Takekida's log

千里の道も一歩から

名作うしろ読み

2017-12-02 21:19:44 | Books
名作うしろ読み (中公文庫)
クリエーター情報なし
中央公論新社


 文学作品の書き出しというのは有名なものが多く「人は見た目が○割」ではないですが第一印象を決める重要な要素なのだとは思います。夏目漱石やら川端康成やら日本の文学作品は日本人の心の中に刻まれているものが少なくないと思います。この本はそんな冒頭文でなく「最後の一文」を抜き出してその作品の内容を紹介、批評したものです。『雪国』『ゼロの焦点』から『赤毛のアン』まで、古今東西の名作132冊が取り上げられており、意外に最後の文章はあっけなかったり読んだことある内容でも印象が薄かったりと名作の意外な側面に気づくことが出来ます。この132冊の中で読んだことがあるのは1/3ぐらいとはっきり言ってまだまだ知識不足でした。これをきっかけに読む機会を作りたいと思います。
 結末には「閉じた結末(クロ−ズドエンディング)」と「開かれた結末(オープンエンディング)」があるそうですがクロ−ズドエンディングは、いわゆるハッピーエンドなどの一件落着。オープンエンディングのほうは、終わらない物語の感じで読者に解釈を許すものがありますがどちらにするのかは作品のキャラによるものかとは思います。それを含めてこの本はネタバレをしているのですがやっぱ本質はきちんと読まないと判んないというのは事実、それのきっかけを与えてくれる本としては非常に良かったと思います。
 最後にこんな言葉があります。「ネタバレ」と称して、小説のストーリーや結末を伏せる傾向は、近年、特に強まってきた。
しかし、あえていいたい。それが、なんぼのもんじゃい、と。お尻がわかったくらいで興味が半減する本など、最初から大した価値はないのである。っていうか、そもそもお尻を知らない「未読の人」「非読の人」に必要以上に遠慮するのは批評の自殺行為。読書が消費に、評論が宣伝に成り下がった証拠だろう。
 なかなか鋭いなと思いました。本はやっぱ読んだ人であるからこそ論じれるもので文句があったら読んでみなさいということでいくらネタバレ本であっても価値は高いと感じています。
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