黄色い菊

毎年のことながら、今年も暑い夏がやってきた。外へ出るだけで汗がだらだらと流れ、しかも今年は新型コロナウイルスのおかげで、マスクをせねばならず、例年よりも1.5倍くらい余計に暑い気がする。

来週から世間ではお盆の時期になるが、「ステイホーム」、つまり、なるべく家にとどまれということで、私自身も実家に帰る予定もなければ、他所へ出かける予定もない。こんな状況なら墓参りをしなくとも、ご先祖様はきっと許してくれるに違いない。それでは、ああ、家で何をして過ごそうかと考えていると、我が家の猫の額ほどの庭に目が留まった。黄色くて小さな菊が咲き始めている。我が家の菊は手入れもしないのに毎年豊作である。あまりにも取れ過ぎて、勢いを止めるために剪定をするが、翌年になるとまた勢いを増す。もしかしたら、この剪定がかえっていけないのかもしれない。

確か、貝原益軒が『養生訓』のなかで、心を健やかに保つには花鳥を愛でろと書いていた。我が家に鳥はカラスしかやってこないのはいいとして、この生命力にあふれる菊を見て、心を遊ばせてみたい。