も目が不自由な校長が、柔和な笑みを浮かべ、伸一と握手を交わし、実技訓練所へ案内してくれた。生徒たちは、手探りでボルトとナットの組み立て作業などに励んでいた。
伸一は、その様子を見ながら、生徒に語りかけた。
「こうして挑戦していること自体、すごいことなんです。皆さんが技術を習得し、社 . . . 本文を読む
彼は、各地からスクーリングに参加した通教生の向学心を讃え、真心こもる演技への感謝を述べたあと、力強く訴えた。
「通教生の皆さんは、何があっても“負けない”という精神の核だけは、このキャンパスで深く刻んでいっていただきたい。私の願いは、自分自身に勝っていく人生を歩んでいただきたいということです」
――「自分が自分に打ち勝つことが、すべての勝利の根本ともいうべき最善のことであり、自分が自分に . . . 本文を読む
この年の学光祭には、山本伸一が出席し、「自分自身に勝っていく人生を」と訴えた。
岩川は、電撃に打たれた思いがした。
“そうだ。自分が克服すべき本当の相手は試験ではない。自分自身だ!だから、何も焦る必要はない。自分に勝てばよいのだ” . . . 本文を読む