学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

森鷗外『普請中』

2020-12-17 18:31:56 | 読書感想
今年は新型コロナウイルスのおかげで、一度も上京することなく年が暮れてしまいそうだけれど、昨年までの記憶によれば、東京という街はいつもどこかしこ工事をしていて、なんだか世話しないところだな、という印象があります。

森鴎外の『普請中』は、明治末期に書かれた小説です。短編ながら、そこに当時の社会が描写されていて興味深く読みました。舞台となるホテル自体が実際に「普請中」なわけですが、気の利かない、ノックを知らない、そして大げさな給仕人の対応、ホテル内にある盆栽、西洋間にある掛軸、ホテルからの眺め、新しい西洋の文明を吸収しきれず中途半端になっている日本社会自体を「普請中」と皮肉っているように感じられました。

それから100年後の日本で生活をしている私たち。東京は未だ「普請中」だし、個人の生活は色々な様式がごちゃまぜになっていて、そういう現状を見ると、私はやはりまだ日本は「普請中」の気がしてならないのです。

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ストレス解消

2020-12-12 18:37:20 | その他
若いころ、温泉場で湯につかっていると、常連らしいお年寄りが話をしていて、自分は体の節々が痛くてこまる、とか、俺は肝臓が悪くなってきた、とか、病気の自慢話のような会話を耳にする機会が多かったものです。

ところが、先日、久しぶりに同期と会ったとき、いつの間にか、仕事の話から体の調子の話をするようになり、ああ私も年をとったな、と思ったわけです。体の症状は、その同期と私とではそれぞれ違うものの、お互いに共通していたのは、怒りの沸点が低くなっていることで、ちょっとした事象にイライラしてしまう、腹を立ててしまうという、精神的な部分でのストレスでした。

私もいわゆる中間管理職のような立場(さらに今年は新型コロナウイルスが追い打ちをかける)になり、毎日のストレスがつもりつもり、精神的な余裕が小さくなってきているようで、これまではあまり真剣に向き合ってこなかったのだけれど、意識して、その解消に取り組む世代になってきたのかな、と思うわけです。

こまったときは本屋へ行け、が私の信条で、昨夜はさっそく『図解ストレス解消大全』なる本を買い求めて、自分がやれそうなものをいくつか試しています。もうすぐ年の暮れ、1年の疲れがたまっている時期もあるのかもしれませんが、できるだけストレスを解消して、心に余裕を持ちたいものです。
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モチベーションを高める

2020-12-05 19:41:01 | 仕事
今年のブログで、私はモチベーションに左右されないとか、ビジネス書は読まないとか、いろいろなことを書いていたのだけれど、困ったことに、この頃は仕事に対してどうも力が出なくて、ほとほと困り果てていました。秋の忙しい仕事が終わって、心身ともにクールダウンしているのかもしれません。

ただ、あまりにも力が出ないのは考えもの。そこで、以前自分が考えていたことをいったん否定して、モチベーションを上げるために次のことを自分なりに考えてやってみることにしました。

1.ビジネス書を読む
2.成功を想像する
3.ロールモデルの真似をする
4.どんな仕事にも目標を掲げる
5.人から感謝されるような仕事をする

2、3日前からこの方法を試しているのですが、今のところ中々いい具合です。特にビジネス書を読むことは効果あり。以前、私自身が否定していたことに助けられているのだから、私という人間もずいぶんいい加減なものです。壁に当たったら、その都度、自分を変化させてゆく。そういう姿勢が、世を生きる上で大切なことなのかも…と自分を肯定してみる次第です。
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ジャンルを飛び越えて

2020-12-04 21:54:03 | 仕事
先日、他の学芸員の方と話す機会があって、そこで出たお話し。それは、学問が細分化されすぎていて、全体の流れを知る人が少なくなったというところから始まりました。

その学芸員の方が曰く、いわゆる「郷土史家」という人たちが、地域にほとんどいなくなったそう。かつて、考古、歴史資料、民俗、美術など、分野にこだわらず、地域のありとあらゆることを勉強している人たちがいて、その地域のあることを知りたいと思ったら、その人に聞けば何でも分かった。でも、今は各分野ごとに強い人がいるけれども、全体を通して見られる人がめっきり減ったと。つまり、これは私たち学芸員にもいえることで、みんな各専門分野を持っていて、その分野にはめっぽう強いけれども、それからはみ出すと弱い。我々は狭いところをうろうろするのではなくて、もっとその分野の全体的なことを考える必要があるし、他分野と合同で仕事をしてもいいのではないか!という熱い話になりました。

私は、かつて丸谷才一さんが『思考のレッスン』のなかで、自分の専門分野をホームグランドにして、どんどん別のジャンルで勝負をすればいい、と述べていたことを思い出していました。この言葉を知っていたせいか、私はあまり専門分野にこだわらず、どんどん別のジャンル飛び出していくほう。でも、それはあまりいいことではないのかな、と内心思っていたのですが、同じように考えている方と話ができて、少し自信が持てました。

自分の人生は一度きり。いろいろなことを学びたい欲求は抑えられません。これからも、ジャンルを飛び越え、仕事を通して様々なことを学び続けたいと思っています。

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日本シリーズを見て

2020-12-03 18:28:44 | その他
今年の日本シリーズも、ソフトバンクが4勝0敗で巨人を破り、日本一となりました。4試合ともテレビやラジオで試合の情報を確認していましたが、ソフトバンクの選手1人ひとりのプレーが躍動していて、特に中継ぎ投手陣の投げっぷりが気持ちよく。

一方で終始、圧倒された巨人。試合が進んでいくにつれ、主導権を握られ、難しい試合運びが多くなりました。来年こそは雪辱を晴らしてもらいたいものです。

90年代半ばのセ・リーグ。大きな戦力を持つ長嶋巨人に他5球団が挑む構図がわかりやすく、(私個人としては)とても盛り上がった記憶があります。このときと同じように、ソフトバンクを倒すために、他の11球団が挑む構図になると(すでになっているのかもしれないけれど)、プロ野球のプレーそのもののさらなるレベルアップにつながるのかもしれません。

今から来年のプロ野球が楽しみです。
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『スマホ脳』を読んで

2020-12-02 21:21:16 | 読書感想
スマートフォン、いわゆるスマホが、多くの人たちの生活に浸透するようになって、10年くらいになりますでしょうか。スマホひとつで、写真も撮れる、音楽も聞ける、動画も見られる、ゲームもできる、旅券も管理できる、スケジュール管理までしてくれるなど、現在では手放せないツールです。

ただ、それがあまりにも浸透しすぎていて、もはや怖いくらい。電車のなかでも、外を歩きながらでも、ご飯を食べながらでも、みんなスマホをいじっている。私はそれを見るたびに異様な光景だなあ、と思うのです。

新潮新書の新刊『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著)を読み、我々はいかにスマホに使われているのかが改めてわかりました。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツが子どもにデジタル・デバイスを使わせないようにしていたというエピソードは象徴的です。

私も以前はスマホをよく使い、隙間時間に知識をインプットしたいと思っていて、ことあるごとに使っていました。しかし、常にスマホを手放せない自分を客観視したときがあって、これは何かおかしいのではないか、と思ったのをきっかけに、スマホとは距離を置くようになりました。

もちろん、人それぞれですから、スマホへの向き合い方は自由であるべきですし、すでにビジネスをするうえで欠かせない方もいるでしょう。ただ、物事には長短があるはず。それをうまく見極めながら、社会のなかで暮らしていきたいものです。

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百人一首の音読

2020-12-01 20:38:13 | 仕事
このごろ、起きてから出勤するまでの短い時間で、百人一首を音読しています。何も大会に出るわけではありません。のちに開催を予定している展覧会の勉強の一環で始めたのです。

最初はただ文字を目でなぞるだけだったのですが、どうも頭に入ってこない。そこで思い切って音読してみたところ、自分の声が音となって耳に入るせいなのか、頭に和歌の情景が浮かぶようになってきて、しっくり来ています。そういえば、以前、萩原朔太郎の詩を毎朝音読していたこともありましたが、同じような感覚でした。音読は記憶を定着させるのにいい方法なのかもしれません。

勉強の一環で始めたものの、自分なりに好きな和歌というものがでてきます。私が最も好きなのは次の和歌です。

天津風 雲の通ひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ

僧正遍昭が詠んだ和歌ですが、「雲の通ひ路」という言葉の表現方法が素晴らしくて、感激しています。言葉を上手に使うことで、私たちのイメージは大きく膨らむわけですね。言葉の不思議さ、面白さ、素晴らしさに改めて感じ入っている今日この頃です。
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