いかに深き闇に覆われ、嵐が吹き荒れようとも、師子が敢然と立ち上がる時、暁鐘は鳴り渡り、金色の夜明けが訪れる。鉄鎖を断ち切り、師弟が心を一つにして、一歩を踏み出す時、既に勝利の幕は開かれているのだ。 . . . 本文を読む
山本伸一は、青年たちと、忌憚なく話し合えることが何よりも嬉しかった。伸一は、彼らに大きな期待を込めて語った。
「青年には、学会の後継として、一切を担っていく重大な使命がある。ゆえに、戸田先生は、青年を本気で育てようと訓練された。とりわけ、私には人一倍厳しかった。大勢の前で、激しく叱咤されたこともあった。ほかの人の失敗でも、叱責されるのは常に私だった。特に、皆に対して、広宣流布に生きる師弟の道の . . . 本文を読む
やがて伸一が入場した。歓声があがった。 伸一は、悠然と微笑みながら言った。
「さあ、万歳を三唱しよう。学会の新しい出発だもの。威風堂々と進むのが学会だ。師子は、いつも師子じゃないか!」
力強い声に勇気が湧いた。一人の闘魂が、皆の闘魂を呼び覚ます。御聖訓には「一の師子王吼れば百子力を得て」(御書一三一六ページ)と。元気な「万歳!」の声が響いた。 . . . 本文を読む
四月二十四日の夜更け、山本伸一は日記帳を開いた。この一日の出来事が、次々に頭に浮かび、万感の思いが込み上げてくる。
“本来ならば、二十一世紀への新たな希望の出発となるべき日が、あまりにも暗い一日となってしまった。県長会の参加者も皆、沈痛な表情であった……” 彼は、今日の日を永遠にとどめなければならないと、ペンを走らせた。
日記を書き終えた時、“ともかく人生ドラマの第二幕が、今開いたのだ!波瀾 . . . 本文を読む
「皆さんは、先生が辞任されるということを前提に話をしている。私は、おかしいと思う。そのこと自体が、納得できません!」
沈黙が流れた。伸一の声が響いた。
「辞任が大前提でいいじゃないか。私は、そう決めたんだ。これで新しい流れができ、学会員が守られるならば、いいじゃないか。声を荒らげるのではなく、学会は和気あいあいと、穏やかに、団結して進んでいくことだよ。私と同じ心であるならば、今こそ、同志を . . . 本文を読む
彼の話は終わった。拍手が起こることはなかった。婦人の多くは、目を赤く腫らしていた。虚ろな目で天井を見上げる壮年もいた。怒りのこもった目で一点を凝視し、ぎゅっと唇をかみ締める青年幹部もいた。
その時、伸一が会場に姿を現した。
「先生!」
いっせいに声があがった。彼は、悠然と歩みを運びながら、大きな声で言った。
「ドラマだ! 面白いじゃないか! 広宣流布は、波瀾万丈の戦いだ」
皆 . . . 本文を読む
戸田城聖は、弟子たちに、「第三代会長を守れ! 絶対に一生涯守れ!そうすれば、必ず広宣流布できる」と遺言していた。ここに、常勝の道を開く団結の要諦がある。
山本伸一は、自分を守ってもらいたいなどという気持ちはなかった。しかし、恩師が広宣流布のために言い残した精神を皆が忘れかけていることに、心が震撼する思いがした。
彼は、学会の前途を見すえながら、祈るような気持ちで首脳幹部に言った。
「私は . . . 本文を読む
山本伸一は、海外メンバーに、次々と声をかけ、レイを贈るなどして励ましていった。メンバーのなかに、ウルグアイから来日した四人の青年がいた。男性二人、女性二人である。
同行の幹部が、伸一にメンバーを紹介した。四人のうち、一人は、日系人の男性で、あとの三人は、スペイン・イタリア系などのウルグアイ人であった。ウルグアイは南米の南東部にあり、ブラジルとアルゼンチンに隣接する国である。日本とは、ほぼ地球の . . . 本文を読む
「嬉しいね。二部学生が立ち上がったね。『飛翔会』を結成してよかった。若鷲たちが使命の大空に飛翔したんだ。私は、彼らが、これからどんな人生を生きていくのか、じっと見守っていくつもりだ。しかし、決して、彼らを甘やかしたくはない。本当の師子ならば、どんな逆境も必ず乗り越えて、広宣流布の大リーダーに、民衆の王者に育っていくからだ。私と同じ道を歩もうと心を定めた彼らが、軟弱であるわけがない。本当に期待できる . . . 本文を読む
札幌創価幼稚園の出身であることは、卒園生たちの大きな誇りとなっている。
この幼稚園出身の初の工学博士となる、第三期生の男子は、伸一と峯子が幼稚園を訪問した折に、代表として峯子に花束を手渡した園児である。彼は、「それが、生涯の思い出であり、札幌創価幼稚園出身の誇りが、自分を支えてくれました」と語る。
幼稚園を巣立った彼は、やがて、東京の創価高校に進む。そして、東京大学に合格し、さらに、大学院 . . . 本文を読む
伸一は、力を込めて語った。
「実情は厳しいかもしれない。でも、だからこそ、自分がいるのだという自覚を忘れないでいただきたい。私たちは師子だ。どんな逆境も、はね返して、歴史の大ドラマをつくる使命をもって、生まれてきたんです」
ドイツの作家ヘルマン・ヘッセは叫んだ。――「君たちが、新たな、あらしをはらむ、わきたつ時に生まれたのは、一体不幸だろうか。それは君たちの幸福ではないか」
逆境が、真正 . . . 本文を読む