学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

ポストコロナの美術館

2020-12-22 18:16:40 | その他
今年は新型コロナウイルス(もうこの単語を使うことさえ辟易する)のおかげで、他の美術館の展覧会を観に出かけることができず、とても残念な1年となりました。特に毎回楽しみにしていた横浜トリエンナーレに行けなかったのは特に無念です…。

それはむろん、私だけではなく、外出がはばかられるのなか、美術館の展覧会に行きにくいという方はたくさんいらっしゃったと思います。そうしたなか、各美術館ではデジタルを駆使して、ネット上やアプリで絵を見られるようにするなど、家に居ながらでも絵を楽しめる環境を作ろうと活動をしていたところが多かったようです。私が勤める美術館も、一部の展覧会をネット上で見られるようにして、少しでもお客様に楽しんで頂けるように工夫を試みました。

書店では、早くもポストコロナを話題にした本がいくつか見られるようになりましたが、美術館は果たしてどうなっていくのでしょうか。私は、やはり、コロナ禍を期にデジタルによる情報発信が一気に進んでいくと思います。デジタルの分野を活用すれば、高解像度による絵画鑑賞ができたり(すでにやっているところもあるようですが)、美術館の収蔵作品や資料のデジタル化とその公開、さらに動画ソフトを利用した学芸員やゲストのギャラリー・トーク…考えれば、まだまだ色々なことができそうです。お客様にとってはいいことづくめかもしれません。ただ、それをするには発信する美術館側にデジタルのスキルを持った人材がいないと難しい…。課題はありそうですね。

なにはともあれ、早く色々な美術館へ出掛けられる環境が戻ってきてほしいものです。