(読売新聞より)
鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金事件で、首相の不起訴を「相当」とした東京第4検察審査会の議決(26日公表)の要旨は次の通り。
【勝場啓二元公設第1秘書の供述調書】
鳩山(首相)は、事務所の経理にはほとんど興味はなく、自分からも鳩山に政治資金収支報告書を見せたことはない。ごくまれに政治資金に関する不祥事が報道された際などに、「うちは大丈夫か」と聞かれ、「ご安心下さい」などと答えていた。
虚偽の収支報告書を作成したのは2000年からで、政治資金規正法が改正され、同年1月から会社、労働組合からの寄付が禁止され、収入が減って資金繰りが苦しくなり、鳩山個人からの資金の持ち出しが多くなった。鳩山からは、いつも自分を頼るんじゃなくて、ちゃんと資金を集めてもらいたい旨の苦言を言われていたことから、これ以上鳩山に頼みにくくなり、個人献金やパーティー収入の水増しなどの虚偽の記入を始めるに至った。
【虚偽記入の容疑】
関係者の供述は、収支報告書の虚偽記入は元公設第1秘書以外の者は知らず、鳩山首相は一切関与していないということで一致している。首相自身が虚偽の記入に積極的に加担しなければならない動機も見いだしがたく、他の証拠を検討してもこれを否定あるいは覆すに足りる証拠はない。
なお、虚偽記入には直接関係しないが、一連の証拠によれば、2002年頃から09年5月まで、首相の政治団体には、首相の母から毎月1500万円、1年間で1億8000万円が拠出されており、母からの資金が入金されるようになってから、首相個人が政治団体に拠出する資金が極端に減少し、さらに年々減少してきている事実が認められる。それにもかかわらず、首相は、虚偽記載の事実を知らなかっただけでなく、母からの莫大(ばくだい)な資金が使われていることも全く知らなかったという。しかし、当審査会としては、素朴な国民感情として、このようなことは考えがたいとし、首相自身に対して検察官の取り調べがなされなかったことも相まって、首相の一方的な言い分にすぎない上申書の内容そのものに疑問を投げかける声が少なからずあったことを付言する。
【会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠った容疑】
会計責任者だった元政策秘書は首相の側近として長年にわたって重要なポストについており、首相からの信頼が相当厚いことが推測される。人柄、能力といった面において問題がある人物だとは考えられず、首相が元政策秘書を会計責任者として選任したことについて相当の注意義務を怠ったということはできない。
政治団体の代表者が政治資金規正法25条2項の適用を受けるのは、代表者が会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときである。「選任及び監督」の「及び」とは、選任と監督のどちらか一方の要件を充足すればよいということではなく、両方を充足しない限り責任を問うことはできない。選任において問題がないとの結論に至った以上、監督面について検討するまでもなく、刑事責任を問うことはできない。
なお、当検察審査会の審査においては、「この要件は、政治家に都合のよい規定になっている。選任さえ問題がなければ監督が不十分でも刑事責任に問われないというのは、監督責任だけで会社の上司等が責任を取らされている世間一般の常識に合致していないので、本条項は改正されるべきである」との意見が強く主張されたので付言する。
鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金事件で、首相の不起訴を「相当」とした東京第4検察審査会の議決(26日公表)の要旨は次の通り。
【勝場啓二元公設第1秘書の供述調書】
鳩山(首相)は、事務所の経理にはほとんど興味はなく、自分からも鳩山に政治資金収支報告書を見せたことはない。ごくまれに政治資金に関する不祥事が報道された際などに、「うちは大丈夫か」と聞かれ、「ご安心下さい」などと答えていた。
虚偽の収支報告書を作成したのは2000年からで、政治資金規正法が改正され、同年1月から会社、労働組合からの寄付が禁止され、収入が減って資金繰りが苦しくなり、鳩山個人からの資金の持ち出しが多くなった。鳩山からは、いつも自分を頼るんじゃなくて、ちゃんと資金を集めてもらいたい旨の苦言を言われていたことから、これ以上鳩山に頼みにくくなり、個人献金やパーティー収入の水増しなどの虚偽の記入を始めるに至った。
【虚偽記入の容疑】
関係者の供述は、収支報告書の虚偽記入は元公設第1秘書以外の者は知らず、鳩山首相は一切関与していないということで一致している。首相自身が虚偽の記入に積極的に加担しなければならない動機も見いだしがたく、他の証拠を検討してもこれを否定あるいは覆すに足りる証拠はない。
なお、虚偽記入には直接関係しないが、一連の証拠によれば、2002年頃から09年5月まで、首相の政治団体には、首相の母から毎月1500万円、1年間で1億8000万円が拠出されており、母からの資金が入金されるようになってから、首相個人が政治団体に拠出する資金が極端に減少し、さらに年々減少してきている事実が認められる。それにもかかわらず、首相は、虚偽記載の事実を知らなかっただけでなく、母からの莫大(ばくだい)な資金が使われていることも全く知らなかったという。しかし、当審査会としては、素朴な国民感情として、このようなことは考えがたいとし、首相自身に対して検察官の取り調べがなされなかったことも相まって、首相の一方的な言い分にすぎない上申書の内容そのものに疑問を投げかける声が少なからずあったことを付言する。
【会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠った容疑】
会計責任者だった元政策秘書は首相の側近として長年にわたって重要なポストについており、首相からの信頼が相当厚いことが推測される。人柄、能力といった面において問題がある人物だとは考えられず、首相が元政策秘書を会計責任者として選任したことについて相当の注意義務を怠ったということはできない。
政治団体の代表者が政治資金規正法25条2項の適用を受けるのは、代表者が会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠ったときである。「選任及び監督」の「及び」とは、選任と監督のどちらか一方の要件を充足すればよいということではなく、両方を充足しない限り責任を問うことはできない。選任において問題がないとの結論に至った以上、監督面について検討するまでもなく、刑事責任を問うことはできない。
なお、当検察審査会の審査においては、「この要件は、政治家に都合のよい規定になっている。選任さえ問題がなければ監督が不十分でも刑事責任に問われないというのは、監督責任だけで会社の上司等が責任を取らされている世間一般の常識に合致していないので、本条項は改正されるべきである」との意見が強く主張されたので付言する。