(産経新聞 12月30日より)
中国江蘇省の南京市で南京大虐殺記念館の大幅拡張に続き、抗日戦で戦死したパイロットらをまつる「南京抗日航空烈士記念館」が新たに開館した。1937年に始まった日中戦争で中国共産党と中国国民党が共闘した「第2次国共合作」を意識し、蒋介石が率いた国民党軍の兵士の犠牲を悼む展示が目立つ。中台急接近を反映してか、国民党の党章や中華民国時代の国旗も資料として展示するなど、抗日における国民党の“功績”を評価する異例の記念館になっている。(南京 河崎真澄)
記念館は江蘇省と南京市が内外から寄付を集め、総工費4千万元(約5億2千万円)をかけて今年9月に開館した。孫文の墓地「中山陵」がある市内の紫金山の北側で、約4千平方メートルの敷地に4つの展示室と野外展示施設をもつ。航空烈士共同墓地と合わせて「国際抗日航空烈士公園」と名付けている。
49年の新中国成立以前の中華民国時代に起きた日中戦争時の「空の犠牲者」をまつる中で、国民党兵の戦死者を多数展示している。野外展示には、中国に飛来した日本軍機を初撃墜したという中国空軍駆逐指令との肩書の高志航の銅像が建てられているが、銅像の軍服や帽子には国民党章の「青天白日」がくっきり刻まれていた。
また、日本軍との空中戦で戦死した国民党軍パイロット林木鎮の写真や軍人手帳に添えて、国民政府主席の蒋中正(介石)の印が押された「栄哀(追悼)状」も展示されている。中国ではタブー視されていた中華民国の国旗である「青天白日満地紅旗」も飾るなど、国共合作時代の再来をイメージさせる異例の展示だ。
記念館の係員によると国民党関係者もすでに参観に訪れているという。南京は中華民国が首都を置いた歴史もあり、共産党が国民党との新たなパイプ作りを進める環境が整ってきた。
このほかにも、中国を支援した米義勇軍のフライングタイガーや旧ソ連軍兵士の戦死者もまつっており、「中国で初めての国際的な抗日航空烈士記念館」(人民日報)を標榜(ひようぼう)している。2007年12月に改修を終えた南京大虐殺記念館のような残虐なシーンはないが、市民や子供にも抗日をキーワードにした“国際包囲網”をわかりやすく伝える新たな反日教育の場になっていた。
中国が今後、南京を舞台に「反日宣伝」の場を一段と広げる懸念もある。
中国江蘇省の南京市で南京大虐殺記念館の大幅拡張に続き、抗日戦で戦死したパイロットらをまつる「南京抗日航空烈士記念館」が新たに開館した。1937年に始まった日中戦争で中国共産党と中国国民党が共闘した「第2次国共合作」を意識し、蒋介石が率いた国民党軍の兵士の犠牲を悼む展示が目立つ。中台急接近を反映してか、国民党の党章や中華民国時代の国旗も資料として展示するなど、抗日における国民党の“功績”を評価する異例の記念館になっている。(南京 河崎真澄)
記念館は江蘇省と南京市が内外から寄付を集め、総工費4千万元(約5億2千万円)をかけて今年9月に開館した。孫文の墓地「中山陵」がある市内の紫金山の北側で、約4千平方メートルの敷地に4つの展示室と野外展示施設をもつ。航空烈士共同墓地と合わせて「国際抗日航空烈士公園」と名付けている。
49年の新中国成立以前の中華民国時代に起きた日中戦争時の「空の犠牲者」をまつる中で、国民党兵の戦死者を多数展示している。野外展示には、中国に飛来した日本軍機を初撃墜したという中国空軍駆逐指令との肩書の高志航の銅像が建てられているが、銅像の軍服や帽子には国民党章の「青天白日」がくっきり刻まれていた。
また、日本軍との空中戦で戦死した国民党軍パイロット林木鎮の写真や軍人手帳に添えて、国民政府主席の蒋中正(介石)の印が押された「栄哀(追悼)状」も展示されている。中国ではタブー視されていた中華民国の国旗である「青天白日満地紅旗」も飾るなど、国共合作時代の再来をイメージさせる異例の展示だ。
記念館の係員によると国民党関係者もすでに参観に訪れているという。南京は中華民国が首都を置いた歴史もあり、共産党が国民党との新たなパイプ作りを進める環境が整ってきた。
このほかにも、中国を支援した米義勇軍のフライングタイガーや旧ソ連軍兵士の戦死者もまつっており、「中国で初めての国際的な抗日航空烈士記念館」(人民日報)を標榜(ひようぼう)している。2007年12月に改修を終えた南京大虐殺記念館のような残虐なシーンはないが、市民や子供にも抗日をキーワードにした“国際包囲網”をわかりやすく伝える新たな反日教育の場になっていた。
中国が今後、南京を舞台に「反日宣伝」の場を一段と広げる懸念もある。