翌二十八日午前、伸一は上海体育館で行われた、上海市へのスポーツ用品の贈呈式に出席し、午後には同市の長寧区工読学校を視察した。ここは、十六、七歳の非行少年の更生を目的とした全寮制の学校である。
一行は、校長らの案内で各教室を回った。
伸一は生徒たちと次々に握手を交わし、語り合った。あらゆる可能性を秘めているのが若者である。何があっても強く生き抜いてほしいと思うと、手にも声にも力がこもった。 . . . 本文を読む
一九九〇年(平成二年)十一月、静岡県にあった富士美術館で、常書鴻の絵画展が開催された。 そのなかに、ひときわ目を引く作品があった。特別出品されていた「チョモランマ峰(科学技術の最高峰の同志に捧ぐ)」と題する、縦三メートル余、横五メートル余の大絵画である。
チョモランマとは、世界最高峰のエベレストをさす土地の言葉で、「大地の母なる女神」の意味であるという。
――天をつくように、巍々堂々たる白雪 . . . 本文を読む
「第一に『希望に燃えて前進する福島』と申し上げたのは、信心とは、希望を育む力であるからです。
人生には、いろいろな試練があります。各人が、さまざまな宿命ももっています。さらに、信心に励めば、難もあります。順風満帆な人生などありません。しかし、どんなに深い絶望の闇のなかでも、心に希望の火をともしていけるのが信心なんです。
大聖人は『一生成仏の信心南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経』(御書三八四ペー . . . 本文を読む
「青年にとって大事なことは、どういう立場、どういう境遇にあろうが、自らを卑下しないことです。何があっても、楽しみながら、自身の無限の可能性を開いていくのが信心だからです。
もし、自分なんかだめなんだと思えば、その瞬間から、自身の可能性を、自ら摘み取ってしまうことになる。未来をどう開くかの鍵は、すべて、現在のわが一念にある。今、張り合いを持って、生きているかどうかです。
今日は、皆さんの新しい . . . 本文を読む
新聞販売店に住み込む、ある学生部員は、学内の友の激励に奔走し、よく終電車に乗り遅れてしまうことがあった。そんな時は、一時間、二時間とかけて、歩いて帰った。
真冬、ジャンパーの襟を立て、寒風に吹かれながら販売店に戻っても、店のシャッターは、まだ閉まっていた。仕方なく、街灯の下で本を読み、店が開くのを待つ。指先に息を吹きかけ、足踏みをし、寒さをしのいだ。
しかし、彼に悲哀はなかった。いや、心は誰よ . . . 本文を読む