学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

観察

2020-08-12 20:11:15 | その他
確かコナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズの一場面に、ホームズが助手のワトソンに家の階段の段差がいくつあるのかを尋ねるシーンがあった。ワトソンが答えられないでいると、君はものを見ているだけで観察をしていない、とぴしゃり。

ステイホームのさなか、我が家ではNintendo Switch の「あつまれ どうぶつの森」がブームになっている。これは無人島暮らしを楽しむという内容で、とにかく自由度が高い。家を作ってもいい、釣りをしてもいい、海に潜ってもいい、花を植えてもいい、友達を増やしてもいい、つまり何でもできるのだ。そのなかに、美術品を扱うキツネがいる。キツネが売る美術品にはニセモノが含まれ、買う側は高精度の美術品の画像を確認し、それが本物か否かを判断して買う。これは実際にメトロポリタン美術館のデジタル部門が協力しているという徹底ぶりだから驚く。

仕事柄、私は妻にせがまれて、その画像を確認する鑑定士の役を担わされた。むろん絵画は百発百中の成績で、妻からは珍しく尊敬の眼差しを受けた。ところが彫刻になるとめっぽう弱いことが判明し、これまで2回もニセモノをつかまされた。評価を上げるのは困難だが、下げるのは簡単である。妻の眼差しがすぐに尊敬から軽蔑に変わった。これもまた、ものを見ているだけで観察していない証拠であろう。自分の不勉強を恥じる次第である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする