学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

ジャンルを飛び越えて

2020-12-04 21:54:03 | 仕事
先日、他の学芸員の方と話す機会があって、そこで出たお話し。それは、学問が細分化されすぎていて、全体の流れを知る人が少なくなったというところから始まりました。

その学芸員の方が曰く、いわゆる「郷土史家」という人たちが、地域にほとんどいなくなったそう。かつて、考古、歴史資料、民俗、美術など、分野にこだわらず、地域のありとあらゆることを勉強している人たちがいて、その地域のあることを知りたいと思ったら、その人に聞けば何でも分かった。でも、今は各分野ごとに強い人がいるけれども、全体を通して見られる人がめっきり減ったと。つまり、これは私たち学芸員にもいえることで、みんな各専門分野を持っていて、その分野にはめっぽう強いけれども、それからはみ出すと弱い。我々は狭いところをうろうろするのではなくて、もっとその分野の全体的なことを考える必要があるし、他分野と合同で仕事をしてもいいのではないか!という熱い話になりました。

私は、かつて丸谷才一さんが『思考のレッスン』のなかで、自分の専門分野をホームグランドにして、どんどん別のジャンルで勝負をすればいい、と述べていたことを思い出していました。この言葉を知っていたせいか、私はあまり専門分野にこだわらず、どんどん別のジャンル飛び出していくほう。でも、それはあまりいいことではないのかな、と内心思っていたのですが、同じように考えている方と話ができて、少し自信が持てました。

自分の人生は一度きり。いろいろなことを学びたい欲求は抑えられません。これからも、ジャンルを飛び越え、仕事を通して様々なことを学び続けたいと思っています。

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